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ザグリとは?機械加工に欠かせない必須知識を徹底解説

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ザグリとは?機械加工に欠かせない必須知識を徹底解説

機械加工や板金加工において、ねじ頭を収める穴として「ザグリ」という加工方法があります。ザグリ加工は、六角ボルトや皿ボルトなどのねじ頭を表面から突出させることなく固定するための重要な技術です。設計図面でザグリの指示を見かけることは多いものの、その詳細な意味や加工方法、寸法の決め方について正確に理解している技術者は意外と少ないのが現状です。本記事では、ザグリ加工の基礎知識から実務での活用方法まで、製造現場で必要となる知識を解説します。

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ザグリ加工の基本と目的

ザグリ加工とは、ねじやボルトの頭部を収めるために、既存の穴を段付き状に拡張する機械加工です。通常の貫通穴や止まり穴とは異なり、ねじ頭の形状に合わせて穴の一部を大径にすることで、ねじ頭が表面から突出することを防ぐ役割を果たします。

この加工方法の主な目的は、製品表面の平滑性を保つことにあります。特に機械装置の外装部品や精密部品では、ねじ頭の突出が機能上の障害となったり、美観を損ねたりする場合があるため、ザグリ加工が不可欠です。

ザグリ加工が必要となる場面

製品設計においてザグリ加工が必要となるのは、主にねじ頭の突出を避けたい場合や、表面の平滑性を確保したい場合です。

具体的には、機械カバーや装置筐体において、他の部品との干渉を防ぐ必要がある箇所で多用されます。また、回転部品の近くでは、突出したねじ頭が安全上の問題となる可能性があるため、ザグリ加工による平滑な表面仕上げが重要です。

通常の穴あけ加工との違い

通常の穴あけ加工では、ドリルによって一定径の円筒形状の穴を作成しますが、ザグリ加工では段付き形状を作成する点が大きく異なります。この段付き構造により、ねじの軸部分は通常径の穴を通り、頭部のみが拡張された部分に収まる仕組みとなっています。

加工工程についても、通常の穴あけ後にザグリ加工を行う二段階の工程が基本となるため、工程管理や寸法精度の確保が一層求められます。

ザグリ加工の種類と特徴

ザグリ加工には、使用するねじの種類や設計要求に応じて複数の種類が存在します。主要な種類として、通常ザグリ(円筒ザグリ)と皿ザグリ(円錐ザグリ)があり、それぞれ異なる特徴と用途を持ちます。

これらの違いを理解することは、適切な設計選択と製造指示において極めて重要です。間違った種類を選択すると、ねじの固定力不足や外観不良の原因となる可能性があります。

通常ザグリ(円筒ザグリ)

通常ザグリは、六角ボルトや丸頭ボルトなどの頭部が円筒状や六角形状のねじに対応する加工方法です。

この加工では、ねじ頭の外径よりもわずかに大きな径で円筒状の凹部を作成します。深さはねじ頭の高さに応じて設定され、一般的にはねじ頭高さの110〜120%程度とすることが多いです。以下の表に、代表的な六角ボルトの規格と、それに対応するザグリ径・ザグリ深さの一例を示します。

ボルト規格ザグリ径(mm)ザグリ深さ(mm)
M6六角ボルト11.06.5
M8六角ボルト14.08.6
M10六角ボルト18.010.8

 

皿ザグリ(円錐ザグリ)

皿ザグリは、皿頭ボルトや皿小ねじなどの頭部が円錐状のねじに対応する加工方法です。円錐角度は一般的に90度または100度が標準で、ねじ頭の角度に正確に合わせる必要があります。

この加工では、表面との面一(つらいち)仕上げが可能となり、最も平滑な表面を実現できます。精密機械や美観を重視する製品において特に重要な加工方法となります。

ザグリと類似加工の違いと使い分け

機械加工において、ザグリ以外にも穴の拡張や段付き加工に関連する技術が複数存在します。これらの類似加工との違いを正確に理解することは、適切な設計選択と製造指示において不可欠です。

特に皿モミ(カウンターシンク)との混同は現場でよく見られる問題であり、設計意図と異なる加工が行われる原因となることがあります。

皿モミ(カウンターシンク)との違い

皿モミは面取り加工の一種であり、穴の入口部分を円錐状に削る加工ですが、ザグリは段付き構造を作る加工である点で根本的に異なります。

皿モミの主な目的は、穴の入口部分のバリ取りや面取りであり、ねじ頭を収める機能はありません。一方、ザグリはねじ頭を確実に収めるための構造的な加工です。以下に、皿モミとザグリの主な違いを項目ごとに整理します。

  • 皿モミ:穴入口の面取り、バリ取り目的
  • ザグリ:ねじ頭収納のための段付き構造
  • 深さ:皿モミは浅く、ザグリはねじ頭高さ分の深さ
  • 形状:皿モミは円錐のみ、ザグリは円筒または円錐

