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製造原価とは?

売上原価との違い
売上原価とは、販売して売上となった商品を仕入れ・製造する際に生じた原価の合算額です。 自社で製造した商品を売る場合、製造原価は売上原価に含まれます。 簡易的な計算式は以下の通りです。- 売上原価=期首在庫+当期仕入高-期末在庫
製造原価の内訳を解説

材料費 | 労務費 | 経費 | |
---|---|---|---|
概要 | 製品するために消費するモノに関する費用 | 製造に携わる従業員に支払う賃金などの費用 | 材料費や労務費に分類できない費用 |
計上対象例 | ・製品に組み込まれる部品や資材 ・製造機械を稼働させるための燃料 | ・毎月の基本給 ・賞与 ・福利厚生費 | ・工場の賃貸料 ・光熱費 ・設備の減価償却費 |
- 直接材料費
- 直接労務費
- 直接経費
- 間接材料費
- 間接労務費
- 間接経費
直接材料費
直接材料費は、製造工場で作られる製品そのものを構成する材料費です。 例えば、衣類を製造する際に使用する布や糸、自動車を製造する際に使用するアルミやスチールなどが該当します。 また、材料同士を接合する金具・ネジといった、外部から購入してそのまま製品に組み込む部品(買入部品費)も直接材料費として数えます。 過剰に材料を抱えたり、歩留まりが低下すると直接材料費が無駄になるため、加工方法や製造フローを見直すことで製造原価の改善につながります。 歩留まりとは、原料の投入量から期待される生産量に対して、実際に得られた製品生産量比率です。直接労務費
直接労務費は、直接工に支払われる賃金で、1時間あたりの賃金と作業時間を掛けて算出します。 直接工とは、製品の加工・組立など直接的な実務作業を行う従業員です。 作業に対する人員の割り当てが最適でないと、部門や作業場所によって従業員への負荷にバラつきが生じ、人手不足が引き起こす残業や過剰人数割り当てによって直接労務費の負担は増大します。 作業工程ごとの人月計算や製造フローを効率化して、製造原価の削減に努めましょう。直接経費
直接経費は、直接製品に関わっていて、かつ材料費と労務費に当てはまらない費用です。 例えば、外部企業に製造を委託する場合の外注費や、梱包用の段ボールの費用などが該当します。 外注に関しては効果的に製造フローに組み込むことで、全体的に製造原価を低減できる可能性があります。間接材料費
間接材料費は、製品の製造に補助的に使用される物品や、製造に用いる消耗品など、ひとつの製品との関係を具体的な個数で表せられない材料費です。 間接材料費はさらに細分化でき、以下の3種類から構成されます。- 補助材料費:製品に使う塗料や接着剤など
- 工場消耗品費:製造機械の稼働に使う燃料や機械油など
- 消耗工具器具備品費:ドライバーやスパナなどの工具、机や椅子などの備品全般
間接労務費
間接労務費は、製造に直接関わらない部分で生じる賃金です。例えば、工場内の清掃員や運搬員といった間接工(直接製造の実務作業を行わない従業員)や、生産管理部門や事務部門などの従業員に支払う賃金が該当します。 それだけでなく、直接工が業務時間中に作業していない時間(遊休時間や有給休暇など)に発生する賃金や、賞与・福利厚生費といった労務費も間接労務費に含まれます。 とりわけ業務時間中の直接労務費と間接労務費を分別できるように、従業員には作業時間を詳細に記録してもらう仕組みが重要です。間接経費
間接経費は、製品への直接関与がなく、かつ特定の製品との関係が明確にしづらい経費です。 代表例として、工場稼働に必要な電力や、産業用ロボットを含む工場設備の減価償却費などが挙げられ、いわゆる工場のランニングコストとも言い換えられます。 こうした費用は、製品ごとにどれだけかかったかを正確に管理するのは困難です。 ただし、光熱費や通信費の削減といった企業努力で製造原価は下げられるとも言えます。 関連記事:産業用ロボットの耐用年数は?固定資産の減価償却を正しく理解する 関連記事:産業用ロボットとは?主な5種類や事例、他のロボットとの違いを解説製造業の決算に必須の製造原価報告書とは?

製造原価の計算方法
では、具体的に製造原価の計算方法をご紹介します。 まず、ある期間中の製造原価(当期製品製造原価)は以下の計算式によって計算します。- 当期製品製造原価=当期総製造費用+期首仕掛品棚卸高・期末仕掛品棚卸高