ARとは?VR・MR・xRとの違いを解説
ARとは「Augmented Reality」の略称。
日本語では「拡張現実」と訳されることが多い言葉です。拡張現実とは、現実世界の視野に対して、さまざまなデジタル情報を重ねあわせて見せる技術のことです。
ARとよく比較されるものには「VR」と「MR」があります。
VRは「Virtual Reality」の略称。現実世界の視野から遮断されたディスプレイに、仮想のデジタル空間を表示する技術のことです。ARとVRの違いは「ユーザーの目に映る景色」です。VRは架空の世界、ARは現実の世界に表示されるデジタル情報が見えます。
MRは「Mixed Reality」の略称。現実世界にそのままデジタル情報を表示するARとは異なり、現実世界を3次元空間としてデジタル情報化し、その中に架空のオブジェクトを配置して自由に操作できる技術のことです。ARとMRの違いは「空間把握ができるかどうか」の違いです。
そして、これらのAR、VR、MRをまとめた総称として「xR」という言葉が近年使われています。
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私たちの身近にある! AR対応デバイス紹介
AR対応のデバイスには、
- スマートフォン、タブレット
- スマートグラス
- ヘッドマウントディスプレイ型ウェアラブルデバイス
の3種類があります。
スマートフォンやタブレットは私たちにとって身近なデバイスですが、スマートグラスやヘッドマウントディスプレイも、名前は耳にしたことがあるのではないでしょうか。どちらも手にもつのではなく、身につけるウェアラブルデバイスです。眼前にディスプレイを配置しているため、スマートフォンと異なり表示されるエリアが限定されず、ハンズフリーで利用することができます。
ここからは、それぞれのデバイスについてご紹介します。
1.スマートフォン、タブレット
ARを利用できる最も身近なデバイスはスマートフォンやタブレットでしょう。アプリを起動し、目の前にデバイスをかざすことで、画面に「ほしい情報」が表示されます。
タブレットはスマートフォンよりも画面サイズが大きいため、情報を多く表示できる利点があり、ビジネス向けのソリューションとしても活用されています。
AR技術が使われているスマートフォン向けアプリも各社からサービス展開されています。ARアプリは、私たちの身近なAR事例の1つですね。
2.スマートグラス
スマートグラスはメガネ型のウェアラブルデバイスです。レンズが透明なディスプレイとなっているため、スマートフォンやタブレットのように、表示エリアが限定されず、視線を移動させる必要がない点がメリット。
一方で、普段からメガネをかけている人は、二重に装着する必要があるため、その点はデメリットといえるかもしれません。とはいえ、スマートグラスは業務用としての活用が広がっているため、職場であれば、見た目はあまり気にはならないのではないでしょうか。
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3.ヘッドマウントディスプレイ型ウェアラブルデバイス
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)型のウェアラブルデバイスは、頭にセットするタイプのコンピューターです。ディスプレイはゴーグルのように眼前を完全に覆う形になっているものが多くあります。
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3種のAR紹介とそれぞれの活用方法
ARは認識方法などによって、
- ロケーションベースAR
- ビジョンベースAR
- SLAM
の3種類に分類できます。そして、その種類ごとに特徴や活用方法もさまざまです。
それぞれのARが、どのような技術によるものなのか、そしてどのように活用されているのかについてご紹介します。
1.ロケーションベースAR
ロケーションベースARは、GPSなどによって取得できる位置情報を利用してARコンテンツを表示します。位置情報にくわえ、方位や、傾きなどによって、ARコンテンツを表示させる場所の精度をあげることができます。
活用例としては、経路案内などのナビゲーションサービスに使用されており、観光業界の活用が多く見られます。身近な例では、位置情報に連動したARコンテンツを表示させるスマートフォンゲームなどが挙げられます。
2.ビジョンベースAR
次にご紹介するビジョンベースARは、画像認識によってARコンテンツを表示させるものです。
ビジョンベースARは「マーカー型AR」と「マーカーレス型AR」の2つに分けられます。
マーカー型ARは、マーカーを認識することによってARコンテンツを表示させます。
商品パッケージやポスターにARコンテンツを表示させるなど、企業の広告やプロモーションの活用事例が多いです。
一方マーカーレス型ARは、マーカーなどは必要なく、イラスト・製品・建物などを認識して、ARコンテンツを表示できることが大きく異なるポイントです。
活用例としては、配置シミュレーションアプリなどが挙げられます。家具の購入を検討する際に、実際に自分の部屋に配置するシミュレーションできるアプリが、インテリア関連の各社から配信されています。
また、製造業や、建築、医療などの分野では、シミュレーションに利用され、さまざまな業界で活用が広がっています。
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3.SLAM(スラム)
SLAMは、「Simultaneously Localization and Mapping」の略称で、自己位置の推定と環境地図を作成する技術です。カメラに映し出される映像などをリアルタイムで処理し、マーカーに頼らず、現在地を予測し、空間にあるものを検知して地図をつくることができます。
主な活用例は、自動運転用の地図の作成や、おそうじロボットの間取り生成が挙げられます。
ARで変わる企業、そしてビジネスの現場
いかがでしたでしょうか?
私たちにもなじみのある業界や企業で、ARの技術が活用されています。
ゲームやイベントなどエンターテイメントの分野から、企業の広告やプロモーション活用、さらに最近ではさまざまな業界で生産性向上を目的とした利用が広がっています。
「これまで見えなかったものが見えるようになることで、これまでできなかったことがいますぐできるようになる」
現実世界の視野にさまざまなデジタル情報が表示されるAR技術の活用がさらに進むことによって、これまで想像できなかった世界がすでに現実のものとなっています。