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【初心者向け】技能実習制度とは?仕組み・対象職種・メリットをわかりやすく解説

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【初心者向け】技能実習制度とは?仕組み・対象職種・メリットをわかりやすく解説

技能実習制度について初めて調べている方にとって、制度の全体像や仕組み、メリット・デメリットを把握することは容易ではありません。企業担当者の方は「外国人人材を受け入れたいが、どのような制度なのか」「自社の業種で活用できるのか」といった疑問を持たれることでしょう。この記事では、技能実習制度の目的や背景、具体的な流れ、対象職種、在留資格の種類、企業・実習生双方のメリット・デメリットまで、初心者の方にも分かりやすく解説します。

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技能実習制度とは?制度の目的と背景

技能実習制度は、開発途上国の経済発展と産業振興を担う人材育成を目的として設立された、日本独自の制度です。まずは、この制度がどのような目的で作られ、どのように発展してきたのかを理解しましょう。

制度の目的

技能実習制度の主な目的は、日本で培われた技術・技能・知識を開発途上国へ移転することです。実習生が日本の企業で実務を通じて技能を習得し、帰国後に母国の経済発展に貢献することが期待されています。制度の本質は人材育成を通じた国際協力であり、単なる労働力確保ではありません。

この目的を達成するため、実習生は最長5年間の在留期間の中で段階的に技能を習得し、技能検定試験に合格することで在留資格を更新していきます。企業側も適切な指導体制を整え、実習生の成長をサポートする責任を担います。

制度の歴史と法改正

技能実習制度は、1993年に正式に制度化され、当初は「研修」と「特定活動」の組み合わせとして運用されていました。その後、2010年には入国直後から雇用関係を結ぶ「技能実習」の在留資格が新設され、実習生の労働者としての権利が明確化されました。

2017年11月には「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(技能実習法)が施行され、制度は大きく改正されました。この改正により、技能実習計画の認定制度や監理団体の許可制が導入され、実習生の保護と制度の適正化が強化されています。さらに、優良な監理団体・実習実施者には最長5年の実習期間が認められるようになりました。

特定技能制度との違い

技能実習制度と混同されやすい制度に「特定技能制度」があります。特定技能制度は2019年4月に新設された在留資格で、人手不足が深刻な産業分野において即戦力となる外国人材を受け入れることを目的としています。以下の表は、両制度の目的・在留期間・転職可否・家族帯同など主要ポイントを比較したものです。

項目技能実習制度特定技能制度
制度目的国際貢献・人材育成人手不足対応・即戦力確保
在留期間最長5年特定技能1号:最長5年
特定技能2号:更新可能
転職原則不可同一分野内で可能
家族帯同不可特定技能2号は可能

技能実習制度は人材育成を目的とするため転職が制限されていますが、特定技能制度は労働力確保を目的とするため同一分野内での転職が認められています。自社のニーズに応じて、どちらの制度が適しているかを検討することが重要です。

技能実習制度の仕組みと流れ

技能実習制度を利用する際には、申請から実習生の帰国まで、複数のステップを経る必要があります。ここでは、制度の具体的な流れと各段階でのポイントを解説します。

申請から配属までの流れ

技能実習制度の利用は、企業が監理団体を通じて実習生を受け入れる「団体監理型」と、企業が直接実習生を受け入れる「企業単独型」の2つの方式があります。実際には約98%が団体監理型で運用されており、監理団体のサポートを受けながら進めることが一般的です。

まず、企業は監理団体と契約を結び、受入れ希望国や職種、人数などの条件を伝えます。監理団体は現地の送り出し機関と連携し、条件に合った候補者を選抜します。その後、企業は技能実習計画を作成し、外国人技能実習機構(OTIT)に認定申請を行います。計画が認定されると、実習生は在留資格認定証明書の交付を受け、日本への入国が可能になります。

入国後、実習生は約1〜2か月間の講習(日本語教育、日本の生活習慣、労働関係法令など)を受けた後、企業に配属されます。この講習期間中は雇用関係が発生せず、講習手当が支給されます。

