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歩掛とは?積算や見積もりを正確に出すための計算方法や活用術

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歩掛とは?積算や見積もりを正確に出すための計算方法や活用術

建設業や土木業において、積算や見積もりの精度を左右する重要な要素が「歩掛(ぶがかり)」です。歩掛は作業1単位あたりに必要な人工数や機械、材料の量を標準化した指標で、正確なコスト管理や競争力のある見積もり作成において重要な概念です。しかし、歩掛の正しい意味や計算方法を十分に理解せずに積算業務を行っている方も少なくありません。本記事では、歩掛の基礎知識から具体的な計算方法、現場や地域ごとの調整方法まで、積算・見積もり業務の精度向上に必要な知識を解説します。

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歩掛の基本概念と人工との違い

歩掛を正しく活用するためには、まずその基本的な定義と役割を理解することが重要です。歩掛は建設工事における標準的な作業能力を数値化した指標で、積算や見積もりの客観的な根拠として活用されています。

歩掛の定義と役割

歩掛とは、建築工事の見積もりを行う際に、各工事で1単位あたりに必要な作業量(手間や日数)を示す概算値のことです。型枠工事の場合、1日でできる作業面積を歩掛とし、これに人工を掛けて単価を算出します。例えば「型枠工事1㎡あたり0.8人工」のように表現され、作業の効率性や必要な資源を定量的に示します。

歩掛は積算の透明性と客観性を確保する重要な役割を果たし、発注者と受注者の双方が納得できる見積もり根拠を提供します。また、過去の実績データに基づいて設定されるため、現実的で実現可能な工程計画の策定にも活用できます。

人工(にんく)との違いと関係性

人工は「1人が1日で作業できる量」を表す単位で、歩掛と密接な関係があります。人工が作業者の能力を基準とした単位であるのに対し、歩掛は作業1単位あたりに必要な人工数を示す基準値です。

具体的には、人工が「1日あたりの作業量」を表すのに対し、歩掛は「作業1単位あたりの所要人工」を表します。例えば、コンクリート打設で1日に10㎥施工できる作業者の場合、人工は10㎥/人・日となり、歩掛は0.1人工/㎥となります。

歩掛が重要な理由

歩掛の活用により、積算担当者は経験や勘に頼らない客観的な見積もりが可能になります。特に大規模工事や複雑な工種では、歩掛に基づく積算により大幅な見積もり精度の向上が期待できます。

さらに、歩掛を活用することで工程管理や資源配分の最適化も実現できます。必要な人員や機械の配置計画、材料の調達計画などを効率的に策定し、工事全体のコスト削減と品質向上に寄与します。

歩掛の種類と計算方法

歩掛は対象となる資源の種類によって労務歩掛、材料歩掛、機械歩掛の3つに分類されます。それぞれの特徴と計算方法を理解することで、より精度の高い積算が可能になります。

労務歩掛の特徴と計算方法

労務歩掛は作業1単位あたりに必要な人工数を示す指標で、最も基本的な歩掛の種類です。職種別の技能レベルや作業効率を考慮して設定され、労務費算出の基礎となります。

労務歩掛の計算では、普通作業員、技能工、特殊技能工など職種別の単価と所要人工を正確に把握することが重要です。例えば、鉄筋工事では鉄筋工の技能レベルと作業内容に応じて異なる歩掛を適用します。

材料歩掛の算出と注意点

材料歩掛は作業1単位あたりに必要な材料の量を示し、材料費の算出に使用されます。材料の種類、規格、品質基準に加えて、施工時の損耗率やロス率も考慮して設定されます。

材料歩掛の設定では、理論値に対して実際の施工で発生する損耗を適切に見積ることが重要です。コンクリートでは約2~5%、鉄筋では約3~8%の損耗率を一般的に見込みますが、工事条件や施工方法によって調整が必要です。

機械歩掛の種類と適用方法

機械歩掛は作業1単位あたりに必要な機械の運転時間や使用量を示します。建設機械の種類、規格、運転条件によって大きく異なるため、現場条件に適した機械選定と歩掛設定が重要です。

機械歩掛では機械損料(減価償却費、金利、保険料等)と運転経費(燃料費、修理費、運転手人件費等)を分けて計算します。特に大型機械や特殊機械では、機械歩掛が全体コストに与える影響が大きいため、慎重な検討が必要です。

積算・見積もりにおける歩掛の活用方法

歩掛を積算や見積もりで効果的に活用するためには、計算手順の理解と現場条件に応じた適切な調整が必要です。公共工事と民間工事では適用する基準が異なるため、案件の性質に応じた使い分けも重要になります。

