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プレゼンティーズムとは?|仕事の生産性が低下する原因と対策を徹底解説

体調管理・労務環境

プレゼンティーズムとは?|仕事の生産性が低下する原因と対策を徹底解説

皆さんは体調が優れないにもかかわらず、無理して出社した経験はありませんか?実はこの行動は、企業の生産性に大きな影響を与える「プレゼンティーズム」と呼ばれる現象なのです。 プレゼンティーズムは、従業員が職場に出勤しているにもかかわらず、体調不良やメンタルヘルスの問題により、本来の能力を発揮できない状態を指します。この問題は見過ごされがちですが、企業の生産性や経済に与える影響は想像以上に大きいものです。 本記事では、プレゼンティーズムの概念から具体的な対策まで、企業と従業員の双方が取り組むべき課題について詳しく解説します。健康経営の視点を取り入れ、職場環境の改善と生産性向上を目指しましょう。

プレゼンティーズムの基本概念と企業への影響

プレゼンティーズムとは、「出勤はしているが十分なパフォーマンスを発揮できていない状態」を指す言葉です。体調不良でありながらも休まずに出社し、結果として生産性が低下している状況を表しています。

プレゼンティーズムとアブセンティーズムの違い

プレゼンティーズムを理解するためには、アブセンティーズム(欠勤)との違いを知ることが重要です。

– アブセンティーズム:従業員が病気や体調不良で仕事を休む状態。欠勤による直接的な労働力不足を引き起こします。

– プレゼンティーズム:従業員が体調不良で出勤はしているものの、業務効率が落ち、本来の能力を発揮できない状態。目に見えにくいため対策が遅れがちです。

アブセンティーズムは欠勤として記録に残りますが、プレゼンティーズムは表面化しにくいため、企業にとって「隠れたコスト」となっています。実際、アメリカの調査では、プレゼンティーズムによる損失はアブセンティーズムの2〜3倍にも達するという報告もあります。

企業経営への具体的な影響

プレゼンティーズムが企業に与える影響は多岐にわたります。代表的な影響として、以下の4つがあります。

1. 生産性の低下:集中力や判断力の低下により、業務効率が30〜40%落ちるケースもあります。

2. ミスやエラーの増加:思考力の低下により、通常なら起こりえないミスが発生する可能性が高まります。

3. 長期的な健康悪化:無理をして働き続けることで、症状が悪化し、最終的には長期休職につながることもあります。

4. 職場環境の悪化:一人の不調が他の従業員にも波及し、チーム全体のモチベーション低下を招く恐れがあります。

上記4つからわかるように、従業員の健康を守ることが企業の効率やチームのモチベーションを維持するために重要です。

プレゼンティーズムの主な原因と発生メカニズム

プレゼンティーズムは様々な要因が複雑に絡み合って発生します。原因を理解することで、効果的な対策を講じることができるでしょう。ここでは、身体とメンタルヘルスの面から具体的な原因を解説します。

身体的な健康問題

身体の不調は、プレゼンティーズム(出勤しているものの生産性が低下している状態)の最もわかりやすい原因の一つです。例えば、腰痛や肩こり、頭痛といった慢性的な痛みは、集中力や作業効率を大きく低下させます。また、高血圧や糖尿病、高脂血症といった生活習慣病も、日常的な業務パフォーマンスに影響を及ぼすことがあります。

さらに、花粉症やインフルエンザなどの季節性の症状も、一時的ではあるものの、生産性の大幅な低下を招く要因となります。これらの不調は、集中力の欠如や疲労感の増加につながり、業務の効率を著しく損ないます。特に慢性的な症状を抱えている従業員は、常に万全の状態で働けるとは限らず、パフォーマンスが一定水準を下回ることも少なくありません。

メンタルヘルスの問題

近年、特に注目されているのが、メンタルヘルスの問題に起因するプレゼンティーズムです。職場の人間関係や業務のプレッシャーによるストレスや不安は、判断力や創造性を低下させ、業務のパフォーマンスに悪影響を及ぼします。さらに、うつ病やバーンアウト(燃え尽き症候群)といった深刻なメンタル不調に陥ると、意欲の喪失や集中力の低下を招き、業務効率が大幅に低下してしまいます。

睡眠障害も無視できない要因のひとつです。不眠や睡眠の質の低下は、日中の疲労感や集中力の低下に直結し、仕事の生産性を著しく損なう可能性があります。

メンタルヘルスの問題は外見からは判断しにくく、本人も「気合いで乗り越えられる」と誤解しがちです。しかし、適切な休息や治療を行わない限り、根本的な改善は難しいのが現実です。職場全体でメンタルヘルスへの理解を深め、早期の対処を促す環境を整えることが、企業にとっても従業員にとっても重要な課題となっています。

