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JLPT(日本語能力試験)とは?N1~N2のレベル感と外国人の採用時に見るべきポイントを解説

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JLPT(日本語能力試験)とは?N1~N2のレベル感と外国人の採用時に見るべきポイントを解説

グローバル化が進む製造業において、外国人材の採用は重要な経営課題となっています。しかし、外国人採用を検討する際に最も悩ましいのが「日本語能力の評価基準」ではないでしょうか。日本語能力試験(JLPT)のN1やN2という言葉は耳にするものの、実際にどの程度のコミュニケーションが可能なのか、現場での業務遂行に十分なレベルなのか判断に迷う人事担当者も多いはずです。本記事では、JLPTのN1~N2レベルの具体的な違いと実務能力、そして外国人採用時に見るべきポイントを解説します。自社の採用基準や配属方針を明確にし、ミスマッチのない外国人採用を実現するための指針としてお役立てください。

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JLPT(日本語能力試験)の概要と認知度

JLPT(Japanese Language Proficiency Test)は、日本語を母語としない人の日本語能力を測定し、認定する試験として、国際交流基金と日本国際教育協会が主催する世界最大規模の日本語試験です。1984年に開始されて以来、世界中で広く認知されており、現在では世界約80の国と地域で実施されています。製造業の大企業が外国人材を採用する際、JLPTは客観的な日本語能力の指標として多くの企業で活用されています。

JLPTの試験レベル構成

JLPTは5つのレベルで構成されており、最も難易度が高いN1から最も易しいN5まで段階的に設定されています。N1とN2は業務遂行に必要な日本語能力を測る指標として、多くの企業が採用基準に設定しています。

各レベルは「読む」「聞く」という言語知識を測定し、2010年の改定以降は「課題遂行のための言語コミュニケーション能力」を重視した出題内容となっています。試験は年2回(7月と12月)実施され、全国主要都市および海外の試験会場で受験が可能です。

製造業における活用状況

製造業の現場では、品質管理や生産管理において正確な日本語理解が求められます。特に大企業では、外国人技術者やエンジニアの採用において、JLPTを客観的な評価基準として導入するケースが増加しています。社内文書の理解、会議でのコミュニケーション、技術報告書の作成など、業務遂行に必要な日本語能力を測る指標として、JLPTは人事部門だけでなく現場の管理者からも信頼されています。世界的に認知度が高いため、海外からの人材採用時にも共通言語として機能する点が大きなメリットです。

レベル目安認定の目安
N1上級幅広い場面で使われる日本語を理解することができる
N2中上級日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、
より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる
N3中級日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる
N4初中級基本的な日本語を理解することができる
N5初級基本的な日本語をある程度理解することができる

この表からも分かるように、N1とN2の間には「幅広い場面での日本語理解」という点で大きな違いがあります。次のセクションでは、N1とN2それぞれのレベル感を詳しく見ていきましょう。

N1レベルの日本語能力と実務での活用範囲

N1は日本語能力試験の最高レベルであり、幅広い場面で使われる日本語を理解できる能力が求められます。このレベルに合格するためには、約10,000語の語彙と約2,000字の漢字を習得する必要があり、日本語学習者にとっては非常に高いハードルとなっています。製造業の現場においては、N1レベルの外国人材は高度な業務遂行能力を持つ人材として期待できます。

N1レベルの言語能力の詳細

N1レベルの読解能力は、新聞の論説や評論など論理的にやや複雑な文章や抽象度の高い文章を読んで、文章の構成や内容を理解できるレベルです。さまざまな話題の内容に深みのある読み物を読んで、話の流れや詳細な表現意図を理解することができます。

聴解能力においては、自然なスピードのまとまりのある会話やニュース、講義を聞いて、話の流れや内容、登場人物の関係や話の論理構成などを詳細に理解できます。また、要旨を把握する能力も高く、複雑な議論や専門的な話題についても理解が可能です。

