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職場の騒音が与えるストレスとは?騒音作業の基準を知り正しい対策を

職場の騒音が与えるストレスとは?騒音作業の基準を知り正しい対策を

製造業を中心に、職場で発生する騒音は作業者にとっての大きな負担。放っておくと聴覚障害やノイローゼの原因になりかねません。本記事では、機械の駆動音や反響音といった騒音の基準や与えるストレス、講じるべき対策について解説します。

機械設備が稼働する製造業や、建設機械を用いる建設業において、職場の騒音問題は切っても切れない存在です。とりわけ製造業を中心とした屋内作業においては、直接の騒音だけでなく反響音も伴うため、従業員にとって大きなストレスになりかねません。

本記事では職場における騒音の基準や引き起こすさまざまなストレス、それらの対策について紹介します。

職場における騒音の基準

一口に「騒音」といっても、騒音と感じる度合いは人によってさまざまです。たとえば同じ職場で10年間働き続けている人と勤務を始めたばかりの人とでは、同じ音でも感じ方が異なります。

同じ環境で働き続けてきた業務管理者となると職場の音に慣れてしまい、大きな機械音や反響音が従業員にとって負担になっていることに気付きづらいものです。

職場の責任者は、職場の騒音に対して客観的な判断ができるよう、騒音の基準を知っておかなければなりません。

「騒音障害防止のためのガイドライン」が定められている

平成4年10月に厚生労働省より、騒音作業における作業者の騒音障害防止を目的としたガイドラインが制定、また令和5年4月に内容が改訂されました。

同ガイドラインでは、対策が必要とされる騒音の基準と、事業者が講じるべき騒音対策について記されており、厚生労働省は、騒音障害防止のためのガイドライン策定の背景について以下のように述べています。

騒音は、騒音性難聴の原因となることから、労働省(当時)では、各事業場において実施すべき騒音障害防止対策を体系化し、騒音障害に従事する労働者の健康障害防止を推進するとともに、事業主への騒音レベルの低減化を促すため

出典:職場の安全サイト:騒音対策[安全衛生キーワード](厚生労働省)

騒音作業に該当する事業者は、ガイドラインの規定に則って定期的に職場の騒音レベルを測定し、騒音障害防止対策を実施しなければなりません。また、同ガイドラインでは労働衛生や作業環境、作業者の健康の管理などについても定められています。

対象となる「騒音作業」について

厚生労働省は、同ガイドラインにて高い騒音レベルが見込まれる8屋内作業場、および52作業場を「騒音作業」として定義しています。

8屋内作業場の代表例は次の通りです。

  • くぎ打ち機やはつり機など空気圧縮で駆動する機械や器具を取り扱う屋内作業
  • 駆動系のハンマーを用いた金属の鍛造業務がある屋内作業
  • 金属製品の研磨にタンブラーを用いる業務がある屋内作業

上記を始めとした8屋内作業場は「労働安全規則第588条」において定められたもので、同ガイドラインでもこれにもとづいて騒音対策を講じなければならないとしています。

参考:労働安全衛生規則 | e-Gov法令検索

また同ガイドラインで別途騒音作業と定義された52作業場は以下の例があげられます。

  • 電動ドライバーやナットランナーを用いてボルトやナットの締め付け取り外し業務を行う作業場
  • 鋼材の溶接業務を行う作業場
  • 丸のこ盤を用いて金属を切断する作業場

上記のような作業場では、後述する「等価騒音レベル」が85dBに達しているかを基準に対応措置が異なります。

85dBは、防犯ブザーやゲームセンター店内に相当する音量です。

騒音レベルの測定方法

同ガイドラインにおいては作業環境の騒音レベルの測定指標や測定箇所に関する説明があり、それらは「作業環境測定基準(昭和 51 年労働省告示第 46 号)」にもとづいています。

測定指標については、一定時間の騒音レベルの平均値を求めた「等価騒音レベル」を用いることがポイントです。測定箇所に関しては、等間隔に設定された測定箇所で実施される「A測定」と、特に騒音源に隣接する作業箇所において実施する「B測定」の2つが定められています。

参考:「騒音障害帽子のためのガイドライン」解説パンフレット

騒音レベルの測定は規定の手順とルールをもとに正しい測定方法を用いるようにしましょう。

対策の基準となる騒音レベル

具体的な騒音対策の措置は、A測定/B測定における等価騒音レベルの測定結果によって分類される第Ⅰ、第Ⅱ、第Ⅲの管理区分に応じて実施すべきとされています。

以下はA測定とB測定の結果と等価騒音レベル管理区分の組み合わせです。

出典:騒音障害防止のためのガイドラインの改訂について(厚生労働省)

第Ⅱ/第Ⅲ区分に該当する作業場では機械設備の制震処理や被覆など、騒音レベルを第Ⅰ管理区分に該当するまで抑制するための対策が必要です。また、作業者は耳栓やイヤーマフをはじめとした聴覚保護具の使用が求められます。

仮に、騒音対策を講じても第Ⅰ管理区分とならない、もしくはA測定/等価騒音レベルが85dB未満とならない場合、事業者は従業員の騒音作業時間の短縮に努めなければなりません。

