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【親日No.1】インドネシアってどんな国?日本での人材採用が急増する理由とは

外国人材

【親日No.1】インドネシアってどんな国?日本での人材採用が急増する理由とは

人手不足に悩む日本企業で、インドネシア人人材の採用が急増しています。2024年末時点で日本に在留するインドネシア人は19万人に達しました。これは外国人労働者全体の中で最も高い増加率です。なぜ今、多くの企業がインドネシア人材に注目しているのでしょうか。本記事では、インドネシアという国の基本情報から、日本での採用急増の具体的な理由、他国との比較、実務的な採用メリットまで、人事・採用担当者が知っておくべき情報を包括的に解説します。

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インドネシアってどんな国?

インドネシア人材の採用を検討する前に、まずはインドネシアという国の基本的な特徴を理解することが重要です。この国は日本とは大きく異なる地理的・文化的背景を持ちながらも、日本との強い絆を築いてきた親日国家として知られています。

世界最大の島嶼国家としての地理的特徴

日本と同じ島国であるインドネシアは、東西約5,000kmにわたり約1万8,000の島々を有します。バリ島やジャワ島など、日本でもお馴染みの島を含み、国土面積は約190万平方キロメートルと日本の約5倍。

首都ジャカルタはジャワ島に位置し、政治・経済の中心地です。この広大で多様な地理環境が、インドネシア人材の柔軟性と適応力の高さにつながっています。

世界トップクラスの若年労働力

インドネシアの人口は約2億7,000万人で、世界第4位の人口規模を誇ります。特筆すべきは、その人口構成の若さです。平均年齢は約29歳と若く、生産年齢人口の割合が高いため、労働力供給の観点から非常に有望な市場となっています。

日本が直面する少子高齢化とは対照的に、インドネシアは今後も若年労働力が豊富に供給される見込みです。この人口動態の違いが、日本企業がインドネシア人材に注目する大きな理由の一つとなっています。

多様な文化と宗教的寛容性

インドネシアは約300の民族が共存する多民族国家です。宗教はイスラム教徒が人口の約87%を占める世界最大のイスラム教国である一方、宗教的寛容性が高く、他宗教との平和的な共存が実現しています。

経済成長を続ける東南アジアの大国

インドネシア経済は過去20年間で着実な成長を遂げてきました。名目GDPは、約1兆1,000億ドル(2023年)で、東南アジア最大の経済規模を持ちます。主要産業は製造業、農業、鉱業、観光業など多岐にわたり、特にパーム油、石炭、天然ガスなどの資源輸出国としても知られています。

経済成長率は年間5%前後を維持しており、中間所得層の拡大とともに消費市場としても注目されています。この経済発展が、教育水準向上や海外就労への意欲を高める土台となっています。

項目インドネシア日本
人口約2億7,000万人約1億2,500万人
平均年齢約29歳約48歳
GDP規模約1兆1,000億ドル約4兆2,000億ドル
経済成長率約5%約1%
主要宗教イスラム教(87%)仏教・神道混合

日本との経済的・政治的結びつき

インドネシアの経済的発展の背景には、日本との歴史的な絆と現在の協力関係が深く関わっています。戦後、日本は賠償やODA(政府開発援助)を通じてインドネシアの経済発展を支援し、道路や鉄道などのインフラ整備で生活を改善しました。さらに、初代大統領スカルノは日本びいきとして知られ、日本人女性であるデヴィ夫人を第3夫人に迎えたことも、両国の親密さを象徴するエピソードです。

ちなみに、ジャカルタの通勤路線では、かつて日本で活躍していた電車が海を渡り、今も現役で走っています。

かつては車両不足で通勤ラッシュが深刻でしたが、日本の中古電車を大量導入したことで輸送力が向上し、快適性が大幅に改善。乗客から歓迎され、冷房や信頼性の高さも評価されています。

ジャカルタ市内を走る元JR205系

現在、両国は「包括的・戦略的パートナーシップ」を築き、ASEANやG20で協力しながら、経済・安全保障・インフラ分野で強い結びつきを維持しています。こうした歴史と現在の関係が、インドネシアの親日度を支える大きな背景となっています。

