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【2025厳罰化】不法就労助長罪とは?2025年改正で強化された罰則と企業が避けるべきリスクを解説

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【2025厳罰化】不法就労助長罪とは?2025年改正で強化された罰則と企業が避けるべきリスクを解説

外国人労働者の雇用が増加する中、2025年の法改正により不法就労助長罪の罰則が大幅に強化されました。人手不足の解消策として外国人材の活用が進む一方で、知らず知らずのうちに違法状態を招いてしまう企業も少なくありません。この法改正では懲役刑や罰金の上限が引き上げられ、企業経営に重大な影響を及ぼすリスクが高まっています。本記事では、不法就労助長罪の定義や該当する具体的なケース、2025年改正による罰則強化の内容、そして企業が取るべき実践的なリスク回避策について詳しく解説します。

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不法就労とは何か

不法就労とは、日本の法令に違反して就労活動を行うことを指します。外国人が日本で働く場合には、必ず適切な在留資格を取得し、許可された範囲内で就労する必要があります。この基本ルールを守らない状態が不法就労であり、企業側にも重い責任が課せられます。

不法就労の定義と法的位置づけ

不法就労は出入国管理及び難民認定法(入管法)において明確に禁止されています。外国人が日本で働くためには在留資格が必要であり、その在留資格の種類によって就労できる業務内容や範囲が定められています。

不法就労とは、この在留資格を持たないか、または在留資格で許可された範囲を超えて就労している状態を指します。外国人本人だけでなく、雇用する企業側も処罰の対象となるため、正確な理解が不可欠です。

不法就労に該当する3つのパターン

不法就労には大きく分けて3つのパターンが存在します。それぞれのパターンを正確に理解することで、違法状態を未然に防ぐことができます。

1つ目は、不法滞在者(在留期間超過や退去強制決定者など)を就労させてしまうケースです。2つ目は、観光など就労を認めない在留資格のまま働かせたり、資格外活動許可なしで就労させてしまうケースです。3つ目は、就労可能な在留資格でも認められた活動範囲を超える就労(業種違い・職務不一致・時間超過)に当たるケースです。

いずれのパターンも、在留カードの有効性・就労可否区分・配属先の職務内容との適合性・労働時間の上限を入社時と運用時の両方で確認することが不可欠です。採用、配属変更、シフト調整、在留期間更新の各局面で記録を残し、逸脱の兆候を早期に検知できる体制を整えましょう。

具体的な不法就労の事例

製造業や建設業など、人手不足が深刻な業界では、不法就労のリスクが特に高まります。例えば、留学生が本来認められている週28時間の上限を超えてアルバイトをしている場合、これは資格外活動に該当します。

また、技能実習生が契約で定められた業務とは異なる作業に従事させられているケースも不法就労です。さらに、観光目的で入国した外国人を短期間のアルバイトとして雇用することも、明確な違法行為となります。具体的な不法就労の事例は、下記のとおりです。

不法就労のパターン具体例企業側のリスク
不法滞在者の就労在留期限切れの外国人を雇用不法就労助長罪で刑事罰の対象
資格外活動留学生が週28時間を超えて勤務雇用主が助長罪に問われる可能性
偽造書類による就労偽造在留カードで採用された人材確認義務違反で罰則対象

不法就労助長罪とは

不法就労助長罪は、外国人の不法就労を手助けしたり促進したりする行為を処罰する法律です。入管法第73条の2に規定されており、企業や個人が外国人を不法に働かせた場合に適用されます。この法律は外国人本人だけでなく、雇用する側にも厳しい責任を課すものです。

不法就労助長罪の法的根拠と構成要件

不法就労助長罪は入管法第73条の2に明記されており、「事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者」や「外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者」などが処罰対象となります。この罪は故意だけでなく、過失による違反も処罰対象となる点が特徴です。つまり、知らなかったという理由だけでは責任を免れることはできません。

企業には外国人労働者の在留資格や就労可能範囲を確認する義務があり、その義務を怠った場合にも罰則が科される可能性があります。

助長罪の対象となる行為と範囲

不法就労助長罪の対象となる行為は、直接雇用するケースだけに限定されません。外国人を派遣労働者として受け入れる場合や、業務委託先として利用する場合も含まれます。また、仲介業者として外国人労働者を斡旋する行為、不法就労者に作業場所を提供する行為、さらには宿泊施設を提供する行為も処罰の対象です。

