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【2026年最新】白トラ規制強化とは?規制内容や罰則、対策を解説

【特集】2026年問題・課題

【2026年最新】白トラ規制強化とは?規制内容や罰則、対策を解説

2026年4月1日から、物流業界に大きな変化をもたらす「白トラ規制強化」が施行されます。これまで物流コストの削減手段として一部で利用されてきた白トラですが、安全面や労働環境の問題から、国土交通省が規制を大幅に強化することになりました。この記事では、白トラ規制強化の基本的な内容から、具体的な罰則、企業が取るべき対策まで、わかりやすく解説していきます。物流業界で働く方はもちろん、荷主企業の方、そして消費者として物流サービスを利用する私たちすべてに関わるテーマですので、ぜひ最後までご覧ください。

関連リンク:【特集】2026年問題・課題

白トラとは何か?基本的な定義と問題点

ここでは、白トラとは何か、その基本的な仕組みや抱えている問題について解説していきます。

白トラの基本的な定義

「白トラ」とは、貨物自動車運送事業の許可を得ていない事業者が、白ナンバーのトラックを使って有償で荷物を運ぶことを指す俗称です。正式には「違法な白トラ事業者」と呼ばれ、貨物自動車運送事業法に違反する運送行為とされています。

本来、白ナンバーは自家用車や社用車に使用されるものです。有償で荷物を運送する場合は、緑ナンバー(営業用)を取得し、貨物自動車運送事業の許可を受ける必要があります。白ナンバーで有償運送を行うことは、安全基準や労働環境の規制を回避する違法行為にあたります。

白トラが問題視される最大の理由は、正規の運送事業者が守るべき様々な安全基準や労働基準を満たしていない点です。例えば、ドライバーの点呼義務、運転時間の管理、車両の定期的な整備、適切な保険への加入などが義務付けられていません。このため、事故のリスクが高く、万が一事故が起きた場合の補償も不十分になる可能性があります。

白トラが生まれた背景と現状

白トラが一定の需要を持ってきた背景には、物流業界の厳しい価格競争があります。荷主企業は少しでも安い運送費を求め、運送業者も受注を確保するために価格を下げざるを得ない状況が続いてきました。この中で、許可を取らずに白ナンバーで運送を行う事業者は、安全コストや労働コストを削減することで、極めて低価格での運送を提供できたのです。

特に、中小企業や個人事業主が荷主となる場合、コスト削減の圧力が強く、白トラを利用するケースが見られました。また、運送の依頼先が実は白トラ事業者だったというケースもあり、荷主側が「知らなかった」として責任を回避できる状況も問題視されてきました。

違法な白トラによる運送は全体の数パーセント程度とされていますが、特定の業種や地域では割合が高くなっています。物流業界全体の健全な発展を阻害する要因として、規制強化が求められてきた経緯があります。

白トラが抱える具体的な問題点

白トラの最大の問題は、安全性の確保が不十分である点です。正規の貨物運送事業者には、ドライバーの健康状態の確認、運転時間の管理、車両の定期点検などが義務付けられています。しかし、白トラ事業者にはこれらの義務がないため、過労運転や整備不良による事故のリスクが高まります。

また、保険の問題も深刻です。営業用の緑ナンバー車両は、貨物保険や高額の賠償責任保険に加入していますが、白ナンバー車両は自家用車並みの保険しか加入していないケースが多く見られます。事故が発生した場合、被害者への十分な補償ができない可能性があり、荷主企業も責任を問われるリスクがあります。

さらに、労働環境の観点からも問題があります。白トラのドライバーは、労働時間の規制や最低賃金の保障がない状態で働いていることが多く、過酷な労働条件に置かれています。これは、物流業界全体のドライバー不足や労働環境の悪化につながる要因の一つとなっています。

2026年4月施行の規制強化の内容

ここでは、2026年4月に施行される規制強化の内容について解説します。

荷主への罰則導入が最大のポイント

2026年4月1日から施行される改正貨物自動車運送事業法の最大の変更点は、違法な白トラ事業者に運送を委託した荷主にも罰則が科されるようになることです。これまでは、違法な運送を実際に行った白トラ事業者のみが取り締まりの対象でしたが、今後は運送を依頼した荷主側も責任を問われることになります。

具体的には、違法な白トラ事業者と知りながら、または相当の注意を払えば知り得たにもかかわらず運送を委託した場合、荷主に対して100万円以下の罰金が科されます。これは、違法な運送の需要側である荷主の責任を明確にし、白トラの利用を根本から断つことを目的としています。

国土交通大臣は、白トラを利用している疑いのある荷主に対して調査を行い、要請や勧告を出すことができるようになりました。勧告を受けた場合は社名が公表されるため、企業のレピュテーションリスクも大きくなります。このため、荷主企業は委託先の運送事業者が正規の許可を持っているかを確認する体制を整える必要があります。

再委託回数の制限による多重下請け構造の是正

改正法のもう一つの重要なポイントは、再委託回数を2回以内とする努力義務が課されることです。これは、物流業界に長年存在してきた多重下請け構造を是正し、運賃の適正化とドライバーの待遇改善を図ることを目的としています。

