送信中です

ご入力内容を送信中です。
しばらくそのままでお待ちください。

Report

レポート

  1. PROTRUDE – 現場のあらゆる課題、解決策のすべてがここに –トップ
  2. レポート
  3. ベンチュリ管とは?高精度流量測定に最適な理由と選定ポイント

ベンチュリ管とは?高精度流量測定に最適な理由と選定ポイント

品質・保全

企画・設計

図面管理

CAD/3DCAD

ベンチュリ管とは?高精度流量測定に最適な理由と選定ポイント

工場やプラントにおける流量測定において、「精度」「圧力損失の低減」「長期安定性」のすべてを高いレベルで満たす計測機器を選定することは、生産効率やエネルギーコストに直結する重要な課題です。数ある流量計の中でも、ベンチュリ管は100年以上の歴史を持つ差圧式流量計として、石油化学プラント、上下水道、発電所など大規模な流体輸送システムで広く採用されています。本記事では、ベンチュリ管の測定原理や構造的特徴を詳しく解説するとともに、他の流量計との比較や具体的な選定ポイント、導入時の注意点まで紹介します。高精度な流量測定を実現するために、ベンチュリ管が最適な選択肢となる理由を理解し、自社の設備に適した流量計選定の判断材料としてお役立てください。

関連リンク:「図面管理」に関する記事一覧

ベンチュリ管の基本原理と測定の仕組み

ベンチュリ管は、配管内の流体流量を測定するための差圧式流量計の一種であり、ベルヌーイの定理に基づいて動作します。このセクションでは、ベンチュリ管がどのような物理法則を利用して流量を計測しているのか、その基本原理と測定の仕組みを詳しく解説します。

ベルヌーイの定理と差圧測定の関係

ベルヌーイの定理は、流体の速度エネルギーと圧力エネルギーの総和が一定に保たれるという流体力学の基本法則です。ベンチュリ管は、この定理を応用して配管の断面積を絞ることで流速を増加させ、その結果生じる圧力低下を利用して流量を測定します。具体的には、流体が狭い部分(スロート部)を通過する際に流速が上昇し、圧力が低下する現象を利用しています。

測定の手順としては、まず入口部(上流側)とスロート部で圧力を測定し、その差圧を求めます。この差圧は流速の二乗に比例するため、差圧の値から流量を逆算することが可能です。計算式は流体の密度、配管径、スロート径などのパラメータを含む標準的な流量公式に基づいており、国際規格で詳細に規定されています。

ベンチュリ管の構造と各部の役割

ベンチュリ管は、入口部(コンバージング部)、スロート部、出口部(ディフューザ部)の三つの主要部分から構成されています。入口部は配管径から徐々にスロート部へと絞られた円錐形状をしており、流体を滑らかに加速させる役割を果たします。この形状により、流れの剥離や乱れを最小限に抑え、測定精度を高めることができます。

スロート部は最も断面積が小さい部分で、ここで最大流速と最低圧力が発生します。この部分の圧力を正確に測定することが、高精度な流量計測の鍵となります。出口部は再び配管径に戻るための拡大円錐部であり、流速を緩やかに減速させることで圧力を回復し、下流側への影響を最小化します。この緩やかな拡大形状により、ベンチュリ管は他の差圧式流量計と比較して圧力損失を大幅に低減できるという大きな利点を持っています。

差圧式流量計としての計測プロセス

ベンチュリ管による流量測定は、差圧センサーまたは差圧伝送器を用いて入口部とスロート部の圧力差を連続的に測定することから始まります。測定された差圧データは、流量演算器またはPLC(プログラマブルロジックコントローラ)に送信され、あらかじめ設定された流量公式に基づいて瞬時流量および積算流量が算出されます。

この計測プロセスは機械的な可動部を持たないため、長期間にわたって高い信頼性と再現性を維持できることが大きな特徴です。また、流体の温度や圧力が変動する場合には、温度補正や圧力補正を行うことで、より正確な流量測定が可能となります。このように、ベンチュリ管は物理法則に基づく確実な測定原理と、シンプルかつ堅牢な構造により、高精度かつ長期安定した流量測定を実現しています。