技能検定と在留資格の更新

技能実習生は在留資格を更新するために、段階的に技能検定試験を受験する必要があります。技能実習1号(1年目)から技能実習2号(2〜3年目)へ移行する際には、技能検定基礎級または随時3級に合格しなければなりません。さらに、技能実習3号(4〜5年目)へ移行するには、技能検定随時2級以上に合格する必要があります。

技能検定は学科試験と実技試験で構成され、実習生が習得した技能を客観的に評価するための仕組みです。企業は実習生が試験に合格できるよう、日常の実習内容を充実させるとともに、試験対策のサポートを行うことが求められます。

監理団体の役割

監理団体は、技能実習制度において企業と実習生をつなぐ重要な役割を担っています。具体的には、実習実施者(企業)への指導・監督、実習生の保護、技能実習計画の作成支援、定期的な実地検査などを行います。主な業務は以下のとおりです。

  • 技能実習計画の作成サポート
  • 実習生の日本語教育・生活支援
  • 企業への定期訪問と実習状況の確認
  • 実習生からの相談対応
  • 技能検定の受験手続き支援

監理団体は外国人技能実習機構の許可を受けた組織であり、一般監理事業と特定監理事業の2種類があります。一般監理事業の許可を受けた優良な監理団体であれば、技能実習3号の受入れが可能となります。企業は信頼できる監理団体を選定することで、制度を円滑に運用できます。

技能実習制度の対象職種と在留資格

技能実習制度は幅広い職種・分野を対象としていますが、すべての業種で利用できるわけではありません。ここでは、対象となる職種や在留資格の種類、技能検定の詳細について説明します。

対象職種・分野の一覧

技能実習制度の対象職種は、厚生労働省が定める「技能実習2号移行対象職種」として85職種156作業が指定されています。主な分野には、農業、漁業、建設、食品製造、繊維・衣服、機械・金属、その他製造業などがあり、製造業の現場では多くの職種が対象となっています。代表的な分野と職種・作業の例は、以下のとおりです。

分野主な職種例作業例
農業耕種農業、畜産農業施設園芸、畑作・野菜、養豚、養鶏
建設建築大工、とび、鉄筋施工大工工事作業、とび作業、鉄筋組立て作業
食品製造缶詰巻締、食鳥処理加工業缶詰巻締作業、食鳥処理加工作業
機械・金属鋳造、鍛造、機械加工鋳鉄鋳物鋳造作業、プレス機械作業、普通旋盤作業
その他製造プラスチック成形、塗装、溶接射出成形作業、建築塗装作業、手溶接作業

技能実習3号への移行が可能な職種は77職種135作業に限定されており、自社の業種・作業内容が対象職種に該当するかを事前に確認することが必要です。対象外の職種では技能実習制度を利用できないため、監理団体や外国人技能実習機構に確認しましょう。

在留資格の種類と期間

技能実習生の在留資格は、習得段階に応じて「技能実習1号」「技能実習2号」「技能実習3号」の3種類に区分されます。それぞれの在留資格には期間と要件が定められており、段階的にステップアップしていく仕組みです。

技能実習1号は入国後1年間の在留資格で、実習生は基礎的な技能を習得します。技能実習2号は2年間の在留資格で、技能検定基礎級または随時3級に合格することで移行できます。技能実習3号は2年間の在留資格で、優良な監理団体・実習実施者のもとで技能検定随時2級以上に合格した実習生のみが移行可能です。

技能実習3号へ移行する場合、実習生は一時帰国(1か月以上)が義務付けられています。これにより、実習生が母国で習得した技能を活用する機会を確保し、制度本来の目的である国際貢献を実現します。

技能検定の内容と合格要件

技能検定は実習生の技能習熟度を測る国家試験であり、学科試験と実技試験の両方に合格する必要があります。学科試験は日本語または母国語での受験が可能で、基礎的な知識や安全衛生に関する問題が出題されます。実技試験は実際の作業を行いながら技能を評価するもので、職種ごとに試験内容が異なります。主な区分と移行要件は、以下のとおりです。

