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PDPC法で品質管理を徹底する。図の作り方も解説

PDPC法で品質管理を徹底する。図の作り方も解説

PDPC法は問題を事前に予測し、発生した際に対応するための効果的な手法です。製造現場では次々と製品を作っていますが、不測の事態が起こる可能性はゼロではありません。品質を一定に保つためには、問題が発生した際に適切な対応が必要です。今回はPDPC法の活用法、目的や型による違い、図を作成する方法などをご紹介します。

製造現場では次々と製品を作っていますが、不測の事態が起こる可能性はゼロではありません。製品の品質を一定に保つためには、問題が発生した際に、適切な対応が必要です。

PDPC法は問題発生を事前に予測し、問題が起こった際に対応するための効果的な手法です。

今回はPDPC法がどのような分析に活用できるのか、その目的や型による違い、実際にPDPC図を作成する方法などをご紹介します。

PDPC法とは?活用して最悪の事態を回避

PDPC(Process Decision Program Chart)法とは、目標達成までに不測の事態が起こっても代替できる案を明確にしておく方法です。日本語では「過程決定計画図」と呼ばれています。

PDPC法は計画が頓挫しないように、事前に考えられるさまざまな結果を予測・想定し、プロセスの進行をできるだけ望ましい方向に導き、問題が生じた場合でも軌道修正が可能です。東京大学工学部の教授であった、近藤次郎氏によって開発されました。PDPC法は製造業では主に品質管理(Quality Control)のために用いられます。

品質管理は製品の品質を、一定の水準に保つために科学的に管理する活動です。不良品の削減や生産数の増加ために徹底的な品質管理が必要になります。品質管理の分析や改善を定量的(数値に表れる形で)にサポートするため「パレート図」や「ヒストグラム」、「散布図」などの「QC7つ道具」と呼ばれるフレームワーク・考え方が用いられています。

しかし現場では、すべての問題が数値に表れ、データとして扱えるわけではありません。そこで考えられたのが「新QC7つ道具」です。PDPC法はこの新QC7つ道具のひとつとして、言語データを図に整理することによって、定性的に品質管理における問題の解決を目指します。

参考記事:新QC7つ道具とは?従来の7つ道具との違いや各道具を解説

PDPC法は2種類ある

PDPC法は目的に応じて、ふたつの種類があります。

逐次展開型
逐次展開型のPDPC法は、現在の状況から変化を予測し、不測の事態が発生した都度打開策を考え、計画の修正を加えながら最悪の事態を回避するための方法です。

強制連結型
強制連結型のPDPC法は初期の計画時から、起こりうる不測事態を想定して、対応策を考える方法です。

PDPC法を活用する4つのメリット

PDPC法にはより具体的に、どのようなメリットがあるのでしょうか。

メリット1.全体を俯瞰できる

PDPC法はスタート(不測の事態)からゴール(解決した状態)までの全体像の把握が可能です。問題が起こった際、1から対応策を考え、選択し、実行するという工数をかけていると、その間さらに問題が広まってしまうかもしれません。また、その場で考えた対応策が実際は間違っていたという場合も考えられます。「Aという対応をするとBという結果になる」といった情報が頭にあるだけで、問題を早期に、確実に解決する可能性が高まるのです。

メリット2.予測が容易

PDPC法は数値ではなく言語データを扱う定性分析の道具であるため、イメージが湧きやすくなります。たとえば『「状態A」になったとき「対策B」をしたらこうなった』といったように、経験則から作成が可能です。数値データは正確性が高いですが、データを取りたくても取れない場合や、データがあってもうまく活用できないという場合も考えられます。対してPDPC法はアイデアから始められるため、不測の事態の予測が比較的容易です。

メリット3.問題に対して先手が打てる

たとえばスタートを「工程A」にした場合、そこからどういった問題が起こるのか対策を練るためのPDPC図を作成できます。不測の事態も、事前に対応策を考えていれば許容範囲内の問題と変わりません。新たな製品を作ったり、プロジェクトを発足したりする場合に強制連結型のPDPC図を用いると、このメリットを活かせます。

メリット4.理解しやすく、活用が容易

メリット2で述べたように、PDPC法はあまり数値や計算を扱うことが少ないため、「グラフ」等を用いる「QC7つ道具」と比べてわかりやすい、というメリットがあります。したがって、現場を管理している方のみならず作業員も含め協力・連携も容易になり、全体の意見をまとめ、計画の修正が可能です。

PDPC図の作り方

ここまで目的やメリットなど、PDPC法の必要性を解説してきました。では、現場で実際にPDPC法を取り入れる場合、どのように作成すればいいのでしょうか。PDPC法の作り方をステップごとに解説します。

ステップ1.図の制作メンバーを集める

PDPC図を作るにあたって、発生しうる不測の事態やそれに対する実施事項(対策)を最大限に網羅するために複数人のチームを編成すると効果的です。

ステップ2.スタートとゴールを決める

効果的にPDPC図を作るためには計画のスタート(不測の事態)とゴール(解決した状態)を明確に設定しましょう。たとえば「製品Zの汚れがひどい」というスタートであれば「汚れなく製品Zを作る」というゴールに、「機械Aが壊れると製品Bの生産ラインが止まる」というスタートであれば「機械Aが壊れても製品Bが作れる」をゴールにするなどが挙げられます。

ステップ3.楽観的な計画を書く

計画のスタートとゴールを決めた後は、計画を達成するために必要な対応策(実施項目)や、その実施項目を行った後に予想できる状態など、楽観的な情報を記入し、矢印で繋いでいきます。この際、時間の流れは上から下、または左から右にしましょう。

ステップ4.不測の事態ルートを追加する

不測の事態になってしまう対応策や、その結果の状態を書き出します。そして、不測の事態になっている状態からどうやって楽観的な計画に矢印が戻るのか打開策を考案するのです。この作業を何度も繰り返し、PDPC図を完成させていきます。

不測の事態回避のために産業用ロボットを活用

PDPC法はデータの解析を行うというよりも、アイデアを発想したり経験を共有する方法です。そのため、図のフォーマットや作成方法が決まっているわけではありません。PDPC図の作り方は今回紹介した以外にも数多くあります。自社の課題にあった作り方を探してみましょう。

PDPC法で考えられる不測の事態の中には人為的なミスが多く存在するでしょう。近年では産業用ロボットが製造現場で活躍しています。産業用ロボットの活用によって、作業員による不注意や、技術的なミスを軽減することが可能です。

関連記事:産業用ロボットとは?主な5種類や事例、他のロボットとの違いを解説

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