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MTBF(平均故障間隔)とは?計算方法や活用方法、MTTR・稼働率との関係を分かりやすく解説

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MTBF(平均故障間隔)とは?計算方法や活用方法、MTTR・稼働率との関係を分かりやすく解説

製造現場や設備管理において、機器やシステムの信頼性を測る指標として「MTBF」が広く活用されています。MTBFは、設備の信頼性評価や保守計画の策定に欠かせない要素です。しかし、MTBFの正確な意味や計算方法、現場での具体的な活用方法については、十分に理解されていないケースも少なくありません。本記事では、MTBFの定義や計算方法を基礎から解説するとともに、MTTR(平均修復時間)や稼働率との関係性を整理し、設備保全の実務にどのように活かせるかを具体的にご紹介します。これにより、製造業や設備管理に携わる皆様が、自社の設備信頼性向上や保守戦略の最適化に自信を持って取り組めるようになることを目指します。

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MTBFとは?基本的な定義と重要性

MTBF(Mean Time Between Failures)は、日本語で「平均故障間隔」と訳され、修理可能な機器やシステムが故障してから次の故障が発生するまでの平均稼働時間を表す指標です。この指標は、製造ラインの生産設備、ITシステムのサーバー、工場内の搬送装置など、さまざまな資産の信頼性を定量的に評価するために用いられます。MTBFの数値が高いほど、その設備は故障頻度が低く、長期間安定して稼働できることを意味します。

MTBFが示す信頼性の意味

MTBFは単なる統計値ではなく、設備やシステムがどれだけ安定的に稼働できるかを示す信頼性の尺度です。MTBFの値が大きいほど、故障の発生頻度が低く、設備の信頼性が高いと評価されます。例えば、MTBFが10,000時間の設備は、平均すると10,000時間に1回の頻度で故障します。これは、MTBFが1,000時間の設備と比べると、故障するまでの時間が10倍長い、つまり信頼性が高いことを意味します。

この指標は、設備の選定や更新時の判断材料としても活用されます。新規設備を導入する際、複数のメーカーや機種からMTBFの高いものを選ぶことで、長期的な運用コストを削減し、生産性の向上につなげることができます。また、既存設備のMTBFを継続的に監視することで、劣化の兆候を早期に発見し、予防保全の実施タイミングを適切に判断することが可能になります。

修理可能な資産に適用される指標

MTBFは、故障後に修理や部品交換によって機能を回復できる「修理可能な資産」に適用される指標です。製造ラインの工作機械、搬送コンベア、制御システムなど、保守によって繰り返し使用できる設備がこれに該当します。一方、故障後に交換が必要な消耗品や使い捨て部品には、MTTF(Mean Time To Failure:平均故障時間)という別の指標が用いられます。

大規模な製造業では、多数の設備が連携して稼働しており、一つの設備の故障が全体の生産ラインに影響を及ぼすことがあります。そのため、各設備のMTBFを把握し、システム全体の信頼性を評価することが求められます。設備管理者は、MTBFのデータをもとに、どの設備が優先的に保守対象となるかを判断し、効率的なメンテナンス計画を策定することができます。

MTBFの計算方法と具体例

MTBFの計算は、比較的シンプルな数式で表されます。計算により、平均してどれくらいの時間稼働すれば1回の故障が発生するかを数値化することができます。

基本的な計算式

MTBFの基本的な計算式は以下の通りです。

MTBF = 総運用時間 ÷ 故障回数

この式において、総運用時間は設備が実際に稼働していた時間の合計であり、故障回数は修理や調整が必要となった不具合の発生回数を指します。計画的なメンテナンスや点検による停止時間は、一般的に総運用時間から除外されます。また、故障回数には、軽微なトラブルから重大な停止に至るものまで含まれますが、定義を統一することが正確な評価のために重要です。

計算に用いるデータは、設備の稼働記録や保守履歴から取得します。製造現場では、生産管理システムや保全管理システム(CMMS)を活用することで、稼働時間や故障履歴を自動的に記録し、MTBFの算出を効率化できます。データの精度が高いほど、信頼性評価の精度も向上するため、日常的な記録管理が重要となります。

具体的な計算例

実際の製造現場を想定した計算例を示します。ある工場で、5台の射出成形機を24時間体制で30日間稼働させたとします。各機械の稼働時間は720時間(30日×24時間)となり、5台の総運用時間は3,600時間です。この期間中に、3回の故障が発生した場合、MTBFは以下のように計算されます。