基本的な計算手順と実践例

歩掛を使った積算の基本手順は、工事数量の算出、適用歩掛の選定、コスト計算、補正・調整の4段階に分かれます。各段階で正確な数値把握と適切な判断が求められます。

計算の精度を高めるためには、最新の積算基準と現場条件を総合的に判断し、必要に応じて歩掛の補正を行うことが重要です。例えば、コンクリート工事では気候条件や作業空間の制約によって標準歩掛から10~20%の調整が必要になる場合があります。

公共工事と民間工事での使い分け

公共工事では国土交通省や各自治体が定める積算基準に基づく歩掛を使用します。これらの基準は定期的に見直されており、最新版の確認と適用が必要です。一方、民間工事では自社の実績データや業界標準を基に独自の歩掛を設定することが一般的です。

公共工事の歩掛は透明性と公平性を重視して設定されているため、やや保守的な数値になる傾向があります。民間工事では競争力確保のため、より効率的な施工方法に基づく歩掛設定が可能ですが、リスク管理とのバランスが重要です。

現場条件による補正方法

標準歩掛は平均的な条件を前提として設定されているため、実際の現場条件に応じて補正が必要です。補正要因には地形条件、気候条件、作業空間、搬入搬出条件、周辺環境などがあります。

補正率の設定では過去の類似工事の実績データを参考にし、現場調査に基づく具体的な制約要因を数値化します。例えば、狭隘な作業空間では労務効率が20-30%低下する場合があり、この影響を歩掛に反映させる必要があります。

補正率を設定する際には、実際の現場でどのような要因が作業効率に影響を与えるかを整理しておくことが重要です。代表的な要因としては、次のようなものが挙げられます。

  • 地形・地質条件による作業効率への影響
  • 気候・季節要因による施工条件の変化
  • 作業空間の制約による機械効率の低下
  • 搬入搬出条件による運搬費の増加
  • 周辺環境による作業時間の制限

歩掛の最新基準と効率的な管理方法

歩掛を効果的に活用するためには、常に最新の基準情報を把握し、自社の実績データと照らし合わせながら継続的に改善を図ることが重要です。デジタル化の進展により、歩掛管理の効率化も可能になっています。

国土交通省基準と最新動向

国土交通省では「建設工事積算基準」「公共工事設計労務単価」などを定期的に改定しており、これらが公共工事の歩掛設定の基礎となります。特に労務単価は毎年見直されるため、最新版の確認が不可欠です。

最新基準の把握には国土交通省のウェブサイトや関連団体の情報を定期的にチェックし、改定内容を自社の積算システムに迅速に反映させることが重要です。また、地方自治体独自の基準がある場合は、該当地域での工事に適用する必要があります。

自社実績データとの比較検証

標準歩掛と自社の実績データを定期的に比較検証することで、より現実的で競争力のある歩掛設定が可能になります。実績データの蓄積と分析により、自社の技術力や施工効率を正確に把握できます。

実績データの分析では、工種別、規模別、地域別の傾向を把握し、標準歩掛との乖離要因を明確にします。この分析結果を基に、将来の見積もりでより精度の高い歩掛設定が可能になり、受注率と利益率の向上に寄与します。

デジタル化による歩掛管理の効率化

積算ソフトウェアやクラウドシステムの活用により、歩掛データの管理と更新を効率化できます。最新基準の自動更新機能や過去実績との比較機能により、積算業務の精度向上と時間短縮が実現できます。

デジタル化により、複数の現場データの横断的な分析や、AI技術を活用した歩掛予測も可能になっています。これらの技術を活用することで、従来の経験則に頼らない科学的な歩掛設定が可能になり、積算業務の高度化が図れます。

まとめ

歩掛は建設工事の積算・見積もりにおいて客観的で透明性のある根拠を提供する重要な指標です。労務歩掛、材料歩掛、機械歩掛それぞれの特徴を理解し、現場条件に応じた適切な補正を行うことで、精度の高いコスト計算が可能になります。

公共工事では国土交通省基準、民間工事では自社実績を基にした歩掛設定が重要であり、常に最新の基準情報を把握する必要があります。デジタル化の活用により歩掛管理の効率化も図れるため、積算業務の高度化と競争力向上を実現できます。

歩掛の正しい理解と活用により、建設業におけるコスト管理と収益性の向上を達成し、持続的な事業発展の基盤を築くことができるでしょう。

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