  • 技能検定基礎級:技能実習1号から2号への移行時に必要
  • 技能検定随時3級:技能実習1号から2号への移行時に必要(基礎級の代替可能)
  • 技能検定随時2級:技能実習2号から3号への移行時に必要

企業は実習生が計画的に技能を習得し、検定試験に合格できるよう、実習内容を工夫し、必要に応じて模擬試験や講習を実施することが推奨されます。監理団体も試験対策のサポートを提供しているため、積極的に活用しましょう。

技能実習制度のメリット・デメリット

技能実習制度を利用することで、企業と実習生の双方に多くのメリットがある一方、デメリットや注意すべき点も存在します。ここでは、それぞれの立場から見たメリット・デメリットを整理します。

企業側のメリット

企業にとって技能実習制度を活用する最大のメリットは、若く意欲的な外国人材を受け入れ、人手不足の解消と生産性向上を図れることです。特に製造業の現場では、技能を習得した実習生が戦力として活躍し、品質管理や生産効率の向上に貢献します。

また、実習生の受入れを通じて社内の指導体制や作業マニュアルを整備する機会となり、既存社員のスキルアップやマネジメント能力の向上にもつながります。実習生に技能を教える過程で、日本人社員が改めて自社の技術や品質基準を見直すきっかけとなり、組織全体のレベルアップが期待できます。

さらに、技能実習制度を通じて海外とのネットワークを構築し、将来的な海外展開や現地パートナーとの協力関係を築くことも可能です。実習生が帰国後に母国で事業を展開する際、日本企業との連携が生まれるケースもあります。

実習生側のメリット

実習生にとっての最大のメリットは、日本の高度な技術・技能を実務を通じて習得できることです。母国では学べない専門的な技能や品質管理の手法を身につけることで、帰国後のキャリアアップや起業に活かせます。

また、日本での生活を通じて異文化理解を深め、語学力や社会人としてのマナーを向上させることができます。技能実習制度では実習生に労働者としての権利が保障されており、最低賃金以上の報酬や社会保険への加入が義務付けられています。

技能検定に合格することで、国際的に通用する技能資格を取得でき、母国での就職や日本での再就労(特定技能への移行など)にも有利に働きます。

デメリットと注意点

技能実習制度にはメリットが多い一方で、下記のようないくつかのデメリットや注意点も存在します。企業側にとっては、申請書類の作成や技能実習計画の認定、定期的な報告など、事務負担が大きいことが課題です。

  • 技能実習計画の作成と外国人技能実習機構への申請
  • 実習生の受入れに伴う宿舎の確保や生活支援
  • 技能検定の受験サポートと合格に向けた指導
  • 監理団体への監理費用の支払い
  • 実習生とのコミュニケーション(言語・文化の違い)

制度運用上の課題として、一部の企業や監理団体で不適切な労働環境や賃金未払いといった問題が発生しているケースもあります。企業は技能実習法や労働関係法令を遵守し、実習生の権利を保護することが求められます。外国人技能実習機構や労働基準監督署による監査や実地検査が定期的に行われるため、適正な運用を心がけることが重要です。

まとめ

技能実習制度は日本の技術・技能を開発途上国へ移転し、国際貢献と人材育成を目的とする制度です。1993年の正式制度化以降、2017年の技能実習法施行により実習生の保護と制度の適正化が強化され、現在では最長5年の実習期間が認められています。制度を利用する際には、監理団体のサポートを受けながら技能実習計画を作成し、外国人技能実習機構の認定を受ける必要があります。

企業側には人手不足の解消や社内体制の強化といったメリットがあり、実習生側には高度な技能習得とキャリアアップの機会が得られます。技能実習制度の全体像を理解し、自社のニーズに合った活用方法を検討することで、制度を最大限に活用できるでしょう。

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