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xRとは?AR・VR・MR・SRの総称|それぞれの共通点と違いを解説

xRとは?AR・VR・MR・SRの総称|それぞれの共通点と違いを解説

『5G時代はxRがくる!』といわれてはいますが、「xRって何だろう?」と疑問に思っていませんか。結論からいうと、xRはAR・VR・MR・SR技術の総称です。この記事では、xRの定義とxRが活用されているビジネスの事例について解説します。また、xRの代表格であるAR・VR・MRの共通点と違いについてもふれます。

xRはAR・VR・MR・SR技術の総称

xRは、現実世界には存在しないものをデジタル表示することにより、新たな体験を生み出す技術の総称です。xRのxは「さまざまな文字が入る部分」を意味しています。なので、xRは、特定の技術を指すものではありません。

xRにはAR(Augmented Reality:拡張現実)やVR(Virtual Reality:仮想現実)、MR(Mixed Reality:複合現実)、SR(Substitutional Reality:代替現実) が含まれます。また、これから開発されるであろう同種の新たな技術もxRに含まれるでしょう。xRに含まれるAR、VR、MR、SRの定義は次のとおりです。

  • AR:現実世界の視野に対して、さまざまなデジタル情報を重ね合わせて見せる技術
  • VR:現実世界の視野から遮断されたディスプレイに、仮想のデジタル空間を表示する技術
  • MR:現実世界を3次元空間としてデジタル情報化し、その中に架空のオブジェクトを配置して自由に操作できる技術
  • SR:過去に起きた出来事をまるで現実世界で起きているかのように映像で見せて錯覚させる技術

AR・VR・MRについて詳しく知りたい方は、下記の関連記事をご覧ください。

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AR・VR・MR・SRの違い

AR・VR・MR・SRは、「実際には存在しないものを表示することで新たな体験を生み出す技術」という点で共通しています。

一方、異なる点はたくさんあります。ここでは、「利用するデバイス」と「ユーザーの視界」の2点におけるそれぞれの技術の違いについて解説します。

・利用するデバイスの違い

AR・VR・MR・SRを体験するとき、それぞれの技術に対応したデバイスを使う必要があります。

xRを体験できるデバイスのうち、もっとも私たちに身近なのは、スマートフォンです。スマートフォンでは、ARと簡易的なVRが体験できます。なおスマートフォンでVRを利用するときには、スマートフォンを眼前に固定するVRゴーグルと組み合わせる場合が多いです。

本格的にVRを体験したいときは、目の部分を覆い隠すような形状で、ゴーグルの内側部分がディスプレイになっている「ヘッドマウントディスプレイ」を使います。高機能のヘッドマウントディスプレイは、体の移動を検知できたりコントローラーを使って手の動きをデジタル世界に反映させたりできます。

ビジネスでARを使うときは、メガネの形状をしている「スマートグラス」デバイスを使います。レンズの部分に情報がホログラムで表示されますが、情報が表示される位置は固定されています。

MRで使うデバイスは、ユーザーの周りの環境をスキャンしたり、ユーザーの手の動きを検知したりするセンサーが付いていることが特徴です。メガネのレンズに当たる部分に情報がホログラムで表示されるものが一般的です。装置は「ヘッドマウントディスプレイ方式の複合現実ウェアラブルコンピューター」と呼んだり、単純に「MRデバイス」と表現したりします。

2020年9月時点で、SRはまだ実用化されていませんが、SRも「ヘッドマウントディスプレイ」を通して体験することができます。SRは、視覚・聴覚だけでなく触覚なども組み合わせることで、よりリアルな体験が得られます。

・ユーザーの視界の違い

AR・VR・MR・SRは、「実際には存在しないものがユーザーの視界に占める割合」が異なります。

わかりやすく説明するために、上記の3つの技術にRR(Real Reality:現実)を加えて説明しましょう。RRは、私たちが普段目にする実際の風景を指します。「実際には存在しないもの」がユーザーの視界に占める割合が低い順に並べると、次のようになります。

  • 0%:RR
  • 1~99%:AR, MR
  • 100%:VR, SR

私たちが普段生活するうえで、「実際には存在しないもの」を目にすることは基本的にありません。たとえば、机の上にあるパソコンやディスプレイは「実際にそこに質量をもって存在する」ものです。現実世界では、実際には存在しないものが視界に占める割合は0%ということになります。

AR、VR、MR、SRそれぞれのユーザーの視界について具体的に解説していきます。

・AR

ARを利用すると、私たちの視界はどう変わるでしょうか?ARは「現実世界の視野に対して、さまざまなデジタル情報を重ね合わせて見せる技術」。コンピューターから出力された情報やCG(実際には存在しないもの)が現実の風景に重なって表示されます。たとえば教育コンテンツを配信するアプリケーション「Expeditions」を利用すると、部屋の中にCGの恐竜が登場するでしょう。「実際には存在しないもの(CGの恐竜)」が私たちの視界の中に入ってきます。

