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【新QC7つ道具】系統図法で、目的を達成するための手段を具体化する

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【新QC7つ道具】系統図法で、目的を達成するための手段を具体化する

ある課題が明らかになったけれども、どうやって克服していけばよいのか、または問題の原因が分かった後にどういう対策をしていけばよいか、と考えたい時に、思いついたものからやみくもにやっていくのは非効率であり、思うように効果が出せなかったりもします。 そこで役に立つのが、「新QC7つ道具」の1つである「系統図法」です。系統図は、達成すべき目標や目的に対する手段(方策)を段階分けして枝分かれさせながら図式化したものです。系統図を作成して原因をブレイクダウンしながら、具体的な手段を探っていきます。

関連記事:「QC7つ道具」と「新QC7つ道具」は何が違うの?

系統図法とは?

系統図法とは、物事を多段階で展開しながら枝分かれさせる系統図を描くことで、問題全体を見渡しながら目的達成のアクションや課題克服のためのタスクなどを検討する手法です。

系統図法には、課題解決の手段を整理する「方策展開型」(手段展開型)と、改善対策の内容を整理する「構成要素展開型」の2種類があります。

方策展開型

目的に対する方策(手段)をブレイクダウンし表現する系統図です。品質管理においては、こちらがよく使われます(図1)。本記事では、こちらを中心に解説します。

図1 方策展開型の系統図:息子がいつもお弁当を残してくるのでどうにかしたい。

系統図は、まず左端に「目標」や「目的」(テーマ)を描き、その右に目的を達成するための「手段」を描きます。さらに、前述の手段を目的として、それを達成するための手段を描き、さらにその手段を目的として……、という具合に図を末広がりに展開していきます。チェックリストなども併用しつつ、具体的な手段を考えていきます。

構成要素展開型

製品や組織の構成要素を段階的にブレイクダウンし表現する系統図です(図2)。各要素がどう関連しているかを表現したり、要素に抜け漏れがないかを確認したりする際に用います。

図2 構成要素展開型の系統図:からあげ弁当の構成要素を示した。会社の組織図などにも使われる。

連関図法と系統図法の違い

新QC7つ道具の連関図法とは、「原因と結果」や「目的と手段」などの相関について、それぞれの因果関係、すなわち「因果同士の連関(互いにかかわり合っていること)」の構造について連関図として表現して整理する手法です。

連関図法「課題の明確化」を目的とするのに対し、系統図法は「課題を解決する方法の模索」を目的としています(図3)。例えば、連関図法で混とんとした問題を整理してから取り組みテーマを定めた上、さらに系統図法で具体的手段を検討していくことがあります。

関連記事:【新QC7つ道具】連関図法で、こんがらがった問題を解きほぐす

図3 連関図法の例:息子が反抗してくる理由を考える。さらに系統図で、更年期や思春期がらみのメンタルケアについて考えてみると良さそう。

親和図法と系統図法の違い

新QC7つ道具の親和図法とは、ある課題に対する事実や意見、発想(つまり「言葉」)を「言語データ」として収集し、言語データ同士の「親和性」(「結びつきが強い」「似ている」)を見つけて統合図を作り、情報整理をする手法です(図4)。

親和図法で課題解決に役立つアイデアを整理し、系統図法で課題を解決する手段を具体化するというふうに使い分けができます。

図4 ゴールデンウィークでやりたいこと:さらに系統図で、どんなことをしようか掘り下げてみたい。

関連記事:【新QC7つ道具】親和図法で、皆の多様な意見をうまくまとめる

産業用ロボット導入検討で系統図法を活用する

ここでは方策展開型の系統図法を使って、産業ロボットを導入した際に解決したい課題から、さまざまな具体的方策を探っていきます。

部品メーカーのプロトリュード社は、ロボットを導入することで、現場の作業を効率化して、利益率を高めていきたいと考えました。C部品の製造について、面倒な手作業が多いA工程がボトルネックになっていることが明らかになったので、そこを自動化しようと検討します。

1. 目的を定める

系統図を描くにあたり、まず目的を決めます。目的は「〇〇を△△する」というように、できるだけ具体的に表現します。

とにかく「部品Cの工程Aの作業に時間がかかりすぎること」は明らかであったのですが、具体的にはどういうことが起こっていて時間がかかり過ぎているのかなどがいまいち不明確でした。 ここでは、連関図法を使って、その主要因を特定してみました。

図5 連関図法で主要因を探り、目的を定める

2. 連関図法で主要因を特定する

関連記事:【新QC7つ道具】連関図法で、こんがらがった問題を解きほぐす

「工程Aの作業の難易度が高い」「熟練技術者のBさんしかこなせる人がいない」「Bさんが老化により作業効率が落ちている」ということが明らかになりました。

しかし、Bさんはこの仕事が好きで、今後も働き続けたい気持ちが大きいのです。例えば担当から外して工程Aにロボットを入れてしまうというのは、本人の気持ちを無視した一方的で冷たい施策になってしまいます。よってここでは、「Bさんの意向」が「制約条件」になります。 Bさんも交えてC部品チームと皆で話し合った結果、「BさんによるA工程の作業の一部をデジタル化する」ことを目標としました。

3. 第一手段を展開する

目的が設定できたら、次はそれを達成するための手段を体系的に挙げていきます。まずは第一手段を2~5つ程度考えます。

さて、「BさんによるA工程の作業の一部をデジタル化する」には、どうしたらいいでしょうか。 どうやらBさんの老化による視力低下によって、作業効率が落ちていることが分かりました。そこで視力をアシストする方法と、一部の作業の自動化を検討します。あわせて、今後の技術伝承に備えてデジタルマニュアルも作るとします(図6)。

図6 第一手段を書きだす

4. 第二手段、第三手段を展開する

さらに第一手段を目的として、第二手段を検討します。Bさんの目視判断を支援するために、「目視判断のポイントはどこか」「Bさんが特に見えづらいと思う個所はあるか」など検討します。自動化検討やデジタルマニュアル化のアクションも同様に掘り下げていきます(図7)。

図7 第二手段を書きだす

さらに第二手段から第三手段へ展開します。「カメラの選定」や「モーションキャプチャー」といった具体的な技術のことも登場しはじめ、手段はより具体的になっていっています(図8)。

図8 第三手段を書きだす

5. 全体をチェックし、系統図を仕上げていく

手段の掘り下げが具体的にできてきたところで、系統図全体を見渡し、抜け漏れがないかを確認します。「その目的を果たすための手段はこれで十分か? 適切か?」などと疑ってみたり、有識者や関係者にヒアリングしたりしながら、系統図を修正していきます。1目的に対して1手段しか出ていない個所があれば、何かないか検討します。

系統図法とマトリックス法を組み合わせる

系統図法は、マトリックス法と組み合わせて使う場合がよくあります。作成した系統図で挙がってきた手段は、QC7つ道具のマトリックス法を用いて重要度や優先順位を決めていきます。また、系統図法で検討した手段を実施した後に、実施効果や現場の評判などをマトリックスで表現して評価を行うことができます。

参考文献

「新QC七つ道具の使い方がよ~くわかる本」(今里 健一郎・著/秀和システム・刊)
「JSQC選書26 新QC七つ道具 混沌解明・未来洞察・重点問題の設定と解決」(猪瀬正守・著/日本規格協会・刊)

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