以下は、85dB以上の等価騒音レベル別の許容時間基準です。

出典:騒音障害防止のためのガイドラインの改訂について(厚生労働省)

騒音作業を行う従業員には一定間隔で別の作業場へ移動させるか休憩させるなど、騒音の発生源から遠ざけるようにしましょう。          

職場の騒音がスタッフに与えるストレス

作業機械によるケガや保管物の倒壊など物理的な危険は把握しやすい一方で、騒音による身体へのリスクは見逃されがちです。騒音は長く続くほど、作業員の聴覚や精神に大きな負担がかかります。

騒音障害等の身体的なストレス

恒常的に騒音にさらされることで、騒音性難聴や音響性障害をはじめとした聴力低下のリスクが高まるとともに、聴覚へのダメージに起因する頭痛やめまいといった症状を引き起こす可能性があります。

このことが騒音作業の現場で騒音レベルを下げる、騒音作業に従事する時間を減らすといった同ガイドライン制定の背景にあると言えるでしょう。

心理的ストレス(ノイローゼなど)

騒音レベルの高い音は、うるさい、集中できないといった心理的なストレスを与えます。

また、これらに頭痛やめまいといった身体的な症状が重なることでノイローゼ、つまり精神的な負担が身体の不調に及ぶ危険性も否定できません。

騒音による心理的ストレスは従業員の作業効率を低下させるほか、ノイローゼが原因の辞職につながるリスクが高まります。

騒音作業に求められる対策

騒音レベルの高い職場では、従業員の騒音障害を未然に防ぐための防音措置が求められます。実際に現場で騒音対策を実施する場合は騒音発生源・騒音伝ぱ経路・作業者のそれぞれに対して措置を講じましょう。

騒音発生源への対策

騒音発生源である設備機械に対策を施し、発する騒音を軽減することは最も本質的な騒音対策です。騒音発生源への具体的な対策としては以下の例があげられます。

  • 作業機械の制震処理・防音カバー設置
  • 作業機器の部品交換・モデルチェンジ
  • 消音器・吸音ダクトの設置

設備・部品の入れ替えや設備に対する後付けの加工など、大掛かりに感じられるかもしれませんが、場合によっては簡単な制震・防音加工でも大きな成果が得られる可能性を秘めています。

騒音の伝ぱ経路への対策

特に屋内作業場の場合、反響により発生源から離れた場所にも騒音が伝わるため、騒音の伝ぱや反響を抑える対策も必要です。

騒音の伝ぱ対策には以下の例があげられます。

  • 遮蔽物の設置
  • 防音壁・防音材の設置
  • 設備配置の変更

作業者への対応

騒音を知覚する作業者への対応は「対処療法」ながら、作業者の負担にダイレクトに影響します。騒音の感じ方には個人差があるため、心身のケアも兼ねて作業者1人1人が個人の裁量で対応できるよう、対策を用意しておきましょう。

作業者への対策には以下の例があげられます。

  • 作業スケジュールの調整
  • 耳栓、イヤーカフの装着
  • 作業の自動化・リモート操作

作業者への騒音対策は騒音障害を防ぐ効果があるだけでなく、快適な労働環境の提供や業務効率アップにもつながるため積極的に実施すべき施策です。

作業者への定期的な健康診断で聴力低下を予防する

作業者の騒音障害の前兆を見逃さないよう、定期的な健康診断で作業状況と従業員の健康状態を把握しましょう。同ガイドラインにおいては雇入時、定期、離職時の健康診断実施について定められています。

出典:騒音障害防止のためのガイドラインの改訂について(厚生労働省)

従業員の中には、騒音によるストレスや聴覚の違和感を感じていても管理者や責任者に気を遣って「大丈夫です」と答える人がいても珍しくありません。また、装着の手間を嫌い、保護具を使用しない従業員もいることでしょう。聴覚はもちろん、健康状態を客観的に把握できる健康診断にもとづき、騒音対策や保護具装着の指導を行うことが騒音障害の予防に役立ちます。

職場の騒音には、うまく保護具を使用することがポイント

作業場の騒音防止はガイドラインが整備されていますが、ガイドラインに沿った対応が物理的に難しい、あるいは膨大なコストがかかるケースも珍しくありません。

そのような場合には作業者1人1人の保護具の着用がポイントとなります。耳栓やイヤーマフは必須ですが、可能な限り遮音性に優れた高機能な保護具を用いて、作業者の負担を軽減しなければなりません。

アウトソーシングテクノロジーが提供するAURO(アウロ)は、騒音環境に最適なイヤホンマイク。

機密性の高い耳栓(イヤーパッド)が外部の騒音をシャットアウトし、特殊な内蔵マイクにより「鼓膜を通じて伝わる自分の声」をキャッチするため、発話時に周囲の騒音のノイズを気にする必要がありません。

作業者の聴覚保護と、騒音環境下でのコミュニケーションの円滑化を両立したデバイスで快適な作業環境を提供します。

参考:騒音対策マイク付きイヤホン AURO

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