ベンチュリ管が高精度流量測定に適している理由

ベンチュリ管は、数ある流量計の中でも特に高精度な測定が求められる用途で選ばれることが多い計測機器です。このセクションでは、ベンチュリ管が高精度流量測定に適している具体的な理由を、技術的な特徴と実用上のメリットの両面から解説します。

圧力損失の低減と測定精度の両立

ベンチュリ管の最大の特徴は、高い測定精度を保ちながら圧力損失を最小限に抑えられることです。オリフィス流量計など他の差圧式流量計と比較すると、ベンチュリ管の圧力損失は約1/3~1/5程度に抑えられます。これは、出口部のディフューザ形状が流体の圧力回復を効率的に行うためです。

圧力損失が小さいということは、ポンプ動力の削減や配管システム全体のエネルギー効率向上に直結します。特に大口径配管や長距離輸送を行う石油化学プラントや上下水道システムでは、わずかな圧力損失の差が年間数百万円単位のエネルギーコスト削減につながることもあります。また、測定精度については、適切に設計・設置されたベンチュリ管は±0.5~±2%の測定精度を実現できるとされており、取引計量や厳格な品質管理が求められる用途にも対応可能です。

詰まりにくい設計と安定性

ベンチュリ管は、流路が滑らかな曲線形状で構成されており、急激な断面変化や角部が存在しないため、異物や固形物が堆積しにくい構造となっています。オリフィスプレートのように鋭利なエッジを持つ流量計では、微小な固形物の付着や腐食による形状変化が測定誤差を引き起こすことがありますが、ベンチュリ管ではこのようなリスクが大幅に軽減されます。

この特性により、スラリーや微細な固形物を含む流体、あるいは腐食性のある流体でも安定した測定が可能です。メンテナンス頻度を低減できることは、プラントの稼働率向上やメンテナンスコストの削減にも貢献します。また、機械的な可動部がないため、摩耗や故障のリスクが極めて低く、10年以上にわたって校正不要で使用できる場合もあります。

短い直管長要求と設置の柔軟性

多くの流量計では、測定精度を確保するために上流側・下流側に一定の直管長を確保する必要があります。しかし、ベンチュリ管は流体の流速分布を整流する効果が内蔵されているため、他の差圧式流量計と比較して必要な直管長が短く済みます。ISO規格では、上流側で配管径の5~20倍、下流側で3~4倍程度の直管長が推奨されていますが、これはオリフィスプレートなどと比較すると大幅に短い数値です。

設置スペースが限られた既設プラントの改修や、配管レイアウトに制約がある場合でも、ベンチュリ管は柔軟に導入できる利点があります。また、流速分布の影響を受けにくい構造のため、エルボやバルブなどの配管部品が近くに存在する場合でも、比較的安定した測定が可能です。このような設置条件の柔軟性は、大規模プラントでの配管設計の自由度を高め、工事コストの削減にも寄与します。下記の表は、代表的な流量計(ベンチュリ管・オリフィス・超音波)の特性比較表です。

特性項目ベンチュリ管オリフィス流量計超音波流量計
測定精度±0.5~±2%±1~±3%±0.5~±1%
圧力損失小(10~20%回復)大(50~90%)なし
必要直管長(上流)配管径の5~20倍配管径の10~40倍配管径の10~20倍
詰まりにくさ高い低い影響なし
メンテナンス性良好(可動部なし)普通(定期交換必要)良好(非接触)

他の流量計との比較と選定基準

流量計の選定においては、測定対象となる流体の特性、配管条件、求められる精度、コスト、メンテナンス性など、多くの要素を総合的に判断する必要があります。このセクションでは、ベンチュリ管と主要な他方式の流量計を比較し、どのような条件でベンチュリ管が最適な選択となるのか、具体的な選定基準を提示します。

オリフィス流量計との比較と使い分け

オリフィス流量計は、ベンチュリ管と同じ差圧式流量計のカテゴリーに属し、構造がシンプルで初期コストが低いことから広く普及しています。オリフィスプレートは薄い金属板に孔を開けた構造で、配管にフランジで挟み込むだけで設置できるため、施工性に優れています。しかし、圧力損失が大きく、エッジ部分に異物が付着しやすいため、測定精度が長期的に低下しやすいという課題があります。

