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事例から学ぶ!製造業におけるデータ利活用の課題と実現までのステップ

事例から学ぶ!製造業におけるデータ利活用の課題と実現までのステップ

データの利活用は多くの企業が目指すところですが、それを実現するまでの過程は決して平坦なものではありません。本記事では弊社における支援事例を中心としたケーススタディをもとに、データ利活用における課題や実現までのステップを紹介します。

デジタル技術を利用した業務の自動化や効率化は、人材不足に課題を抱える多くの企業を支えており、日々新たなツールやシステムが誕生しています。しかし、昨今では業務のデジタル化に留まらず、デジタル技術により蓄積できるようになったデータをいかに活用し、事業を進化させていくかに目が向けられつつあります。

業務の効率化や意思決定の迅速化、新たな価値創出など、データの利活用により得られるメリットは計り知れません。しかし、その過程はツールやシステムを導入するだけの単純なものではなく、組織全体での推進が求められます。そこで本記事では、データ利活用を進めるステップを弊社事例、および他社様の事例を踏まえつつ解説していきます。

データ利活用実現の流れ

データ利活用において最適なシステムや効果的なプロジェクトの進め方は、企業規模や業種、業務内容、従業員数、そして目的によっても異なります。そこでまずは、データ利活用までの一般的な流れを紹介しましょう。

課題と現状の把握

データ利活用の第一歩は、自社の現状を正確に把握することから始まります。把握すべき点は「業務で発生している課題」と「データの活用状況」の主に2つです。「業務で発生している課題」は、日々の業務において生じるものですので、業務の状況を各部門へヒアリングし把握する、もしくは経営視点から判断していくこととなります。

「データの活用状況」について重要となるのは以下の3点です。

  • 自社のデータが取得できているのか
  • データを適切に管理できているのか
  • 管理するシステムがどのような状態にあるか

まず確認すべきは、社内の情報がデジタルデータとして管理されているかどうかです。情報が紙ベースで保管されている、もしくはスキャナーなどを通じてデジタル化し管理している場合、データや業務プロセスのデジタル化を進めることが初歩的なステップになります。

データ管理においては、データが社内で共有できる状態にあるか、そして社内で利用する複数のツールやシステムの間でデータが連携されているかがポイントです。この点で課題を抱えている企業が多く、代表的な状態として以下の3つがあげられます。

サイロ化ツールやシステム毎に、あるいは拠点や部門毎にデータが孤立しており、共有や連携ができていない状態
ブラックボックス化データ管理がどのように行われているかを理解できておらず(=ブラックボックス)、適切にデータを扱えていない状態
スパゲティ化ツールやシステム間の連携が複雑になっており、運用や保守管理が難しい状態

自社がこれらの課題を抱えていないか、抱えているのであれば、どのような点が原因となっているかを紐解いていくことで、データ利活用のために「やるべきこと」が見えてくるでしょう。

課題抽出・目標設定

前述した課題と現状を踏まえた次なるステップは、何を実現したいかのゴールを設定することです。全ての課題を一度に解決するのは困難ですので、課題の中でも特に優先度が高いものは何か、解決による効果が期待できるものは何かといった視点からゴールを設定し、実現までの計画を立てていきます。

実現までのプランニング

現状と目標を踏まえた上で、実現までのプランニングを行います。プロジェクトの進め方や期間、必要なリソース、予算、担当チーム、各ステップでの具体的な目標などを定め、必要な場合には外部パートナーとの連携や、リソースの確保も検討しなければなりません。

プランニングにあたっては自社の業務理解に加え、デジタル技術への知見が求められるため、社内各所からそれぞれに精通した人員を集め、知見を共有しながら進めることがポイントです。社内でデジタル人材が不足している場合は、プランニングの段階から外部パートナーと相談すると良いでしょう。

プロジェクト実行・システム導入

いよいよプランニングに沿って、プロジェクトを進めていく段階です。この段階では、新たに導入するシステムの開発や既存システムの改修実務と、各部門との折衝が主になるでしょう。導入後を見据えると、社内で各部門の運用をサポートするヘルプデスクや、運用マニュアルの整備も必要となります。

運用・展開

システム導入後、まずはトラブルなくスムーズに運用することが大切です。社内各所が適切に活用できているか、当初の目的が達成できそうかを踏まえて、必要に応じてシステムもしくは業務フローを調整します。また、導入の効果を把握するために、システム利用状況や業務工数といった成果指標を定めておきましょう。

そして安定した運用が可能となったのちに、業務領域の拡大や、他拠点・他部門への展開を経て、より強固なデータ利活用体制を構築していきます。

データ利活用のプロジェクト事例

製造業A社(弊社支援事例)