MTBF = 3,600時間 ÷ 3回 = 1,200時間

この結果から、平均して1,200時間ごとに1回の故障が発生すると予測できます。もし同じ期間で故障回数が6回であれば、MTBFは600時間となり、設備の信頼性が低いことが示されます。このように、MTBFの数値を比較することで、設備の状態や保守の必要性を客観的に判断することが可能になります。

設備台数稼働期間(日)総運用時間(時間)故障回数MTBF(時間)
5台30日3,600時間3回1,200時間
5台30日3,600時間6回600時間
10台30日7,200時間4回1,800時間

上記の表は、異なる条件下でのMTBFの計算例を示しています。設備台数や故障回数が変わることで、MTBFの数値も変動することが分かります。このようなデータを蓄積し、傾向を分析することで、設備の劣化状況や保守効果を定量的に評価できるようになります。

計算時の注意点

MTBFを正確に算出するためには、いくつかの注意点があります。まず、総運用時間には、設備が実際に稼働していた時間のみを含み、計画的な保守やメンテナンスによる停止時間は除外します。また、故障の定義を明確にすることも重要です。軽微な調整や消耗品の交換を故障として扱うかどうかは、組織内で統一した基準を設ける必要があります。

さらに、複数の設備や異なる期間のデータを比較する際には、条件を揃えることが不可欠です。例えば、稼働環境や使用頻度が異なる設備のMTBFを単純比較すると、誤った判断につながる可能性があります。データの収集方法や集計期間を標準化し、継続的にモニタリングすることで、より信頼性の高い評価が可能になります。

MTBFの活用方法と設備保全への応用

MTBFは、単なる指標にとどまらず、設備管理や保守戦略の立案において極めて実用的なツールとなります。製造業の大企業では、多数の設備を効率的に管理し、計画外のダウンタイムを最小限に抑えることが競争力の維持に直結します。MTBFのデータを活用することで、保守計画の最適化、設備投資の優先順位付け、サービスレベル契約(SLA)の設定など、さまざまな意思決定を科学的根拠に基づいて行うことができます。

保守計画の最適化

MTBFを活用した保守計画の最適化は、設備管理の効率化に直結します。各設備のMTBFを把握することで、故障リスクの高い設備を優先的にメンテナンス対象とし、限られた保守リソースを効果的に配分できます。例えば、MTBFが短い設備には、より頻繁な点検や部品交換を計画し、MTBFが長い設備には間隔を延ばすことで、全体の保守コストを削減しつつ信頼性を維持できます。

また、MTBFのデータをもとに、予防保全のスケジュールを設定することも有効です。例えば、MTBFが1,200時間の設備であれば、1,000時間ごとに定期点検を実施することで、故障が発生する前に部品交換や調整を行い、計画外の停止を防ぐことができます。このように、MTBFを基準とした予防保全は、生産ラインの安定稼働を実現するための重要な手法となります。

設備投資判断への活用

新規設備の導入や既存設備の更新を検討する際、MTBFは重要な判断材料となります。複数のメーカーや機種を比較する際に、MTBFの数値を参考にすることで、長期的な運用コストや信頼性を予測しやすくなります。初期投資が高額でも、MTBFが高く故障頻度が低い設備を選ぶことで、結果的にメンテナンスコストやダウンタイムによる損失を削減できる場合があります。

また、既存設備のMTBFが経年劣化によって低下している場合、設備更新のタイミングを判断する指標としても活用できます。MTBFの推移を定期的に分析し、一定の閾値を下回った時点で更新を検討することで、突発的な大規模故障を回避し、計画的な設備投資を実現できます。このように、MTBFは設備のライフサイクル全体を通じた意思決定をサポートします。

サービスレベル契約(SLA)への反映

製造業において、設備メーカーや保守業者とのサービスレベル契約締結する際、MTBFは重要な指標となります。SLAでは、設備の稼働率や故障対応時間などの保証水準を定めますが、MTBFを基準として契約内容を設定することで、双方の期待値を明確にできます。例えば、「MTBF 8,000時間以上を保証する」といった条項を盛り込むことで、設備の信頼性に対する責任範囲を明確化できます。

また、保守契約の料金体系にMTBFを反映させることも可能です。MTBFが高い設備は故障頻度が低いため、保守コストを抑えた契約を結ぶことができます。逆に、MTBFが低い設備には手厚い保守体制を組み込むことで、リスクを低減できます。このように、MTBFは契約交渉や保守体制の構築においても実用的な指標となります。

  • 保守計画の策定とリソース配分の最適化
  • 設備の選定・更新判断における信頼性評価
  • SLAや保守契約における保証水準の設定
  • 予防保全のタイミング決定と計画外停止の防止