職場環境や企業文化の影響

会社の風土や職場環境は、プレゼンティーズムを助長する大きな要因のひとつです。特に、休みにくい雰囲気がある職場では、「病気で休むと周囲に迷惑がかかる」「評価に影響する」といった意識が根付き、無理をして出社する文化が生まれがちです。また、業務量が過剰な場合、体調が優れなくても「後で挽回できない」というプレッシャーから、無理をして働き続ける従業員が増えてしまいます。出勤日数や残業時間を評価基準にしている職場では、体調不良でも休みにくくなる傾向が強くなり、結果として健康状態の悪化を招くことになります。

従業員の健康を守り、生産性を維持するためには、休みやすい環境を整え、労働時間の管理や評価制度を適切に見直すことが不可欠です。

プレゼンティーズムがもたらす具体的な損失

プレゼンティーズムが企業にもたらす損失は、想像以上に大きいものです。どのくらい損失があるのか、具体的な数字で見ていきましょう。

経済的損失の実態

研究によると、プレゼンティーズムがもたらす経済的損失は無視できない規模に達しています。米国の調査では、体調不良を抱えながら働くことによる損失は年間2,260億ドル(約24兆円)にも上ると試算されています。日本でも、企業の生産性損失の約60%がプレゼンティーズムによるものという調査結果が出ており、その影響の大きさが明らかになっています。

さらに、一人あたりの年間損失額は約50万円とされ、企業の規模によっては億単位の損失につながる可能性もあります。これらの数字は、従業員が体調不良のまま働き続けることで生じる「見えないコスト」の大きさを示しており、特に知識労働やクリエイティブな業務では、その影響がより顕著になる傾向があります。企業が持続的に成長し、高い生産性を維持するためには、プレゼンティーズムの問題に正面から向き合い、従業員の健康管理を強化することが不可欠です。

業種別のプレゼンティーズムの影響

プレゼンティーズムの影響は業種によっても異なります。主な特徴を業界別にまとめると、次のようになります。

業種プレゼンティーズムの主な影響想定される損失率
IT・開発創造性の低下、バグの増加30-40%
医療・介護医療ミスのリスク増加、患者対応の質低下25-35%
営業職説得力の低下、商談成約率の低下20-30%
製造業安全リスクの増大、品質管理の低下15-25%
事務職処理スピードの低下、ミスの増加10-20%

特に対人サービスや高度な判断が必要な業種では、プレゼンティーズムの影響が大きくなる傾向があります。例えば、体調不良の医師が診断ミスを起こすリスクは、健康時と比較して2倍以上になるという研究結果もあります。

長期的な企業競争力への影響

プレゼンティーズムは、短期的な生産性の低下にとどまらず、長期的には企業の競争力にも大きな影響を及ぼします。例えば、体調不良やストレスを抱えた状態ではクリエイティビティが発揮されにくく、新しいアイデアや改善策が生まれにくくなるため、イノベーションの停滞を招く可能性があります。また、健康に配慮しない企業文化が定着すると、従業員の満足度が低下し、優秀な人材が流出するリスクも高まります。さらに、「社員の健康よりも業務を優先する企業」という評判が広まれば、採用市場においてマイナスの影響を及ぼし、企業イメージの低下につながることも考えられます。

実際に、プレゼンティーズム対策を怠った結果、離職率が業界平均の1.5倍に達し、採用コストの増加と技術継承の停滞という二重の損失を被った企業もあります。このように、プレゼンティーズムの問題を放置すると、企業の持続的な成長を阻害し、競争力の低下を招くリスクがあるため、適切な対策を講じることが不可欠です。

プレゼンティーズムを引き起こす社内要因と実態調査

プレゼンティーズムを効果的に対策するためには、組織内でどのような要因がこの問題を助長しているのかを把握することが重要です。具体的な社内要因と実態を見ていきましょう。

休みにくい企業文化の問題

日本企業では、「休むことへの罪悪感」が根強く残っています。特に、同僚への配慮から「休むと迷惑をかける」と考え、体調不良でも出社するケースが多く見られます。また、上司自身が休まず働く姿勢を見せることで、部下もそれに倣いやすくなります。さらに、出社日数や残業時間が評価に影響する暗黙の了解がある職場では、無理をして出社する傾向が一層強まります。

ある調査では、日本の会社員の67%が「多少の体調不良なら出社すべき」と考えており、管理職ではその割合が78%に達しています。この「出社至上主義」がプレゼンティーズムを助長する大きな要因となっています。

