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呼び径とは?ねじや配管サイズ選定に欠かせない基本寸法の考え方

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呼び径とは?ねじや配管サイズ選定に欠かせない基本寸法の考え方

配管設計や機械設備の図面を見ていると「20A」「1B」「R1/4」といった記号が記載されていますが、これらが何を意味するのか分からずに困った経験はありませんか。これらは全て「呼び径」という配管やねじのサイズを表す基本的な概念に関連する表記です。呼び径は実際の寸法とは異なる名目上の数値であり、互換性を確保するための重要な規格化された呼称として使われています。本記事では、呼び径の基本概念からA呼称・B呼称の違い、管用ねじの表記方法まで、配管設計や部品選定に必要な知識を体系的に解説します。

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呼び径の基本概念と実寸法との違い

呼び径とは、配管や継手、バルブなどの配管部品のサイズを表す名目上の数値のことです。重要なポイントは、呼び径は実際の寸法ではなく、あくまで部品の分類や互換性を示すための規格化された呼称であるということです。

例えば、呼び径20Aの塩ビ管(VP管)の実際の外径は26mmです。呼び径の「20」と実寸法の「26mm」が一致しないのは、呼び径が配管の内径を基準として設定されているためです。この考え方により、同じ呼び径であれば異なるメーカーの製品同士でも確実に接続できる互換性が保証されています。

なぜ呼び径と実寸法が異なるのか

呼び径と実寸法が異なる理由は、配管システムの互換性を確保するための経緯と実務的な必要性にあります。配管工事では、異なるメーカーの部品を組み合わせることが一般的であり、全ての部品が確実に接続できる必要があります。

実際の配管では、管の肉厚や材質によって外径が変化します。しかし、呼び径を統一することで、継手やバルブなどの接続部品を共通化できるため、設計効率と施工性が大幅に向上します。

呼び径表記の国際的な統一

呼び径は国際的には「Nominal Diameter(DN)」として知られており、ISO規格やJIS規格において標準化されています。この統一により、国境を越えた設備設計や部品調達が円滑に行われています。

日本国内では主にA呼称(メートル系)が使用されていますが、石油精製プラントや海外との取引が多い分野では、後述するB呼称(インチ系)も頻繁に使用されます。

A呼称とB呼称の違いと使い分け

配管の呼び径表記には、大きく分けてA呼称とB呼称の2つの体系があります。この違いを理解することは、正確な部品選定と図面読取りに不可欠です。

A呼称はメートル法に基づいた呼び径で「25A」「50A」「100A」のように表記され、主に日本国内の配管設計で使用されます。一方、B呼称はインチ法に基づいた呼び径で「1B」「2B」「4B」のように表記され、アメリカ規格やANSI規格に準拠した設計で使用されます。

A呼称(メートル系)の特徴と用途

A呼称はJIS規格の標準であり、現在の日本国内の配管設計では最も一般的に使用される表記方法です。「15A」「20A」「25A」のように、おおよそのミリメートル単位で表記されることが特徴です。

新設のプラントや建築設備では、ほぼ全てA呼称で設計図面が作成されます。また、JIS G 3452(配管用炭素鋼鋼管)やJIS G 3454(圧力配管用炭素鋼鋼管)などの国内規格もA呼称を基準としています。

以下の表は、代表的なA呼称とそれに対応する外径、および主な用途を示したものです。

A呼称対応する外径(mm)主な用途
15A21.7小口径配管、計装配管
20A27.2一般配管、給水配管
25A34.0中圧配管、プロセス配管
50A60.5主要配管、幹線
100A114.3大口径配管、メインライン

 

B呼称(インチ系)の特徴と使い分け

B呼称は歴史的にアメリカで発達した表記方法で、「1/2B」「3/4B」「1B」「2B」のようにインチ単位で表記されます。日本国内でも、特に石油精製、石油化学プラントの分野では現在でも広く使用されています。

年配の技術者や海外プロジェクトに携わるエンジニアは、B呼称に慣れ親しんでいることが多く、実務では両方の表記を理解している必要があります。ASME(米国機械学会)やANSI(米国国家規格協会)に準拠した設計図面では、必然的にB呼称が使用されます。

A呼称とB呼称の換算方法

A呼称とB呼称は基本的に同じ外径の配管を異なる方法で表記したものです。換算の際は、B呼称のインチ数値に25.4を乗じることで、ミリメートル換算値(A呼称の基準寸法)を求めることができます。

ただし、規格の違いにより完全に一致しない場合があるため、重要な設計では必ず該当する規格書で確認することが必要です。実務では換算表を常備し、迅速に対応できるようにしておくことが推奨されます。