上記のように、MTBFは設備保全のあらゆる場面で活用できる汎用性の高い指標です。データを継続的に収集・分析し、組織全体で共有することで、設備管理の高度化と生産性向上を実現できます。

MTTR・稼働率との関係性と違い

設備の信頼性や可用性を総合的に評価するためには、MTBFだけでなく、MTTR(Mean Time To Repair:平均修復時間)や稼働率といった他の指標と組み合わせて分析することが重要です。これらの指標は、それぞれ異なる側面から設備のパフォーマンスを測定し、保守戦略の最適化に貢献します。MTBFが故障間隔を示すのに対し、MTTRは故障発生後の復旧にかかる時間を示し、稼働率は設備が実際に稼働している時間の割合を示します。

MTTRとの違いと相互関係

MTTR(平均修復時間)は、設備が故障してから修理が完了し、再び稼働可能な状態に戻るまでの平均時間を示す指標です。MTBFが「故障しにくさ」を表すのに対し、MTTRは「復旧の速さ」を表します。両者を組み合わせることで、設備の信頼性と保守体制の両面を評価できます。

例えば、MTBF 1,000時間、MTTR 2時間の設備Aと、MTBF 800時間、MTTR 0.5時間の設備Bを比較した場合、設備Aは故障頻度が低いものの、復旧に時間がかかります。一方、設備Bは故障頻度がやや高いものの、迅速に復旧できます。どちらが優れているかは、生産ラインの特性や求められる稼働率によって異なります。このように、MTBFとMTTRを併用することで、設備の特性に応じた最適な保守戦略を立案できます。

指標意味測定内容
MTBF平均故障間隔故障から次の故障までの平均稼働時間
MTTR平均修復時間故障発生から復旧までの平均時間
稼働率可用性全体時間のうち実際に稼働していた時間の割合

上記の表は、MTBF、MTTR、稼働率の違いを整理したものです。これらの指標は相互に関連しており、一つの指標だけでは設備の全体像を把握できません。総合的な評価を行うことで、保守計画の精度を高めることができます。

稼働率の計算とMTBF・MTTRとの関係

稼働率は、設備が利用可能な状態にある時間の割合を示す指標であり、以下の式で計算されます。

稼働率 = MTBF ÷ (MTBF + MTTR)

この式から、稼働率を向上させるには、MTBFを大きくする(故障頻度を減らす)か、MTTRを小さくする(復旧時間を短縮する)ことが有効であることが分かります。例えば、MTBF 1,000時間、MTTR 10時間の設備の稼働率は、1,000 ÷ (1,000 + 10) = 99.0%となります。MTTRを5時間に短縮できれば、稼働率は99.5%に向上します。

製造業の大企業では、目標稼働率を設定し、それを達成するためにMTBFとMTTRのバランスを調整します。例えば、稼働率99%以上を目標とする場合、MTBFとMTTRの組み合わせを最適化し、保守体制や予備部品の在庫を整備します。このように、稼働率を中心に据えた設備管理は、生産効率の最大化に直結します。

設備保全における実務での使い分け

実務では、MTBFとMTTRをどのように使い分けるかが重要です。MTBFは、設備の設計品質や経年劣化の評価、予防保全の計画策定に活用されます。一方、MTTRは、保守体制の評価や故障対応プロセスの改善、予備部品の配置計画などに用いられます。両者を組み合わせることで、設備の信頼性向上と保守効率化を同時に実現できます。

例えば、MTBFが低下傾向にある設備には、予防保全の強化や部品交換の前倒しを検討します。一方、MTTRが長い設備には、保守作業の手順見直しや予備部品の在庫増強、保守要員のスキル向上などの対策を講じます。このように、各指標の特性を理解し、適切な改善アクションを実施することが、設備管理の高度化につながります。

まとめ

MTBFは、設備やシステムの信頼性を定量的に評価する重要な指標であり、製造業の設備保全において欠かせない要素です。MTBFの数値が高いほど故障頻度が低く、設備の安定稼働が期待できるため、保守計画の策定や設備投資の判断、SLAの設定など、さまざまな意思決定の基盤となります。

MTBFの計算方法はシンプルであり、総運用時間を故障回数で割ることで算出できます。しかし、正確な評価のためには、稼働時間や故障の定義を明確にし、継続的にデータを収集・分析することが重要です。

MTBF向上のためには、設計品質の改善、予防保全の強化、運用環境の最適化など、多角的な施策が求められます。これらの取り組みを継続的に実施することで、製造業における競争力の維持・向上につなげることができます。本記事で解説した知識と手法を活用し、自社の設備保全戦略の最適化にお役立てください。

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参考文献
https://www.nikken-totalsourcing.jp/business/tsunagu/column/1992/

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