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製造現場に欠かせない熱中症対策とは?|事例を6カテゴリに分けて一挙紹介

製造現場に欠かせない熱中症対策とは?|事例を6カテゴリに分けて一挙紹介

夏場の製造現場では、屋内でも熱中症リスクが高まるため、従業員の安全と健康を守るための対策が非常に重要です。今回の記事では、政府の指針にもとづき導入が進んでいる、6つのカテゴリーの熱中症対策事例を、実践的な視点から詳しくご紹介します。これらの対策事例は、具体的な企業事例を通じて、現場で即実施可能な方法をわかりやすくまとめています。各取り組みは、作業現場における様々な危険要因を軽減し、安心して業務に励める環境作りにつながる内容となっています。ぜひ、記事内のポイントや具体例を参考に、貴社の安全対策の一助としてご活用ください。

製造現場での熱中症対策の基本6カテゴリーについて

製造現場における熱中症対策は、複数の視点から包括的に実施することが求められます。厚生労働省が示す6つのカテゴリーは、対策の基礎となる大切な項目です。ここでは、各カテゴリーの具体的な取り組み内容をわかりやすく説明します。

作業環境管理

作業環境管理では、室内外の温度や湿度を把握するためのWBGT値(熱中症の危険度を判断するための指標)の測定をはじめ、スポットクーラーやミストファンなどの冷却設備を導入して熱の侵入を抑える工夫がされています。また、空調完備の休憩所やシェード付きの仮設休憩エリアを整備し、作業員が安全に体を休められる環境を確保しています。

作業管理

作業管理では、作業時間と休憩時間の最適なバランスを取ることが重視されています。熱環境の変化に合わせたシフト調整や、暑熱順化(体を暑さに慣れさせて熱中症になりにくくする対策)による体調への負担軽減を図る取り組みが実施されています。また、冷却グッズの支給や作業中の巡回を通じて、従業員一人ひとりの安全を確保する取り組みが行われています。

健康管理

健康管理の分野では、毎朝の体調チェックや健康診断の結果にもとづいた個別対応が重要視されています。作業前の体調確認や、適切な水分・塩分摂取の指導を通じて、熱中症リスクを低減するための仕組みが整備されています。自己申告や記録の徹底により、万が一の体調不良にも迅速に対応できるようになっています。

労働衛生教育

労働衛生教育は、従業員全体の知識向上と意識改革を目的として実施されます。定期的な社内講習や安全委員会を通じて、熱中症予防の正しい知識が共有されています。このような教育活動は、現場での事故発生リスクを低減し、従業員の健康意識を高める効果が期待できます。

救急措置

救急措置の実施は、万が一の体調不良に迅速に対応するための重要な対策です。現場での異常を速やかに発見し、適切な応急処置や搬送体制の整備が求められています。救急車の待機体制や応急処置キットの充実が、現場における安心感に直結します。

管理体制の整備

管理体制の整備では、パトロールや巡視を通じた現場状況の常時確認が重視されています。産業医や安全管理担当者が中心となり、各種データの分析や対策の見直しが行われています。こうした体制の構築により、施策の定着と継続的な改善が実現されています。

A社(製造業・鉄鋼)の熱中症対策事例

鉄鋼メーカーであるA社では、厳しい作業環境下でも熱中症リスクを最小限に抑えるための様々な対策を実施しています。以下では、6つのカテゴリーに沿った具体的な取り組み事例をご紹介します。

作業環境管理

A社では、工場内外の温度管理に重点を置いています。具体的には、直射日光を遮るための日よけ・テントの設置や、スポットクーラー、ミストファンなどの冷却機器を積極的に導入しています。さらに、一般社員だけでなく下請け作業員も利用できる、エアコン完備のプレハブ休憩小屋を設けるなど、万全の環境整備がなされています。

作業管理

現場での効率的な作業管理にも力を入れており、WBGT値にもとづいた作業・休憩時間の自動計算が可能な「温熱環境評価シート」を活用しています。個人ごとに冷却グッズとして、空調服やネッククーラーが支給され、作業効率と安全性を両立させる工夫が施されています。さらに、社内イントラネット上に専用サイトを設け、最新の計測データや良好な事例を共有している点も特徴です。

健康管理

A社では、毎朝の健康チェックシートを用いて従業員の体調を確認するとともに、産業医が選定した塩分補給アイテム(梅干し、塩タブレット、茎わかめなど)を常時準備しています。水分や塩分の摂取状況の記録管理も徹底し、必要に応じた補給の呼びかけを実施しています。こうした取り組みにより、従業員一人ひとりの健康状態をしっかりと把握し、万全な対応策が整えられています。

労働衛生教育

毎年3~5月の集中した期間に、熱中症対策のための教育プログラムを実施しています。安全衛生委員会が中心となり、災害事例や産業医からの助言をもとにした講習が行われ、現場全体での意識向上が図られています。従業員同士での情報交換やディスカッションが促され、知識の定着と実践力の向上に寄与しています。

