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稼働率とは?計算方法や可動率との違いを紹介

稼働率とは?計算方法や可動率との違いを紹介

製造業や工場、システム運用の現場では、生産性や効率を測る指標として「稼働率」が頻繁に用いられています。しかし、稼働率の正しい定義や計算方法を理解しないまま使用していると、現場の実態を適切に評価できず、改善の機会を逃してしまう可能性があります。また、似た言葉である「可動率」との違いが曖昧なまま運用されているケースも少なくありません。本記事では、稼働率の定義や計算方法、可動率との違いを明確に解説し、現場やシステムの効率評価・改善に活用できる実践的な知識を提供します。

稼働率とは何か

稼働率とは、設備やシステム、人員などがどれだけ実際に稼働しているかを示す割合のことです。生産現場や業務運営において、リソースがどの程度活用されているかを数値化することで、効率性や生産性を客観的に評価できます。

稼働率の定義

稼働率は分野や対象によって定義が異なりますが、基本的には「実際の稼働量または稼働時間を、可能な最大稼働量や稼働時間で割った値」として表されます。製造業ではある時間内に労働者と設備が稼働している時間の割合を表し、コールセンターでは従業員が実際に業務を行っている時間の割合を意味します。システム運用の分野では、システムが正常に稼働している時間の割合として定義されることが一般的です。

稼働率が高いほど、投入したリソースが有効に活用されていることを示します。しかし、100%に近い稼働率が常に望ましいわけではなく、メンテナンスや休息、バッファの確保なども考慮する必要があります。

稼働率が重要視される理由

稼働率は、経営層から現場管理者まで幅広い層が参照する指標です。稼働率を正確に把握することで、設備投資の妥当性評価、生産計画の見直し、人員配置の最適化、コスト削減の機会発見などが可能になります。特に製造業では、設備の稼働率が利益率に直結するため、継続的なモニタリングと改善活動が不可欠です。

また、稼働率は品質管理の観点からも重要です。過剰な稼働は設備の劣化や従業員の疲労を招き、結果として品質低下やトラブル増加につながる可能性があります。適正な稼働率を維持することが、持続可能な生産体制の構築に貢献します。

稼働率が適用される主な分野

稼働率は多様な業界や業務領域で活用されています。製造業では生産設備の稼働率、物流業では車両や倉庫の稼働率、IT業界ではサーバーやネットワーク機器の稼働率が重要視されます。コールセンターやサービス業では、従業員の稼働率が業務効率の指標として用いられます。下記の表を参照してみてください。

稼働率の計算方法

稼働率の計算方法は、適用する分野や評価対象によって異なります。ここでは、製造業における生産量ベースと稼働時間ベースの計算方法、システム運用におけるMTBFとMTTRを用いた計算方法、そしてコールセンターにおける計算方法を具体的に解説します。正しい計算方法を理解することで、現場の実態を適切に評価し、改善活動につなげることができます。

生産量ベースの稼働率計算

生産量ベースの稼働率は、実際の生産量を最大生産能力で割ることで算出します。計算式は「稼働率(%)= 実際の生産量 ÷ 最大生産能力 × 100」となります。この方法は、設備の能力に対してどれだけ生産できているかを直接評価できるため、生産効率の指標として有効です。

例えば、1日あたり最大1,000個の製品を生産できる設備が、実際には800個しか生産していない場合、稼働率は80%となります。この数値から、設備の潜在能力の20%が活用されていないことが分かり、その原因を追求することで改善につなげられます。

稼働時間ベースの稼働率計算

稼働時間ベースの稼働率は、実際に設備が稼働していた時間を、稼働可能時間で割ることで算出します。計算式は「稼働率(%)= 実際の稼働時間 ÷ 稼働可能時間 × 100」です。稼働可能時間とは、定時稼働時間から計画停止時間(定期メンテナンスなど)を除いた時間を指します。

この計算方法は、設備が実際に動いていた時間の割合を把握するのに適しており、故障やトラブルによる停止時間の影響を明確にできます。稼働可能時間を8時間、実際の稼働時間を6.5時間とした場合、稼働率は約81%となり、1.5時間の非稼働時間が発生していることが分かります。

システム稼働率の計算(MTBF・MTTR)

システムやIT機器の稼働率は、MTBF(平均故障間隔)とMTTR(平均修理時間)を用いて計算されます。計算式は「稼働率(%)= MTBF ÷(MTBF + MTTR)× 100」です。MTBFは故障から次の故障までの平均時間を、MTTRは故障発生から復旧までの平均時間を示します。

例えば、MTBFが1,000時間、MTTRが10時間の場合、稼働率は約99%となります。この計算方法は、システムの信頼性評価や保守体制の妥当性検証に活用されます。

稼働率と可動率の違い

稼働率と混同されやすい指標に「可動率」があります。両者は似た言葉ですが、評価の対象や視点が異なるため、正しく使い分ける必要があります。ここでは、可動率の定義と計算方法を明確にし、稼働率との違いを比較しながら解説します。適切な指標を選択することで、現場の状態をより正確に把握できます。

可動率の定義と計算方法

可動率とは、設備やシステムが正常に動作可能な状態にある時間の割合を示す指標です。計算式は「可動率(%)=(負荷時間 − 停止時間)÷ 負荷時間 × 100」となります。負荷時間とは、設備が稼働を要求される時間であり、停止時間には故障や不具合による停止が含まれます。

可動率は、設備の信頼性や保全体制の評価に用いられます。例えば、負荷時間が10時間、そのうち故障による停止が1時間発生した場合、可動率は90%となります。この数値から、設備の信頼性や保守管理の質を評価できます。