実際に弊社が支援し、これらのステップに沿ってプロジェクトを進めた企業様の事例を紹介します。各ステップにおける検討事項を見ていくことで、自社のデータ利活用においてどのような視点を持つべきか、何を考えるべきかといった点が明確になるのではないでしょうか。

各ステップステップ毎の主な検討事項や進め方
課題・現状把握・生産設備の点検業務が大きな負担となっている ・生産設備のログデータを取得しているが、利活用できていない ・保全業務(点検など)における情報は作業者が紙ベースで記録しており、蓄積できていない
目標設定・点検データの記録から既存システムに転送するまでの仕組みを構築する ・すでに蓄積しているデータと共に一元管理し、予知保全を実現する ・最終的にはこれらのデータを経営戦略にまで活用する
プランニング・現場データと既存システム内のデータを連携するシステム設計 ・プロジェクト実現までのフェーズ分けとスケジューリング
プロジェクト実行・開発実務、人材支援等を通してアウトソーシングテクノロジーが伴走支援
運用・展開・部門内でのタテ展開、他拠点・他部門へのヨコ展開など新たなプロジェクトを提案・推進

同事例では上記の課題や目標を踏まえて、検査データ収集の仕組みや、収集したデータを活用するプラットフォーム「Snowflake」を導入しました。プロジェクトの過程やシステム設計などの詳細は、以下の事例解説資料にて紹介しております。

関連資料:【事例解説】“脱サイロ化”で実現する次世代設備管理システム

また、本記事の事例は実現までのステップに焦点を当てていますが、業務別・目的別の事例紹介記事もございますので、より多くの事例を知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

関連記事:製造業におけるビッグデータ活用事例-12社の企業を紹介

ヤマハ発動機株式会社

ヤマハ発動機株式会社では、従来より業務における問題点の改善から売上拡大に取り組んでいましたが、デジタル技術の活用を推進するため、データ統合をはじめとした改革プロジェクトを経営目線で推進しました。そして実際に、エンジニアリングチェーンの生産性を高めるデータ利活用の仕組みを構築しています。

各ステップステップ毎の主な検討事項や進め方
課題・現状把握・拠点が増加する中で拠点毎にシステムがサイロ化している ・ニーズの把握やターゲットに合わせた商品展開ができていない
目標設定・データ利活用による戦略的アプローチや予知型経営の実現
プランニング・経営陣の意識改革と、事業所全体への戦略発信 ・プロジェクトを推進するデジタル戦略部を立ち上げ、分野毎に実現可能性を検証 ・外部パートナーと連携し、新たなシステムとデータ活用のアーキテクチャを設計
プロジェクト実行・プロジェクト推進に際し、自社内のソフトエンジニアリング人材への教育を行い、導入後もデータ利活用をスムーズに進められる体制を整備
運用・展開・エンジニアリングチェーンの省人化や効率化を実現 ・製造だけでなく、その他業務領域におけるグローバル規模の統合を推進

参考:経済産業省 製造業DX取組事例集 p.32-33

沖電気工業株式会社

沖電気工業株式会社は、埼玉県と静岡県に持つ2つの工場間において製品設計情報のサイロ化が生じていました。そこで2つの工場を連携する「バーチャル・ワンファクトリー」というプロジェクトを通じてサイロ化を解消し、双方でデータを利活用し合える仕組みを構築しています。

各ステップステップ毎の主な検討事項や進め方
課題・現状把握・ニーズの多様化に伴うマスカスタマイゼーション対応や社会変化による需要減の懸念 ・2つの工場で図面や技術標準が異なり、データ連携が取れていない
目標設定・工場ごとに分かれていた各種設計情報の共通化
プランニング・2つの工場の部門間、生産、施策プロセス、そしてIT面の融合 (バーチャル・ワンファクトリー)
プロジェクト実行・プロジェクト毎に各拠点から人材を拠出し、自社の研究開発部門と連携することで、全社的なスキルを底上げ
運用・展開・部門内でのタテ展開、他拠点・他部門へのヨコ展開など新たなプロジェクトを提案・推進

参考:経済産業省 製造業DX取組事例集 p.6-7

事例が豊富なパートナーへも相談を

データ利活用への関心は広がっているものの、実現までの道のりは決して平坦なものではありません。また、相応の費用を要するからこそ費用対効果の検証も必要となりますが、事前にデータ利活用で得られる効果を数値化するのは難しいでしょう。

事例からどのような課題から、何を考え、どのように進めたのか、そしてどのような効果が得られたのかを学び、自社に落とし込むことで、データ利活用実現までの道のりと成果を具体的にイメージできるようになります。とはいえ、実現までの過程や効果の全てが公開されているケースは少ないため、豊富な実績をもつ外部パートナーとも相談し、自社に近しい事例をもとに検討することをおすすめします。

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