管用ねじの種類と表記方法

配管システムにおいて、管同士や継手との接続に使用される管用ねじにも、呼び径の概念が適用されます。管用ねじは大きく分けてテーパーねじと平行ねじに分類され、それぞれ異なる表記方法と用途があります。

現在のISO規格では、管用テーパーねじは「R」と「Rc」で、管用平行ねじは「G」で表記されます。旧JIS規格では「PT」(テーパー)と「PS」(平行)という表記が使われていましたが、国際標準化に伴い現在の表記に変更されています。

管用テーパーねじ(R・Rc)の特徴

管用テーパーねじは気密性を重視した接続方式で、ねじ山が1/16のテーパー(傾斜)を持っているため、締付けにより自然に密封されます。Rは雄ねじを、Rcは雌ねじを表し、主に気体や液体の漏れを絶対に防ぐ必要がある用途に使用されます。

ガス配管や高圧配管、圧力容器の接続部などで多用されており、シールテープやシール剤と組み合わせることで、より確実な気密性を実現できます。テーパーの角度は国際標準で統一されているため、世界中で互換性が保たれています。

管用平行ねじ(G)の特徴と用途

管用平行ねじは機械的な強度を重視した接続方式で、ねじ山が平行(ストレート)になっています。Gと表記され、雄ねじ・雌ねじの区別なく共通の記号が使用されます。

平行ねじ単体では気密性が得られないため、必ずガスケットやOリングなどのシール材を併用します。機械部品の着脱が頻繁な箇所や、メンテナンス性を重視する用途に適しています。

管用ねじの表記の読み方

管用ねじの表記は「R1/4-19」のように記載されます。この場合、「R」は管用テーパー雄ねじ、「1/4」は呼び径1/4インチ(6.35mmに相当)、「19」は1インチあたりのねじ山数を表しています。

ねじ山数は精度と強度に直結するため、用途に応じて適切な数値を選択する必要があります。一般的に、ねじ山数が多いほど精密で強度が高くなりますが、加工コストも上昇します。

配管サイズ選定における実務のポイント

実際の設計や調達業務において、呼び径を正しく理解し活用するためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。特に、図面読み取りから部品選定、施工管理まで一貫した知識が求められます。

図面や仕様書の読み取り方

図面や仕様書に記載された呼び径表記を正確に読み取るためには、その図面がどの規格に基づいて作成されているかを最初に確認することが重要です。日本国内の図面であればJIS規格(A呼称)、海外プロジェクトであればASMEやANSI規格(B呼称)が使用されることが一般的です。

図面の表題欄や凡例を確認し、使用されている規格と単位系を把握してから詳細な読み取りを行います。また、改訂履歴も重要で、規格変更により呼び径表記が変更されている場合があります。

部品選定時の注意事項

配管部品を選定する際は、同じ呼び径であっても材質や圧力等級、温度範囲などの仕様が適合するかを必ず確認します。特に、高温高圧の用途では、材料の機械的性質や化学的適合性が重要になります。

また、メーカーが異なっても同じ規格の同じ呼び径であれば基本的に接続可能ですが、重要な用途では事前に互換性を確認することが推奨されます。特に、シール面の仕上げや公差が厳しい用途では注意が必要です。以下の表に、配管部品を選定する際に確認すべき主な項目と注意点をまとめます。

確認項目チェックポイント注意事項
材質使用流体との適合性腐食性流体では材質選定が重要
圧力等級最高使用圧力の確認安全率を考慮した選定が必要
温度範囲使用温度での材料特性高温では強度低下に注意
接続方式ねじ規格の適合性テーパーと平行の混同に注意

よくある間違いと対策

実務でよくある間違いとして、A呼称とB呼称の混同、管用ねじの種類(テーパー・平行)の取り違え、規格の異なる部品の組み合わせなどがあります。これらの間違いは施工後のトラブルや安全性の問題につながる可能性があります。

対策としては、部品リストと図面の照合を複数人で確認する、標準的な換算表を常備する、疑問がある場合は必ず規格書で確認するなどの手順を確立することが重要です。また、経験豊富な先輩技術者からの指導を積極的に受けることも有効です。

まとめ

呼び径は配管設計や機械設備において、部品の互換性を確保するための重要な概念です。実際の寸法とは異なる名目上の数値であることを理解し、A呼称とB呼称の違い、管用ねじの表記方法を正確に把握することで、適切な部品選定が可能になります。

図面や仕様書を読み取る際は、使用されている規格を最初に確認し、呼び径表記の意味を正確に理解することが不可欠です。また、実務では換算表の活用や複数人での確認作業により、選定ミスを防止しましょう。

呼び径の知識は配管設計の基礎であり、継手やバルブなどの配管部品を理解する上での土台となります。この知識を身につけることで、自信を持って配管関連の業務に取り組めるようになるでしょう。

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