従来の物流業界では、荷主から運送を受託した事業者が、さらに別の事業者に委託し、それがさらに孫請け、ひ孫請けと続いていく構造が一般的でした。この多重下請け構造では、運賃の多くが中間業者に吸収され、実際に運送を行うドライバーに届く報酬が極端に低くなる問題がありました。

2026年4月以降は、貨物自動車運送事業者および貨物利用運送事業者に対して、再委託を2回以内とする努力義務が課されます。例えば、荷主(A社)から貨物利用運送事業者(B社)が運送を受託し、B社が貨物自動車運送事業者(C社)に委託、C社がさらにD社に再委託するという構造は、原則として認められなくなります。

書面交付義務の拡大で契約の透明化を促進

改正法では、貨物利用運送事業者(いわゆる「水屋」)にも、運送契約締結時に書面を交付する義務が新たに課されます。これまで書面交付義務があったのは貨物自動車運送事業者のみでしたが、今後は運送の仲介を行う事業者にも同様の義務が拡大されます。

書面には、運送条件、料金、責任分担などを明確に記載する必要があります。これにより、契約内容が曖昧なまま運送が行われ、後からトラブルになるケースを防ぐことができます。契約の透明化は、適正な運賃の確保やドライバーの待遇改善にもつながる重要な施策です。

荷主企業にとっては、運送を委託する際に受け取る書面をしっかりと確認し、契約内容を把握することが重要になります。また、委託先が再委託を行う場合も、その内容が書面で明確になっているかを確認する必要があります。

違反した場合の罰則と調査の流れ

ここでは、違反した場合の罰則と調査の流れについて具体的に解説していきます。

荷主に科される具体的な罰則内容

2026年4月以降、違法な白トラ事業者に運送を委託した荷主には、最大で100万円以下の罰金が科されます。これは法人に対する罰則であり、個人事業主の場合も同様に適用されます。罰金は企業の規模に関わらず一律ですが、大企業にとっても無視できない金額です。

さらに、国土交通大臣からの勧告を受けた場合、社名が公表されるというペナルティがあります。企業の社会的信用に関わる重大な問題であり、取引先や消費者からの信頼を失う可能性があります。特に上場企業や大手企業にとっては、コンプライアンス違反として株価や企業価値に影響を与えるリスクがあります。

罰則の対象となるのは、「違法な白トラ事業者と知りながら」または「相当の注意を払えば知り得たにもかかわらず」運送を委託した場合です。つまり、単に「知らなかった」では済まされず、委託先が正規の許可を持っているかを確認する義務があるということです。

国土交通省による調査と是正措置の流れ

国土交通省は、違法な白トラの利用が疑われる荷主に対して、調査を行う権限を持っています。調査は、通報や情報提供、定期的な監視活動などをきっかけとして開始されます。調査対象となった企業には、運送契約の内容、委託先の事業者情報、支払った運賃などの資料提出が求められます。

調査の結果、違法な白トラの利用が確認された場合、まず国土交通大臣から「要請」が出されます。要請は改善を促すものであり、この段階では社名の公表は行われません。しかし、要請に応じない場合や、改善が見られない場合は、「勧告」に移行します。

勧告が出されると、企業名が公表されるため、社会的な信用を大きく損なうことになります。さらに勧告にも従わない場合は、罰金刑が科される可能性があります。このため、要請の段階で速やかに改善措置を取ることが重要です。

違反を防ぐための注意点

運送料金が極端に安い場合は注意が必要です。正規の運送事業者は、安全基準や労働基準を守るために一定のコストがかかるため、市場相場を大きく下回る料金を提示する場合は、違法な白トラの可能性があります。適正な運賃での取引を心がけることが、結果的に違反を防ぐことにつながります。

さらに、委託先が再委託を行う場合も、その委託先が正規の許可を持っているかを確認する必要があります。書面交付義務の拡大により、再委託先の情報も書面に記載されるようになるため、これをしっかりとチェックすることが重要です。

荷主企業が取るべき具体的な対策

ここでは、荷主企業が取るべき具体的な対策について解説します。

委託先の確認と管理体制の構築

荷主企業が最優先で取り組むべき対策は、委託先の運送事業者が正規の許可を持っているかを確認する体制を構築することです。新規に運送を委託する場合はもちろん、既存の委託先についても、改めて許可の有無を確認する必要があります。

具体的には、委託先から「貨物自動車運送事業許可証」のコピーを提出してもらい、記載されている許可番号が有効かどうかを国土交通省の検索システムで確認します。また、許可証の有効期限や更新状況についても定期的にチェックすることが重要です。

委託先の管理台帳を作成し、事業者名、許可番号、許可の有効期限、確認日などを記録しておくことで、いつでも委託先の適法性を証明できる体制を整えることができます。この台帳は、国土交通省から調査を受けた際にも、適切な注意を払っていたことを示す重要な証拠となります。

運送契約書のチェックポイント

2026年4月以降は、貨物利用運送事業者にも書面交付義務が課されるため、運送契約を締結する際には必ず書面を受け取ることができます。この書面には、運送条件、料金、責任分担、再委託の有無とその委託先などが記載されているため、しっかりと内容を確認することが重要です。