親日度トップクラスのインドネシア、日本との共通性が生む親近感

高い親日度

インドネシアは東南アジアの中でも特に親日度が高い国として知られており、日本のアニメ、文化、技術への憧れを持つ若者が多数います。

2024年に行われた調査では「日本に対する好感度100%」という結果を示し、親日度No.1の国として紹介されることもあります。

日本との共通点・親和性

インドネシアは文化・言語・生活習慣の面で、日本と似ている部分が多くあります。これらの共通点は、採用後の適応しやすさにつながる重要なポイントです。

言語面の親和性
インドネシア語は、日本語話者にとって比較的習得しやすい言語です。母音は「a, i, u, e, o」で日本語と同じ、発音もシンプル。語順も近く、「Saya makan nasi(私はご飯を食べる)」のように理解しやすい構造です。さらに、「senpai(先輩)」「karate(空手)」など、日本語由来の外来語も存在します。

礼儀を重んじる文化
日本と同じく、礼儀を重んじる文化が根付いており、挨拶や敬意を示す習慣が日常生活に浸透しています。この価値観は、日本の職場文化との親和性を高める要因の一つとなっています。

車は左側通行・右ハンドル
インドネシアの交通ルールは、日本と同じく左側通行。ジャカルタ市内では右ハンドルの日本車が数多く走っています。ご存じの通り、左側通行・右ハンドルは世界でも少数派で、日本やイギリス、オーストラリアなど限られた国でしか採用されていません。この珍しい共通点は、日本での生活への親和性を高める要因となっています。

左側通行の道路と多数の日本車

日本でのインドネシア人材採用が急増している背景

2025年6月時点で日本に在留するインドネシア人は23万人に達しています。この急増には、日本政府の政策転換、インドネシア政府の送り出し強化、そして両国間の戦略的連携という複合的な要因が関係しています。

二国間協定(MOC)による政府間連携の強化

日本とインドネシア両政府は、2019年6月25日に特定技能制度に関する二国間協定(Memorandum of Cooperation: MOC)を締結し、制度的な枠組みの中で人材送り出しを進めています。

インドネシア政府は、当初2019年からの5年間で10万人を送り出す目標を掲げていましたが、2024年に日本側の受け入れ見込み数拡大を受け、2028年までの5年間で25万人を送り出す新たな目標に引き上げています。これにあわせて、日本側も積極的な受け入れ姿勢を示しています。

このような政府間の強いコミットメントにより、手続きの簡素化、適正な送り出し機関の認定、労働者保護の仕組みなどが整備され、企業にとって安心して採用できる環境が構築されています。

受け入れ枠の大幅増加と特定技能制度の拡充

2024年3月、日本政府は特定技能制度の受け入れ見込み数を34万5千人から82万人へと約2.4倍に引き上げました。この政策転換が、インドネシア人材採用急増の直接的な契機となっています。

また、技能実習制度からの移行に加え、試験合格による新規入国のルートが大きく拡大したことにより、インドネシア人材の増加が加速しています。

試験合格制度による円滑な人材受け入れ

インドネシアでは、特定技能試験の実施体制が整備され、現地で日本語能力試験と技能試験の両方を受験できる環境が構築されています。

この試験合格ルートの確立により、事前に日本語能力と専門技能を持った人材を計画的に受け入れることが可能になり、企業側の受け入れリスクが大幅に低減されています。

日本語教育インフラの充実

インドネシア国内では、日本語教育機関の拡大が急速に進んでいます。政府主導の送り出しプログラムと連携した日本語学校が各地に設立され、特定技能試験に必要なN4レベル以上の日本語能力を習得できる環境が整備されています。

さらに、日本の受け入れ企業や監理団体が現地で日本語教育支援を行うケースも増加しており、渡航前の準備期間が短縮されるとともに、来日後の適応もスムーズになっています。この教育インフラの充実が、インドネシア人材の質の向上と供給量の拡大を同時に実現しています。