・VR

VRを利用したときは、私たちの視界から実際の風景が消えます。代わりに、「コンピューターから生成されたデジタル世界」が視界を占めます。たとえば「PlayStation®VR」を利用したとき、自宅のリビングから一瞬でゲームの世界にトリップします。

PlayStation®VR

・MR

MRもARと同様に、現実世界に「実際には存在しないもの」が重ねて表示されます。なので、ユーザーからの見え方という点では、ARと同等といえるでしょう。ただしMRは、現実世界を3次元空間としてデジタル情報化し、その中に架空のオブジェクトを配置して自由に操作できる「現実世界とデジタル世界を融合する技術」です。現実世界とデジタルの世界が「相互に作用する」点がARやVRと異なります。

・SR

SRでは、ヘッドマウントディスプレイを通して、実際には存在しない過去の映像が現実世界の映像に置きかえられて表示されます。過去へトリップした感覚になり、現実世界との区別がつかないという不思議な体験ができるでしょう。

xRが課題解決する業務

xR技術によって解決できる業務は多岐にわたります。ここでは下記の業務についてご紹介します。

  1. 技術トレーニング
  2. 遠隔支援
  3. ナビゲーション
  4. 配置・試着シミュレーション
  5. 学習

これらの業務でxRがどのように活用されているのか解説していきます。

1.技術トレーニング

xRは、現実には体験することが難しい、命に危険をもたらす可能性がある作業のトレーニングに活用されています。

たとえば手術のトレーニングです。VRにより仮想の手術室および患者を再現することで、実際に手術している感覚を得ることができます。

またパイロットの訓練にもxRが使われています。MRによるCGでコックピットを再現することで、パイロットはよりリアルな環境で習熟度を高めることが可能です。

2.遠隔支援

現場作業者が遠隔地にいる専門家や熟練者から操作支援を受けるとき、xRが役に立ちます。

現場作業者が身につけた「スマートグラス」の映像をとおして、離れた場所にいる専門家が確認。現場作業者の「スマートグラス」に直接指示を表示させることで、より迅速で正確な支援が可能になります。

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3.ナビゲーション

xR技術は観光業において使われています。

たとえば、現存しない建物や風景をCGで再現するVRやARコンテンツです。ひと味違う観光体験を提供でき、ユーザーの満足度向上が見込めるでしょう。

また歴史的建物や観光施設内のさまざまなポイントにARマーカーを配置することで、通常であれば野外では提供できない、動きのあるコンテンツを提示できます。観光客の満足度向上とともに、マーカーを発見するという新たな楽しみやゲーム性を付加することができるでしょう。

4.配置・試着シミュレーション

xRを活用して、 商品購入前のお試しができます。

たとえば電化製品です。電化製品を実際に設置する前に、設置するスペースに問題がないかを、ARアプリケーション内で試すことができます。またアクセサリーやメガネといった、購入前に試着が必要なものも、スマートフォンのカメラを通じて自宅で手軽に試着できます。

5.学習

xRを活用することで、教科書や映像では得られない学習体験が可能になります。

たとえば医学生が人体の構造を学ぶときにMRを活用することで、3Dで表示された臓器を自分の手を使って回転させたり拡大したりできます。教科書のみで学ぶよりも、リアルな情報や知識を得ることができるでしょう。

またVRを使うことで、自分の部屋にいながら博物館の展示物をじっくり見ることができるようになります。近隣に博物館がなく直接訪れることが難しい子どもたちにも、新たな学習機会を与えることができるでしょう。

将来はVR・AR・MR・SRの垣根がなくなる

AR・MR・VR・SRを区別することは将来的に重要ではなくなるでしょう。そして、すべてのリアリティ技術をカバーできる「xR」という表現は、今後ますます浸透していくと考えられます。これから開発される同種の新たな技術についてもxRに含まれていくことになるでしょう。

現在、AR、VR、MR、SRの技術では、それぞれ別のデバイスを使わなければなりませんが、技術開発が進むことで、1つのデバイスであらゆる技術にアクセスできるようになるのも、そう遠い未来ではありません。このとき、RR/AR/MR/VR/SRを区別するのは「現実とデジタル世界の割合を調節するつまみの位置」だけになると想像できます。現実とデジタル世界が継ぎ目なくつながるようになる未来において、AR・MR・VR・SRの境界線は次第にあいまいになっていくでしょう。

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