業務設計と人員配置の課題

プレゼンティーズムは、企業文化だけでなく、業務の設計や人員配置の問題にも起因します。特に、代替要員がいない職場では、「休めない」状況が生まれやすくなります。業務フローに余裕がなく、急な欠勤時の引き継ぎ体制が整っていないと、休むことへの心理的ハードルがさらに高まります。また、最低限の人員で運営されている部署では、一人の欠勤が業務全体に影響を与えるため、無理をして出社する従業員が増える傾向にあります。

実態調査から見える実情

最近の調査では、日本の労働者の約75%が「過去1年間に体調不良にもかかわらず出社した」と回答しています。特に多い症状は「頭痛」「風邪症状」「腰痛・肩こり」で、これらによる生産性の低下は平均30〜40%に及ぶとされています。メンタルヘルスの問題では、「軽度のうつ状態」「強いストレス」「睡眠不足」が主な要因となり、場合によっては生産性が50%以上低下することもあります。

特に若手社員は「評価への影響」を懸念し、無理をする傾向が強いことが指摘されています。20代〜30代前半の社員ほど、プレゼンティーズムの影響を受けやすく、長期的な健康リスクを抱える可能性が高いことから、早急な対策が求められます。

プレゼンティーズムへの効果的な企業対策

プレゼンティーズム対策は、企業にとって重要な経営課題です。効果的な対策を導入することで、従業員の健康と生産性の両方を向上させることができます。ここでは、プレゼンティーズムを防ぐための効果的な対策についてご紹介します。

健康経営の視点からのアプローチ

プレゼンティーズムを防ぐには、「健康経営」の視点が欠かせません。従業員の健康をコストではなく投資と捉え、長期的な健康促進策を実施することが重要です。経営トップが健康経営の必要性を理解し、明確なメッセージを発信することで、組織全体の意識改革が進みます。実際に、経営戦略の一環として健康経営を推進した企業では、プレゼンティーズムによる損失が2年間で約30%減少したという事例もあります。また、経済産業省が推進する「健康経営優良法人認定制度」を活用し、組織的な取り組みを強化するのも効果的です。

具体的な制度設計と環境整備

健康経営を実現するためには、具体的な制度設計と職場環境の整備が不可欠です。例えば、テレワークやフレックスタイム制、時差出勤の導入により、柔軟な勤務体系を整えることで、体調に合わせた働き方が可能になります。さらに、産業医や保健師による健康相談の充実、メンタルヘルスケアの専門家によるカウンセリングの実施、定期的なストレスチェックなど、健康サポート体制を強化することも重要です。

職場環境の改善も欠かせません。エルゴノミクスにもとづいた作業環境の整備や、適切な休憩スペースの確保、換気や消毒設備の充実など、快適かつ衛生的な環境を整えることで、従業員の健康維持につながります。例えば、「体調管理休暇」という特別休暇制度を導入し、初期段階で1〜2日休めるようにした企業では、長期病欠が40%減少したという実績もあります。このように、予防的な休養を促す仕組みが効果を発揮します。

管理職の意識改革と教育

プレゼンティーズム対策には、管理職の意識改革が不可欠です。管理職向けの研修を定期的に実施し、部下の体調変化に気づくポイントや健康管理の重要性を学ぶ機会を設けることが有効です。また、評価制度を見直し、出勤日数ではなく成果や生産性を重視する仕組みにすることで、無理な出社を防ぐ環境を整えられます。

さらに、管理職自身が適切に休養を取ることも重要です。上司が率先して休むことで、「休むことも仕事の一部」という意識が浸透し、従業員も安心して休める職場文化が育まれます。実際に、全管理職に「ヘルスケアマネジメント研修」を実施し、部下の健康に配慮したマネジメントを促進した企業では、部署全体の生産性が15%向上したという成果が報告されています。このように、管理職の意識と行動の変化が、職場全体のプレゼンティーズム対策のカギを握っています。

まとめ

プレゼンティーズムとは、従業員が体調不良のまま出社し、本来の能力を発揮できない状態を指します。この問題は目に見えにくいものの、企業の生産性や従業員の健康に深刻な影響を及ぼします。

効果的な対策には、組織全体での取り組みが欠かせません。経営層の明確な方針、管理職の意識改革、従業員のセルフケア意識の向上を図ることで、生産性の向上が期待できます。特に、制度と文化の両面からアプローチすることが重要です。柔軟な勤務制度や健康支援策を整えるだけでなく、「休むことも仕事の一部」という意識を浸透させることが、プレゼンティーズムの抑制につながります。 従業員の健康はコストではなく、企業の成長を支える重要な投資です。プレゼンティーズム対策は、従業員の健康と企業の生産性を同時に高める「Win-Winの取り組み」といえます。本記事で紹介した対策を参考に、健康経営を実践してみませんか。

参考文献:
https://www.archelis.com/tachishigoto-mikata/whai-is-presenteeism/

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