ベンチュリ管は初期コストはオリフィスより高いものの、圧力損失が小さく長期安定性に優れるため、ランニングコストを含めたトータルコストでは有利になるケースが多くあります。特に、大口径配管、連続運転が求められるプラント、高粘度流体やスラリーなど詰まりやすい流体を扱う場合には、ベンチュリ管の選定が推奨されます。一方、小口径配管で短期間の測定や頻繁な流体変更が予想される場合には、オリフィス流量計の方が経済的に有利となることがあります。

超音波流量計・電磁流量計との比較

超音波流量計は、配管外部からクランプオンで測定できるタイプや、配管内に超音波センサーを挿入するタイプがあり、圧力損失がゼロで非接触測定が可能という大きな利点があります。また、電磁流量計は導電性流体に対して高精度で広い測定レンジを持ち、双方向流量測定も可能です。これらの流量計は、測定精度や応答性においてベンチュリ管と同等以上の性能を持つことがあります。

しかし、超音波流量計は流体中の気泡や固形物、温度変動による超音波の減衰や散乱の影響を受けやすく、測定条件によっては精度が低下します。電磁流量計は導電性流体に限定され、純水や油類、ガスには使用できません。また、両者とも電子機器を内蔵するため、高温環境や爆発性雰囲気での使用には制約があります。ベンチュリ管は、これらの制約が少なく、流体の物性や環境条件に対する適用範囲が広いため、汎用性の高い選択肢となります。

コリオリ流量計・容積式流量計との使い分け

コリオリ流量計は、質量流量を直接測定でき、密度や粘度の同時測定も可能な高機能流量計です。高精度(±0.1~±0.5%)かつ流体物性の影響を受けにくいため、取引計量や高精度プロセス制御に最適です。しかし、測定管が振動するため、大口径化が困難でコストも高く、また振動に弱い流体や気液混相流には適しません。

容積式流量計(楕円歯車式、ルーツ式など)は、低流速域でも高精度測定が可能で、粘度の高い流体に適しています。しかし、可動部があるため摩耗や故障のリスクがあり、定期的なメンテナンスが必要です。ベンチュリ管は、これらの流量計と比較してメンテナンスフリーで長期安定性に優れており、大口径かつ高流量の用途において最もコスト効率の高い選択肢となります。用途や流体特性に応じて、各流量計の長所・短所を理解し、最適な方式を選定することが重要です。下記の表は、流量計の種類別比較表です。

流量計方式測定精度初期コストメンテナンス性最適な用途
ベンチュリ管±0.5~±2%中~高優れる(可動部なし)大口径、高流量、連続運転
オリフィス±1~±3%普通(定期交換)小口径、低コスト優先
超音波±0.5~±1%中~高優れる(非接触)既設配管、圧力損失NG
電磁±0.5~±1%良好導電性流体、双方向測定
コリオリ±0.1~±0.5%普通(振動部あり)質量流量、高精度要求

まとめ

ベンチュリ管は、ベルヌーイの定理に基づく差圧式流量計として、100年以上にわたり世界中の産業プラントで信頼され続けてきた流量測定の標準的な手法です。高い測定精度と低い圧力損失、詰まりにくい構造、長期安定性という優れた特性により、石油化学プラント、上下水道、発電所など大規模かつ連続運転が求められる用途において、最も信頼性の高い流量計の一つとして位置づけられています。

他の流量計と比較すると、初期コストは高めですが、ランニングコストを含めたトータルコストでは有利となるケースが多いです。流量計選定においては、測定対象流体の特性、配管条件、求められる精度、メンテナンス性、コストなどを総合的に評価し、最適な方式を選択することが重要です。

本記事で解説した選定ポイントや注意点を参考に、自社の用途に最適なベンチュリ管を選定し、適切な設計・設置・運用を行うことで、長期間にわたって高精度かつ安定した流量測定を実現できます。流量測定の最適化は、生産効率の向上、エネルギーコストの削減、製品品質の安定化に直結する重要な取り組みであり、ベンチュリ管はその実現のための強力なツールとなるでしょう。

関連リンク:「図面管理」に関する記事一覧

関連ソリューション

Contact コンタクト

ITソリューション・テクノロジーサービスの
最適なプランをご提案します