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中小企業のロボット導入が可能になった背景や事例をわかりやすく解説

中小企業のロボット導入が可能になった背景や事例をわかりやすく解説

中小企業は、金銭的コストなどの面から、実際にロボットを導入するのは難しいのでは?と考えている方もいるかもしれません。現在は、ロボットの低価格化や補助金制度の整備が進み、以前よりも中小企業がロボットを導入しやすくなっているのです。今回は、中小企業でも産業用ロボットを導入しやすくなった要因である「低価格化」や「補助金制度」を解説した上で、実際の導入事例をご紹介します。

製造業が抱える深刻な問題として、人手不足が挙げられます。その解決策として注目を浴びているのが、産業用ロボット。これまで人手で行っていた作業を自動化することで、業務の効率化はもちろん、品質の向上と生産性の安定化、危険かつ単純な作業からの解放など、さまざまなメリットがあります。

しかし、金銭的コストなどの面から、実際にロボットを導入するのは難しいのでは?と考えている方もいるかもしれません。現在は、ロボットの低価格化や補助金制度の整備が進み、以前よりも中小企業がロボットを導入しやすくなっているのです。

今回は、中小企業でも産業用ロボットを導入しやすくなった要因である「低価格化」や「補助金制度」を解説した上で、実際の導入事例をご紹介します。

ロボット導入の金銭的コストが低下

深刻な人手不足により、さまざまな業界が人材の確保に力を注いでいます。製造業界でも新たな働き手を得る努力は続けているものの、人手不足に歯止めがかからないのが現状です。

人手不足の解決策として、産業用ロボットが注目されましたが、導入時の金銭的コストが高く、大規模な予算を用意できる大企業にしか普及は進みませんでした。しかし近年、メーカーの生産技術向上やロボット普及による低価格化、さらに目的にあわせた機能を限定したロボットの登場などで、中小企業でもロボットを導入しやすくなりました。

また2013年12月に厚生労働省が定める「労働安全衛生規則第150条の4」の安全規則が緩和されました。これを受けて、人と同じ生産ラインでスポット導入できる『協働ロボット』が登場したため、生産ライン全体を自動化する必要があった頃よりも価格的なハードルは大幅に下がりました。

ロボット導入に関する補助金制度が充実

中小企業がロボットを導入する際に利用できる補助金には、いくつか種類があります。対象となる事業や補償額、利用時のポイントについては、各補助金の説明の最後に紹介している参考ページを確認してみてください。

ロボット導入実証事業

ロボット導入実証事業では、ものづくり分野やサービス分野におけるロボット活用の支援を行っています。

2015年2月、日本を「世界一のロボット利活用社会」を目指すことを目的とし、日本経済再生本部において「ロボット新戦略」が決定されました。これを背景に、今までロボットが活用されてこなかった領域へのロボット導入を進める支援として、この制度ができました。

主に製造業へのロボット活用を支援しているため、導入を検討するなら、ぜひチェックしておきたい支援事業です。

引用:ロボット導入実証事業

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、革新的なサービスや製品の開発を行う中小企業・小規模事業者を支援するために、中小企業庁が実施している制度です。「企業間データ活用型」「一般型」「小規模型」の3つの領域に分けられています。

この制度は内容や要件などが細かく定められており、企業規模によって受け取れる金額が変わるため、申請時は慎重な検討が必要です。

引用:ものづくり(サービス含む)中小企業支援−中小企業庁

ロボット導入促進のためのシステムインテグレータ育成事業

ロボット導入の需要が高まる一方で、中小企業などでは、従業員の教育に時間がかかることから自社でシステム構築ができない企業が多いのが現状です。

「ロボット導入促進のためのシステムインテグレータ育成事業」は、ロボット導入における一連の流れに携わる企業であれば、経費の一部を助成してもらえる制度です。企業がかかえる課題の分析や、それを改善するためのシステム構築と運用を行う事業者を「システムインテグレータ(SIer)」と言います。産業用ロボットの導入において重要な役割を担うシステムインテグレータ不足を解消するために、この制度ができました。

引用:「ロボット導入促進のためのシステムインテグレータ育成事業」の採択案件を決定し、同時に追加公募を開始します
参考記事:ロボット導入は補助金を活用!知っておきたい受給対象事業と申請時のポイント
参考記事:ロボットシステムインテグレータとは?導入プロセスや補助金を紹介

中小企業におけるロボット導入事例

最後に、中小企業が実際に産業用ロボットを導入した事例を紹介します。産業用ロボットはさまざまな業種や作業で活用されているため、自社が抱えている課題に近い事例が見つかるかもしれません。

梱包(製造業)

レトルト食品の開発から製造を行う工場では、殺菌後のレトルトのパッケージを梱包する際、手作業で専用のコンベアに並べ、回収をしていました。人手不足以外にも、作業担当者の熟練度によって供給量に差が出てしまうといった問題を抱えていました。

ロボットを導入したことで、パッケージを並べる作業から回収までが自動になり、1日当たり4名の工程従事者の省人化が可能となりました。手作業によって生じていた配置や供給ペースのばらつきがなくなったうえ、高温多湿の中同じ姿勢で長時間パッケージを回収するという過酷作業からの解放にもつながりました。

引用:ロボット導入実証事業 事例紹介ハンドブック2018

仕分け・積込(製造業)

医療用分包機を製造している工場では、製品を出荷する際、仕分けと積込を一つひとつ手作業で行っていました。しかし、早朝時・深夜時の人材確保や作業者への肉体的な負担の増加といった問題を抱えていました。

ロボットを1台導入しただけで、上流機4台からランダムに流れてくる製品の仕分けと梱包、品目別にまとめる工程の自動化を実現。この工程に携わる作業者をふたり分省人化しただけでなく、腰痛といった部署特有の病気が減ったことで欠勤者が無くなりました。

引用:ロボット導入実証事業 事例紹介ハンドブック2018

商品陳列(小売業)

全国に13店舗を展開しているスーパーマーケットでは、忙しい時間帯に棚の在庫を見渡し、商品を陳列する余裕を確保できていませんでした。そこで、従業員が接客などの付加価値の高い作業に注力できるよう、品出し・陳列作業の自動化に取り組みました。

飲料缶の残数をセンサーで測定し、缶のバーコードを読み取って缶を並べる向きを調整しながら陳列できるロボットを導入。在庫があるにもかかわらず、陳列できないことによる機会損失を減らしつつ、従業員にとってはルーチンワークが無くなり、モチベーション向上にもつながりました。

引用:ロボット導入実証事業 事例紹介ハンドブック2018

補助金などの理解を深めてロボット導入を進めましょう

メーカーの生産技術向上やロボット導入の需要増加にともなう低価格化、補助金制度の充実によって、産業用ロボットは中小企業でも導入が可能になりました。さらに小型や協働ロボットの登場によって、かつてのように大手企業が工場全体を自動化するときだけではなく、作業場の面積が小さい中小企業でもスポットで導入できるようになったのです。

人手不足や過酷作業による従業員の負荷などに悩みを抱えている場合は、これを機に自動化を検討してみてはいかがでしょうか。検討時にわからないことがある際は、ロボット導入時に総合的なサポートを行ってくれるロボットシステムインテグレータに相談してみましょう。

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