特に注目すべきポイントは、再委託に関する記載です。委託先が再委託を行う場合、その委託先の事業者名と許可番号が記載されているかを確認します。再委託先が複数ある場合や、再委託の回数が2回を超える場合は、法令違反の可能性があるため注意が必要です。

また、運送料金が市場相場と比べて極端に安い場合は、違法な白トラが介在している可能性があります。適正な料金での取引を心がけ、不自然に安い料金を提示された場合は、その理由を委託先に確認することも必要でしょう。

社内ルールとコンプライアンス体制の整備

荷主企業としては、白トラ規制に対応するための社内ルールを整備することが必要です。例えば、運送を委託する際の承認フローを明確にし、必ず委託先の許可証を確認してから契約を締結するといったルールを設けることが有効です。

また、従業員への教育も重要です。特に、購買部門や物流部門の担当者には、白トラ規制の内容や違反のリスク、委託先の確認方法などについて、定期的に研修を実施することが推奨されます。コンプライアンス意識を高めることで、意図せずに違法な白トラを利用してしまうリスクを減らすことができます。

さらに、内部監査の仕組みを構築し、定期的に運送委託の状況をチェックすることも有効です。委託先の許可証の確認が適切に行われているか、運送契約書の内容が法令に適合しているかなどを監査し、問題があれば速やかに是正する体制を整えることが大切です。

物流業界への影響と今後の展望

最近では、需要の変化に伴い、現場のオペレーションや人員配置の見直しが求められるケースも増えています。ここでは、物流業界への影響と今後の展望について解説します。

正規の運送事業者への影響

白トラ規制の強化により、正規の貨物自動車運送事業者にとっては、違法な競争相手が減ることで公平な競争環境が整うというメリットがあります。これまで、安全コストや労働コストを削減した白トラ事業者との価格競争に苦しんできた正規事業者にとっては、適正な運賃での受注がしやすくなることが期待されます。

また、再委託回数の制限により、多重下請け構造が是正されることで、運賃の中抜きが減り、実際に運送を行うドライバーへの報酬が増えることが期待されます。ドライバーの待遇改善は、慢性的なドライバー不足の解消にもつながる可能性があります。

一方で、再委託の制限により、柔軟な物流ネットワークの構築が難しくなるという懸念もあります。特に地方や特殊貨物の運送では、適切な運送業者を見つけるのが難しくなる可能性があります。このため、物流業界全体で、効率的な配送ネットワークの構築や協業の仕組みを検討していく必要があります。

荷主企業への影響とコスト増加の可能性

荷主企業にとっては、違法な白トラを利用できなくなることで、運送コストが上昇する可能性があります。これまで極端に安い料金で運送を依頼していた企業にとっては、正規の運送事業者に委託することで、コストが大幅に増加するケースも考えられます。

また、委託先の確認や契約管理の体制を整えるための事務コストも発生します。特に中小企業にとっては、コンプライアンス体制の構築に人的・金銭的なリソースを割くことが負担となる可能性があります。

しかし、長期的には、適正な運賃での取引が定着することで、物流業界全体が健全に発展し、安定した物流サービスを受けられるようになることが期待されます。また、違法な白トラを利用することで発生するリスク(事故時の補償不足、社名公表などのレピュテーションリスク)を回避できるため、結果的には企業にとってもメリットがあると言えます。

物流の透明化とデジタル化の促進

白トラ規制の強化は、物流業界全体の透明化とデジタル化を促進する契機となる可能性があります。委託先の確認や契約管理を効率的に行うためには、デジタルツールの活用が有効です。例えば、運送事業者のデータベースを構築し、許可証の有効性を自動でチェックできるシステムを導入する企業が増えることが予想されます。

また、書面交付義務の拡大により、運送契約の内容が明確化されることで、サプライチェーン全体の可視化が進むことも期待されます。運送の流れや再委託の状況をリアルタイムで把握できるプラットフォームの需要が高まり、新しいビジネスモデルが生まれる可能性もあります。

規制強化をきっかけとして、物流業界全体がより透明で効率的な仕組みへと進化していくことが期待されます。デジタル技術を活用した物流管理システムや、コンプライアンスを支援するサービスなど、新しいビジネスチャンスも生まれるでしょう。

まとめ

2026年4月1日から施行される白トラ規制強化は、物流業界に大きな変革をもたらす重要な制度改正です。違法な白トラ事業者に運送を委託した荷主にも罰則が科されるようになり、再委託回数の制限や書面交付義務の拡大など、様々な規制が導入されます。

荷主企業は、委託先が正規の許可を持っているかを確認する体制を整え、運送契約書の内容をしっかりとチェックする必要があります。この規制強化は、物流業界全体の健全な発展を促し、ドライバーの労働環境を改善することを目的としています。消費者である私たちも、適正な物流サービスを選び、持続可能な物流を支えることが求められています。すべての人が安心して暮らせる社会を実現するために、一人ひとりができることから始めていきましょう。

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