N1レベルが実務で対応可能な業務範囲

製造業の現場において、N1レベルの外国人材は幅広い業務に対応できます。品質管理部門では、品質報告書や改善提案書などの専門的な文書を読解し、自ら作成することも可能です。会議においては、技術的な議論や抽象的な概念についての討論にも参加でき、自分の意見を論理的に述べることができます。

顧客対応においても、クレーム対応や技術説明など、高度なコミュニケーションが求められる場面においても十分に対応が可能です。ただし、敬語の使い分けや業界特有の専門用語については、入社後のフォローが必要な場合もあります。

N1レベルと国際基準CEFRとの対応

N1レベルはCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)ではC1レベルに相当するとされています。C1レベルは「熟達した言語使用者」として位置づけられており、複雑で専門的な話題についても流暢かつ自然に表現できるレベルです。

このレベルの外国人材は、日本人社員と同等の業務遂行能力を持つと評価でき、管理職やリーダーポジションへの配属も検討できる人材といえます。ただし、JLPTは「読む」「聞く」能力を測定する試験であるため、「話す」「書く」能力については別途評価が必要です。

  • 学術論文や評論文など抽象度の高い文章の理解
  • 複雑な議論や専門的な話題の聴解
  • 論理的な思考と表現が求められる業務への対応
  • 高度な顧客対応や社内外の折衝業務
  • 管理職としてのマネジメント業務

これらの能力を持つN1レベルの人材は、製造業における技術者やエンジニア、品質管理担当者として即戦力となる可能性が高いといえます。

N2レベルの日本語能力と実務での活用範囲

N2レベルは、日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解できる能力が求められます。合格には約6,000語の語彙と約1,000字の漢字の習得が必要であり、多くの企業が外国人採用の最低基準として設定しているレベルです。製造業の現場では、N2レベルは基本的な業務遂行に必要な日本語能力の目安として広く認識されています。

N2レベルの言語能力の詳細

N2レベルの読解能力は、新聞や雑誌の記事・解説、平易な評論など、幅広い話題について書かれた文章を読んで理解できるレベルです。一般的な話題に関する読み物を読んで、話の流れや表現意図を理解することができます。

聴解能力においては、日常的な場面に加えて、幅広い場面で自然に近いスピードのまとまりのある会話やニュースを聞いて、話の流れや内容、登場人物の関係を理解し、要旨を把握することができます。ただし、N1と比較すると、抽象度の高い内容や複雑な論理構成の理解には限界があります。

N2レベルが実務で対応可能な業務範囲

製造業の現場において、N2レベルの外国人材は日常的な業務コミュニケーションに対応できます。作業指示書や安全マニュアルなどの社内文書を理解し、日報や簡単な報告書の作成も可能です。チーム内でのコミュニケーションや日常的な会議への参加も問題なく行えます。

ただし、高度な技術文書の作成や、複雑な交渉、クレーム対応などには上司や先輩社員のサポートが必要な場合があります。品質管理部門では、標準的な検査業務や記録作業は可能ですが、改善提案や分析レポートの作成には指導が必要です。

N2レベルで注意すべき限界点

N2レベルの外国人材を採用する際には、いくつかの限界点を理解しておく必要があります。敬語の使い分けについては、基本的な尊敬語・謙譲語は理解していますが、ビジネスシーンでの細かいニュアンスや場面に応じた使い分けには不安が残る場合があります。また、業界特有の専門用語や慣用句、略語などについては入社後の教育が必須です。

電話対応や来客対応など、即座の判断と適切な言葉遣いが求められる場面では、最初はサポート体制を整える必要があります。配属先を決める際には、これらの限界点を考慮し、フォロー体制を構築することが重要です。