リーマ加工との違い

リーマ加工は、既存の穴の径を高精度で拡大し、表面粗さを向上させる加工方法です。ザグリ加工とは目的と加工結果が大きく異なります。

リーマ加工では一定径の円筒穴を高精度で仕上げることが目的であり、段付き構造は作成されません。精密嵌合や軸受け取付けなどの高精度を要求される箇所で使用されます。

座ぐり加工との用語の整理

「座ぐり」と「ザグリ」は同じ加工を指す用語ですが、業界や地域によって使い分けがあります。JIS規格では「座ぐり」の表記が正式ですが、現場では「ザグリ」という呼び方も広く使用されています。

図面指示においては、統一された用語使用が重要であり、社内規格や取引先との用語統一を図ることが製造品質の向上につながります。

図面表記と寸法設定の実務知識

ザグリ加工の図面表記には、JIS規格に基づいた正確な記載方法が定められています。設計者と製造現場の間での情報伝達を正確に行うためには、これらの規格に沿った表記が欠かせません。

また、寸法設定においては、ねじ規格との適合性だけでなく、加工精度や製造コストも考慮した最適な値を選定する必要があります。

JIS規格に基づく図面表記方法

ザグリ加工の図面表記では、ザグリ径、ザグリ深さ、下穴径を明確に指示し、記号「⌴」を使用して表記することが標準です。

表記例として「⌴12×5 – φ8」のような形式が用いられ、これはザグリ径12mm、深さ5mm、下穴径8mmを意味します。この表記により、加工者は必要な工具と加工条件を正確に判断できます。

寸法公差の設定考え方

ザグリ加工における寸法公差は、ねじとの嵌合性能と加工コストのバランスを考慮して設定する必要があります。一般的にザグリ径の公差は±0.2mm程度、深さの公差は±0.5mm程度が標準的です。

ただし、高精度を要求される用途では、より厳しい公差設定が必要になる場合があります。このような場合は、加工方法や工具選定についても慎重な検討が求められます。

項目一般公差精密公差
ザグリ径±0.2±0.1
ザグリ深さ±0.5±0.2
下穴径±0.1±0.05

 

材質別の加工考慮事項

材質によってザグリ加工の難易度や最適な加工条件が変化します。軟鋼材では比較的容易な加工が可能ですが、ステンレス鋼やアルミニウム合金では材質特性に応じた工具選定と加工条件設定が必要です。

特にアルミニウム材では、切削熱によるバリ発生や寸法変化に注意が必要であり、適切な切削油剤の使用と送り速度の調整が重要になります。

加工方法と使用工具

ザグリ加工を実際に行う際には、専用工具の選定と適切な加工条件設定が加工品質を大きく左右します。加工精度と効率性を両立させるためには、工具特性と加工対象の材質に応じた最適な組み合わせを選択することが重要です。

現代の製造現場では、CNC機械の普及により高精度なザグリ加工が可能となっていますが、基本的な加工原理と工具知識は依然として重要な技術要素となっています。

専用工具の種類と特徴

ザグリ加工には、カウンターボアカッターやエンドミルなどの専用工具が使用され、一発加工が可能な一体型工具と汎用性の高い分割型工具があります。

一体型カウンターボアカッターは、下穴加工とザグリ加工を同時に行えるため効率が良く、寸法精度も安定します。一方、分割型では既存設備での加工が可能で、工具コストを抑えることができます。

CNC機械での加工プログラム

CNC機械でのザグリ加工では、工具経路と加工条件を正確にプログラミングすることが重要です。特にザグリ深さの制御は、ねじとの嵌合性能に直接影響するため、高い精度が要求されます。

加工プログラムでは、切り込み速度、送り速度、主軸回転数を材質と工具に応じて最適化し、加工面の粗さと工具寿命のバランスを取る必要があります。

品質管理と検査方法

ザグリ加工の品質管理では、径と深さの寸法検査が基本となります。ダイヤルゲージやデプスマイクロメーターを使用した精密測定により、図面指示寸法との適合性を確認します。

また、ザグリ面の仕上げ状態や段部の直角度についても目視検査や表面粗さ測定により品質を確保します。特に皿ザグリでは、角度精度がねじ頭の座り具合に直接影響するため、角度測定も重要な検査項目となります。以下に、ザグリ加工で実施される主な検査項目を示します。

  • 寸法検査:径、深さ、角度の測定
  • 表面検査:仕上げ面の粗さと傷の確認
  • 機能検査:実際のねじとの嵌合を確認
  • 外観検査:バリや欠けの有無を確認

まとめ

ザグリ加工は、ねじ頭を表面から突出させることなく固定するための重要な機械加工技術です。通常ザグリと皿ザグリの使い分け、適切な寸法設定、正確な図面表記により、製品の機能性と美観を両立させることができます。

材質特性に応じた工具選定と加工条件設定により、高品質なザグリ加工を実現できます。設計から製造まで、正しい知識を持つことで、効率的で確実な製品開発が可能となるでしょう。

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