業種別で見るインドネシア特定技能人材の活躍状況

2024年6月から2025年6月の1年間で、特定技能1号のインドネシア人材は25,086人も増加し、全体で69,384人となりました。この伸び率は、他国と比較しても群を抜いており、特定技能制度の中でもインドネシア人材へのニーズの高まりが顕著に表れています。

介護分野での最大規模の受け入れ

介護分野ではインドネシア人材が最も多く活躍しており、2025年6月時点で 16,249 人が就労しています。
高く評価される理由は、穏やかで丁寧な対応、目上の人を敬う文化的背景、そしてチームワークを重視する姿勢です。特に、高齢者への深い敬意という文化的・社会的価値観が、日本の介護現場の理念と合致している点が大きな強みとなっています。

また、EPA(経済連携協定)による看護師・介護福祉士候補者の受け入れ実績が長く、インドネシア人材の介護分野での適性が実証されてきた歴史的背景も、採用増加の一因となっています。

飲食料品製造業での急速な増加

飲食料品製造業では 15,403 人(2025年6月時点)のインドネシア人材が就労し、この1年間での増加率は+68.6%に及んでいます。食品加工工場や惣菜製造現場などでの活躍が目立ち、特に試験合格制度による新規入国者が多いのが特徴です。

製造ラインでの作業は、日本語能力がN4レベルでも十分対応可能な業務が多く、インドネシア人材の真面目な作業態度と学習意欲の高さが評価されています。また、ハラール食品への理解が深いことも、食品製造現場での強みとなっています。

建設分野での人材確保の進展

建設分野では 4,915 人のインドネシア人材が活躍し、高い伸び率を示しています。型枠施工、鉄筋施工、とび、建設機械施工など、専門的な技能が求められる職種でインドネシア人材の採用が進んでいます。

建設業界特有の厳しい労働環境にも適応力が高く、体力と忍耐力を兼ね備えた人材として評価されています。また、インドネシア国内でも建設業の雇用が拡大しているため、基礎的な技能を持った人材が豊富に存在することも、受け入れが進む要因となっています。

運送業(ドライバー)分野への新たな期待

日本の物流業界では深刻な人手不足が続き、輸送の安定確保が社会全体の課題となっています。こうした状況を受け、2024年3月に特定技能制度への「自動車運送業(ドライバー)」追加が閣議決定され、12月に施行されました。2025年3月からは本格運用が始まり、インドネシアをはじめとする海外人材が貨物輸送や配送業務に従事できる道が開かれました。

ドライバー職は運転技術だけでなく、安全運転管理や交通ルールの理解が求められる専門性の高い仕事です。世界でも数少ない左側通行・右ハンドルの国で、基礎的能力が高く、日本の職場文化への順応性に優れたインドネシア人材は、この分野でも高い評価を得るものと期待されています。

主な分野2024年 6月2025年 6月増加数増加率
全分野44,298 人69,384 人+ 25,086 人+ 56.6 %
飲食料品製造9,134 人15,403 人+ 6,269 人+ 68.6 %
介護9,760 人16,249 人+ 6,489人+ 66.5 %
建設3,075 人4,915 人+ 1,840 人+ 59.8 %
農業8,514 人12,565 人+ 4,051 人+ 47.6 %
工業製品製造業7,028 人9,388 人+ 2,360 人+ 33.6 %
分野別の特定技能1号インドネシア人材の数(2024年6月と2025年6月の比較)

インドネシア人材を採用する実務的なメリットと注意点

インドネシア人材の採用を具体的に検討する際には、実務的なメリットを理解するとともに、文化的・宗教的配慮が必要な点も把握しておくことが重要です。成功事例から学ぶことで、自社での円滑な受け入れにつなげることができます。

採用の主要メリット:親日性と適応力の高さ

インドネシア人材の最大の強みは、親日感情の高さと日本の職場文化への適応力です。日本のアニメ、文化、技術への憧れを持つ若者が多く、日本で働くことに強いモチベーションを持っています。また、礼儀正しさ、目上の人への敬意、チームワークを重視する文化的背景は、日本企業の価値観と親和性が高く、職場での人間関係構築がスムーズです。