項目N1レベルN2レベル
語彙数約10,000語約6,000語
漢字数約2,000字約1,000字
読解力論説・評論など複雑な文章新聞・雑誌など一般的な文章
聴解力専門的な議論・講義日常会話・一般的なニュース
CEFR対応C1レベルB2レベル
業務適性高度な専門業務・管理職日常的な業務・チーム業務

この比較表から分かるように、N1とN2の間には語彙数や理解できる文章の複雑さに大きな差があります。採用時にはこの違いを十分に理解し、配属先や業務内容を検討する必要があります。

外国人採用時に見るべきポイント

JLPTのスコアは客観的な指標として有用ですが、それだけで外国人材の実際の実務能力を判断することは適切ではありません。JLPTは「読む」「聞く」能力を測定する試験であり、「話す」「書く」能力は直接測定されていないためです。製造業の現場では、口頭でのコミュニケーションや報告書作成など、総合的な日本語運用能力が求められます。ここでは、採用時に見るべき具体的な評価ポイントを解説します。

JLPTスコアと実務能力のギャップ

JLPTで高得点を取得していても、実際の会話やビジネス文書作成では苦労するケースがあります。これは試験の性質上、受動的な理解力を測定しているためです。採用面接では、JLPTのレベルに加えて、実際の会話能力や説明力を確認することが重要です。

例えば、自己紹介や志望動機を述べる際の流暢さ、質問への即座の対応、適切な敬語の使用などを観察することで、実務で求められるコミュニケーション能力を評価できます。また、簡単な技術的な質問をして、専門的な内容を日本語で説明できるかどうかも確認すべきポイントです。

面接での具体的な評価方法

面接時には、複数の観点から日本語能力を評価することが推奨されます。まず、面接冒頭での自然な会話を通じて、日常会話レベルの流暢さを確認します。次に、業務に関連する質問をして、専門的な内容を日本語で説明する能力を評価します。

さらに、簡単なロールプレイやシミュレーションを行い、実際の業務場面での対応力を見ることも有効です。また、履歴書や職務経歴書などの提出書類から、文章作成能力や漢字の使用状況を確認できます。これらの多角的な評価により、JLPTスコアだけでは見えない実務能力を把握できます。

配属先決定時の判断基準

日本語能力に応じた適切な配属先を決定することは、外国人材の定着と活躍に直結します。N1レベルの人材であれば、品質管理部門や技術開発部門など、高度なコミュニケーションが求められる部署への配属も可能です。N2レベルの人材の場合は、まずはチーム内でのサポート体制が整っている部署に配属し、段階的に責任範囲を広げていくことが望ましいでしょう。

また、配属後の日本語教育プログラムや、メンター制度の整備も重要です。定期的に日本語能力の伸びを確認し、業務範囲を調整していく柔軟な対応が、外国人材の成長とモチベーション維持につながります。

  • 面接での会話能力と流暢さの確認
  • 専門的な内容を日本語で説明する能力の評価
  • 提出書類から文章作成能力の確認
  • ロールプレイやシミュレーションでの実践的評価
  • 配属先のサポート体制と教育プログラムの整備

これらの評価ポイントを総合的に判断することで、ミスマッチのない採用と適切な配属が実現できます。

まとめ

JLPTは、外国人採用における日本語能力の客観的な評価指標として、製造業の大企業で広く活用されています。N1レベルは高度な専門業務や管理職に対応できる能力を、N2レベルは日常的な業務遂行に必要な能力を示しており、この違いを正確に理解することが適切な採用判断につながります。

ただし、JLPTのスコアだけで実務能力を判断することは適切ではありません。面接での会話能力の確認や、実務テストを通じた総合的な評価が重要です。また、配属後のサポート体制や継続的な日本語教育プログラムの整備により、外国人材の能力を最大限に引き出すことができます。

自社の業務内容や求める役割に応じて、適切な評価基準を設定し、ミスマッチのない外国人採用を実現していきましょう。

参考文献
https://global-saponet.mgl.mynavi.jp/know-how/15943

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