稼働率と可動率の主な違い

稼働率と可動率の最大の違いは、評価する対象にあります。稼働率は「実際に稼働している時間や生産量」を評価するのに対し、可動率は「正常に動作可能な状態にある時間」を評価します。稼働率には、設備が正常でも生産していない時間(段取り替えや待機時間など)が含まれますが、可動率にはこれらの時間は影響しません。

下記の比較表を参考にしてみてください。

項目稼働率可動率
評価対象実際に稼働している時間や生産量正常に動作可能な状態にある時間
計算式実稼働時間÷稼働可能時間×100(負荷時間-停止時間)÷負荷時間×100
主な用途生産効率・業務効率の評価設備信頼性・保全体制の評価
影響する要因待機時間、段取り替え、故障、メンテナンス故障、不具合による停止

使い分けのポイント

稼働率は生産効率や業務効率を評価したい場合に、可動率は設備の信頼性や保守体制を評価したい場合に使用します。製造現場では、両方の指標を併用することで、設備の状態と運用効率を多角的に評価できます。可動率が高くても稼働率が低い場合は、設備は正常だが生産計画や業務プロセスに問題がある可能性を示唆します。

逆に、稼働率が高くても可動率が低い場合は、頻繁な故障やトラブルが発生しているにも関わらず、無理に稼働させている状態を示している可能性があります。両指標のバランスを見ることで、現場の実態をより正確に把握できます。

稼働率と可動率の適正値と改善方法

稼働率や可動率には、業界や業務形態によって適正とされる目安があります。ここでは、各分野における適正値の考え方と、稼働率や可動率が低下する主な要因、そして具体的な改善方法について解説します。適正値を理解し、現場の数値と比較することで、改善の必要性と優先度を判断できます。

稼働率の適正値と目安

製造業における設備稼働率の適正値は、一般的に80〜90%程度とされています。100%に近い稼働率は一見理想的に見えますが、メンテナンスの余裕がなく、突発的なトラブルへの対応力が低下するリスクがあります。適正な稼働率とは、生産効率と設備の長期的な安定稼働のバランスが取れた水準を指します。

コールセンターでは、オペレーターの稼働率は85〜90%が目安とされますが、これも業務内容や繁閑の差によって変動します。稼働率が95%を超える場合、オペレーターの負担が過大となり、品質低下や離職率上昇につながる可能性があります。

可動率の適正値と目安

可動率は、設備の信頼性を示す指標であるため、できるだけ100%に近い値が望ましいとされます。製造業では95%以上の可動率が一般的な目標値とされ、これを下回る場合は保全体制の見直しや設備更新の検討が必要です。可動率の目安は以下のとおりです。

  • 可動率95%以上:良好な保全状態、信頼性が高い
  • 可動率90〜95%:改善の余地あり、予防保全の強化が推奨される
  • 可動率90%未満:保全体制に問題あり、早急な対策が必要

システム運用では、可動率(稼働率)99.9%以上が求められることも多く、これは「スリーナイン」と呼ばれる高い信頼性水準です。重要なシステムでは、さらに高い「フォーナイン(99.99%)」が要求されることもあります。

稼働率・可動率が低下する主な要因

稼働率や可動率が低下する要因は多岐にわたります。製造現場では、設備の故障や不具合、段取り替えや待機時間の増加、メンテナンス不足による性能低下、生産計画の不備などが主な要因です。コールセンターでは、適切な人員配置がなされていない場合や、業務プロセスに無駄がある場合に稼働率が低下します。

システム運用では、ハードウェアの老朽化、ソフトウェアの不具合、ネットワーク障害、セキュリティインシデントなどが稼働率低下の原因となります。これらの要因を特定し、優先順位をつけて対策することが改善の第一歩です。

稼働率・可動率を改善する具体的な方法

稼働率や可動率を改善するには、まず現状の正確な把握が不可欠です。データを継続的に収集し、低下要因を特定することから始めます。製造現場では、予防保全の徹底によって計画外の停止時間を削減できます。定期的な点検やメンテナンスを実施し、故障の予兆を早期に発見することが重要です。主な改善施策と期待効果は以下のとおりです。

改善施策対象指標期待される効果
予防保全の徹底可動率・稼働率故障による停止時間の削減
段取り替え時間の短縮稼働率非稼働時間の削減、生産効率向上
生産計画の最適化稼働率待機時間の削減、設備の有効活用
設備の更新・改善可動率・稼働率信頼性向上、生産能力の向上
業務プロセスの見直し稼働率無駄の削減、業務効率の向上

段取り替え時間の短縮も効果的な施策です。SMED(シングル段取り)などの手法を導入し、品種切り替えに要する時間を最小化することで、稼働率を向上できます。また、生産計画の最適化により、待機時間や空き時間を削減し、設備を効率的に活用することが可能です。コールセンターでは、業務プロセスの見直しやシステムの導入により、後処理時間を短縮し、稼働率を改善できます。

まとめ

稼働率は、設備やシステム、人員がどれだけ実際に稼働しているかを示す重要な指標であり、製造業やコールセンター、IT業界など幅広い分野で活用されています。生産量ベース、稼働時間ベース、MTBF・MTTRベースなど、分野に応じた適切な計算方法を選択することで、現場の実態を正確に評価できます。

可動率は、設備が正常に動作可能な状態にある時間の割合を示し、稼働率とは評価対象が異なります。両指標を併用することで、生産効率と設備信頼性の両面から現場を多角的に評価し、改善の方向性を明確にすることができます。適正値を目安としながら、予防保全の徹底や業務プロセスの見直しなど、具体的な改善施策を実施することが、持続可能な生産体制の構築につながります。

稼働率と可動率を正しく理解し、継続的にモニタリングすることで、現場の効率化と品質向上を実現し、企業の競争力強化に貢献できます。

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