さらに、温厚で穏やかな性格の人材が多く、介護や接客などの対人業務で高い評価を得ています。技能面でも、試験合格制度により事前に日本語能力と専門技能を習得した人材を採用できるため、受け入れ後の教育コストを削減できます。

宗教的配慮の必要性と実践的対応

インドネシア人の約87%がイスラム教徒であるため、宗教的配慮が必要です。具体的には、1日5回の礼拝時間の確保、金曜日の集団礼拝への参加、ハラール食品への対応、ラマダン月の断食への理解などが求められます。ただし、インドネシアのイスラム教は寛容性が高く、多くの人材が日本の職場環境に柔軟に適応しています。

実際の対応としては、礼拝スペースの確保(専用の部屋でなくても静かな場所があればよい)、昼休みや休憩時間の調整、社員食堂でのハラル対応メニューの提供などが有効です。受け入れ企業の多くは、これらの配慮を実施することで大きな問題なく就労が継続できています。

長期定着のポイント:コミュニケーションとキャリアパス

インドネシア人材の長期定着を実現するためには、日本語コミュニケーション支援とキャリアパスの明示が重要です。来日後も継続的な日本語教育の機会を提供することで、業務理解が深まり、職場での孤立を防ぐことができます。

また、特定技能1号から2号への移行、将来的な在留資格の変更、職務レベルの向上など、明確なキャリアパスを示すことで、長期就労へのモチベーションが高まります。インドネシア人材は家族を大切にする文化的背景があるため、将来的な家族帯同の可能性や、母国との連絡手段の確保なども、定着率向上に寄与します。

採用時の注意点と準備事項

インドネシア人材を採用する際には、適正な登録支援機関や送り出し機関の選定が重要です。二国間協定に基づく認定送り出し機関を利用することで、不当な手数料徴収などのトラブルを避けることができます。

また、受け入れ前に社内の受け入れ体制を整備し、既存社員への異文化理解研修を実施することで、スムーズな職場統合が可能になります。在留資格手続き、住居の確保、生活オリエンテーション、銀行口座開設支援など、来日直後の生活立ち上げ支援も重要な準備事項です。これらの初期対応を丁寧に行うことが、その後の定着率に大きく影響します。以下の表に、メリットと注意点をまとめました。

メリット注意点・対応策
親日感情が高くモチベーションが高い期待値が高いため、入社前の職場環境の正確な説明が重要
礼儀正しく協調性が高い本音を言いにくい傾向があるため、定期的な面談で不満を早期把握
長期就労志向が強いキャリアパスを明示し、成長実感を持たせることが定着の鍵
試験合格者は基礎技能を習得済み日本独自の業務手順や品質基準は丁寧な教育が必要
温厚で対人業務に適している宗教的配慮(礼拝時間、ハラル食品)の準備が必須

まとめ

インドネシアは若い労働力を持つ東南アジア最大の経済大国であり、親日感情が非常に高い国です。2025年6月時点で日本に在留するインドネシア人は25万人に達しています。

この急増の背景には、日本政府による特定技能受け入れ枠の大幅拡大、試験合格制度による計画的な人材受け入れ、現地日本語教育インフラの充実、そして二国間協定による政府間連携の強化があります。採用のメリットとしては、礼儀正しく協調性が高い国民性、温厚で対人業務に適した性格、そして試験合格者は基礎技能を習得済みである点が挙げられます。

一方で、宗教的配慮や継続的な日本語教育支援、明確なキャリアパスの提示などが、長期定着のために重要です。適正な送り出し機関の選定と、社内の受け入れ体制整備を丁寧に行うことで、インドネシア人材は貴重な戦力として企業の人手不足課題解決に大きく貢献します。

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参考文献
https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri07_00215.html
https://yamatogokoro.jp/inboundnews/pickup/53817/
https://kakemochi.co.jp/column/pro-japanese-country-indonesia/

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