このように、不法就労に関わる幅広い行為が規制されており、企業は自社だけでなく、取引先や協力会社の状況にも注意を払う必要があります。

処罰対象となる企業・個人の範囲

不法就労助長罪で処罰されるのは、雇用主である企業だけではありません。企業の代表者や人事担当者などの個人も刑事責任を問われる可能性があります。さらに、人材派遣会社や職業紹介会社など、外国人労働者の斡旋に関わる事業者も対象です。

製造現場において下請け企業が不法就労者を使用していた場合、元請け企業が管理責任を問われるケースもあります。このため、サプライチェーン全体でのコンプライアンス体制の構築が求められています。下記は、チェックすべき企業・個人の例になります。

  • 直接雇用している企業の経営者・人事担当者
  • 派遣労働者として外国人を受け入れている企業
  • 外国人労働者を斡旋・仲介する人材紹介会社
  • 不法就労者に作業場所や宿泊施設を提供する者
  • 下請け・協力会社の管理責任を負う元請け企業

2025年改正による罰則強化の内容

2025年の法改正により、不法就労助長罪の罰則が大幅に強化されました。この改正は外国人労働者の権利保護を強化し、悪質な雇用者への抑止力を高めることを目的としています。企業にとっては、コンプライアンス違反のリスクがこれまで以上に重大になったといえます。

懲役刑・罰金刑の引き上げ内容

改正前の不法就労助長罪では、懲役3年以下または罰金300万円以下が上限でした。しかし2025年の改正により、懲役5年以下、罰金500万円以下へと大幅に引き上げられました。さらに重要な点として、懲役刑と罰金刑の併科が可能になったことが挙げられます。

つまり、懲役刑と罰金刑の両方が同時に科される可能性があり、企業にとっての経済的・社会的ダメージは計り知れません。特に大企業においては、ブランドイメージの毀損や取引先からの信頼喪失など、罰則以上の損失が発生するリスクがあります。

法人処罰規定の強化

2025年改正では、個人だけでなく法人に対する処罰規定も強化されました。両罰規定により、従業員が不法就労助長罪を犯した場合、その従業員だけでなく法人にも罰金刑が科されます。法人に対する罰金額も引き上げられており、最大で1億円の罰金が科される可能性があります。

これは中小企業にとっては経営を揺るがす金額であり、大企業においても無視できない規模です。企業としては、現場レベルでの法令遵守体制を徹底し、組織全体でリスク管理を行う必要があります。

改正の背景と政策的意図

この法改正の背景には、外国人労働者の増加と労働環境の適正化があります。日本では深刻な人手不足を背景に外国人労働者の受け入れが拡大していますが、一部では劣悪な労働条件や不法就労が問題となっていました。2025年改正では技能実習制度の廃止と新たな「育成就労」制度の創設も同時に行われ、外国人労働者の権利保護が一層強化されています。

政府は適正な外国人雇用を促進する一方で、悪質な雇用者に対しては厳罰で臨む姿勢を明確にしました。企業は法令遵守を前提とした外国人材の活用が求められています。下記は、改正前と後の比較表になります。

項目改正前2025年改正後
懲役刑3年以下5年以下
罰金刑(個人)300万円以下500万円以下
罰金刑(法人)規定あり最大1億円
併科の可否選択制併科可能

企業が直面するリスクと影響

不法就労助長罪で摘発された場合、企業が受ける影響は罰金や懲役刑だけにとどまりません。社会的信用の失墜、取引停止、事業継続の困難など、多岐にわたる深刻なリスクが存在します。特に大企業においては、コンプライアンス違反が与える影響は組織全体に波及します。

刑事罰がもたらす経営への直接的影響

不法就労助長罪で有罪判決を受けると、企業の代表者や担当者に懲役刑が科される可能性があります。経営トップが刑事罰を受ければ、経営の継続性に重大な支障が生じます。また、法人に対する罰金は最大1億円に達する可能性があり、中堅企業でも経営を圧迫する金額です。

さらに、刑事事件として報道されることで企業イメージが大きく損なわれ、顧客離れや採用活動への悪影響も避けられません。製造業においては、取引先からの監査強化や取引停止のリスクもあり、サプライチェーン全体に影響が及ぶ可能性があります。

行政処分と事業への制約

刑事罰に加えて、行政処分を受けるリスクも存在します。建設業や人材派遣業などでは、許認可の取り消しや営業停止処分が科される可能性があります。これにより事業活動が制限され、収益機会の損失だけでなく、既存の契約履行にも支障が出る恐れがあります。

また、公共事業への入札参加資格が停止されるケースもあり、官公庁との取引が重要な企業にとっては死活問題となります。製造現場においても、法令遵守体制の不備が明らかになることで、品質管理体制への信頼も揺らぎかねません。

社会的信用とブランドイメージの毀損

不法就労助長罪での摘発は、企業の社会的信用を根底から揺るがします。大企業であればメディアで大きく報道され、SNSでの拡散により風評被害が長期化する可能性があります。取引先企業からの信頼も失われ、既存の契約解除や新規取引の停止につながることもあります。また、優秀な人材の確保が困難になり、採用活動にも深刻な影響が出ます。

特にグローバル展開している企業では、海外市場での評価も低下し、国際的な競争力が損なわれるリスクがあります。一度失った信用を取り戻すには、長い年月と多大なコストが必要です。

企業が実践すべき具体的なリスク回避策

不法就労助長罪のリスクを回避するためには、コンプライアンス体制の構築が不可欠です。ここでは、企業が実践すべき具体的な対策を段階的に解説します。これらの対策を確実に実施することで、法令違反のリスクを最小限に抑えることができます。

在留カードと在留資格の確実な確認

外国人労働者を雇用する際、最も基本的かつ重要なのが在留カードの確認です。在留カードには在留資格の種類、在留期限、就労制限の有無などが記載されています。採用時だけでなく、在留期限が近づいた際には更新状況を確認し、期限切れで不法滞在とならないよう管理する必要があります。

また、在留カードの真偽を判定するために、出入国在留管理庁が提供する「在留カード等番号失効情報照会」システムを活用することが推奨されます。このシステムでは、カード番号を入力することで有効性を確認できます。さらに、在留資格で認められている業務内容と実際に従事させる業務が一致しているかを精査することも重要です。

雇用管理体制の整備とチェックリストの運用

組織的なリスク管理のためには、外国人雇用に関するチェックリストの作成と運用が効果的です。チェックリストには、在留カードの確認項目、就労可能な業務範囲の確認、在留期限の管理方法、資格外活動許可の有無などを明記します。

また、人事担当者だけでなく、現場の管理者にも外国人雇用に関する基礎知識を教育し、組織全体でコンプライアンス意識を高めることが重要です。定期的な内部監査を実施し、運用状況を確認することで、潜在的なリスクを早期に発見できます。これらの取り組みは、万が一違反が発生した際にも、企業が適切な管理体制を整備していたことの証明となります。

専門家やサービスの活用

外国人雇用に関する法令は複雑であり、自社だけで完全に対応することは困難です。そのため、行政書士や社会保険労務士などの専門家に相談することが推奨されます。特に在留資格の変更申請や更新手続きなどは、専門家のサポートを受けることでミスを防げます。

また、外国人材の採用を専門とする人材紹介会社を利用する場合は、その会社が適切な在留資格確認を行っているかを確認することも重要です。対策項目ごとの具体的な対策内容とその頻度をまとめた表は、下記のとおりです。

対策項目具体的な実施内容確認頻度
在留カード確認採用時の原本確認、
コピー保管、
真偽判定システムでの照会
採用時・在留期間更新時
就労資格の確認在留資格と業務内容の一致確認、
資格外活動許可の有無確認
採用時・配置転換時
在留期限管理期限が近づいた際のアラート設定、
更新手続きの支援
毎月
社内教育人事担当者・現場管理者への研修実施年2回以上
内部監査雇用状況の確認、
書類管理状況のチェック
四半期ごと

まとめ

2025年の法改正により、不法就労助長罪の罰則は大幅に強化され、企業が直面するリスクはこれまで以上に重大なものとなりました。懲役5年以下、罰金500万円以下という厳しい刑罰に加え、法人には最大1億円の罰金が科される可能性があります。企業にとって重要なのは、外国人労働者の在留資格や就労可能範囲を正確に確認し、組織全体でコンプライアンス体制を整備することです。在留カードの確認、雇用管理チェックリストの運用、専門家の活用など、具体的な対策を確実に実施することで、法令違反のリスクを最小限に抑えることができます。派遣労働者や業務委託先についても同様の管理を徹底し、サプライチェーン全体での法令遵守を実現することが求められます。

外国人材の活用は企業の成長に不可欠な要素ですが、それは適正な雇用を前提としています。法令遵守は企業の社会的責任であり、長期的な事業継続の基盤です。本記事で解説した内容を参考に、自社の外国人雇用体制を見直し、安心して外国人材を活用できる環境を整えてください。

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参考文献
https://global-saponet.mgl.mynavi.jp/visa/1103

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