救急措置

A社では、現場における救急措置のマニュアル整備や、定期的な訓練を通じて、万一の際に即応できる体制がしっかりと構築されています。また、広大な敷地内にきめ細かく対応するために、各部署を1チーム2名で毎日パトロールし、安全に業務がなされているかを監視。熱中症が発生しやすい時期には集中的に熱中症予防のパトロールを強化する取り組みが行われています。

管理体制の整備

A社では、産業医、安全マイスター、労働組合の代表者など複数の専門家による定期的な現場巡視が行われています。これにより、対策の実施状況が随時確認され、改善が必要な点について迅速にフィードバックがされています。全社的な連携体制が整っており、従業員の安全を守るための取り組みが徹底されているといえます。

B社(製造業・機械)の熱中症対策事例

B社は、約700名の従業員を擁する機械製造企業として、多様な機器の製造現場において熱中症対策を徹底しています。ここでは、B社が実施している6つのカテゴリーごとの対策内容について詳しく見ていきましょう。

作業環境管理

B社では、室内環境の温度上昇を抑制するために、エアコンや大型スポットクーラー、ミストファン、大型扇風機など多彩な冷却設備を導入しています。休憩所の充実にも注力しており、ウォーターサーバーや保冷剤を完備し、さらにマイクロバスを移動式の冷房休憩所として活用するなど、従業員が涼しく休める環境作りに取り組んでいます。

作業管理

B社では、各従業員に対して個別の冷却対策として、空調服やネッククーラーの支給が行われています。夏季は4勤2休のシフト体制を採用し、十分な休養が確保されるように工夫されている点が特徴です。また、WBGT値を定期的に測定し、その結果を全従業員に共有することで、危険レベルの変化に応じた迅速な作業調整がなされています。

健康管理

B社では、毎朝の朝礼時に従業員の体調や朝食摂取状況を確認する仕組みを取り入れており、体調異常が見受けられる場合はすぐに対応しています。さらに、社内食堂では栄養士が考案した熱中症予防に適したメニューが提供され、キムチなど夏バテ対策の食品が積極的に取り入れられています。尿色チェックなど、自己管理の方法も指導され、徹底した健康管理が行われています。

労働衛生教育

B社では、定期的に社外講師を招いた講演会や社内講習会が開催され、最新の熱中症対策情報が提供されています。試飲会や塩飴、塩タブレットの配布といったイベントを通じて、従業員自身が熱中症予防に対する理解を深める機会が多く設けられております。こうした取り組みによって、現場全体での安全意識が高まっています。

救急措置

B社は、高温作業時の急変リスクに備え、交代要員の増員や暑熱順化のための生産量抑制措置を行っています。特に長期休暇明けなど、体が十分に慣れていないタイミングには、作業負荷を軽減する措置が取られており、これにより体調不良のリスクを最小限に留めています。定期的な訓練と現場での迅速な対応体制が整えられている点も安心材料です。

管理体制の整備

B社では、管理監督者が随時WBGT値や現場の状況を確認しながら、定期的なパトロールを実施しています。さらに、従業員への水分補給の呼びかけや、必要な場合のシフト変更など、現場の状況に柔軟に対応する体制が確立されています。これにより、危険な状況に早期に気づき、事前に対策を講じる仕組みが機能しています。

その他の具体的な熱中症対策と推奨事項

現場で実践されている具体策は、基本カテゴリーの取り組みにとどまらず、各企業が独自の工夫を凝らしています。ここでは、製造現場における効果的な熱中症対策の実施ポイントと、周知すべき推奨事項について見ていきましょう。

・WBGT値の見える化を進めるために、低コストな簡易測定器や定置式装置を活用し、作業現場でリアルタイムに環境変化を把握できるようにすることが有効です。 

・休憩所の「質と量」の両面を充実させるため、スポットクーラー、ミストファン、遮光カーテンなどの組み合わせを工夫し、従業員が心から休める涼しい空間を提供することが求められます。 

・水分・塩分の補給はもちろん、消化吸収しやすい食事や軽食の提供を社内で取り入れることで、従業員の体力維持につながります。 

・夏季直前に集中した周知教育や講習会を実施し、熱中症対策への理解を徹底させると同時に、定期的なフォローアップが効果的です。 

・パトロールや管理体制の整備は、産業医や安全管理担当者が定期的に現場を巡回し、実施状況の確認や改善策のフィードバックを行うことで継続的な安全対策の向上が図れます。 

・遮熱工事や定期的な換気の実施も、工場内の温度上昇を防ぐための補助的対策として重要視されています。

効果的な熱中症対策実施のポイント

ここまでにご紹介した事例は、カテゴリーごとに具体的な対策が実施され、現場の安全性が高められている様子を示しています。効果的な対策を実現するためには、複数の対策を組み合わせ、現場ごとの状況に合わせた柔軟な運用が不可欠です。 

特に以下のポイントを押さえることで、対策の有効性が大きく向上します。

・環境状況のリアルタイム把握 

・適切な休憩所の設置と冷却機器の活用 

・定期的な健康チェックと塩分・水分補給の徹底 

・継続的な教育活動と情報共有の実施 

・現場巡回による管理体制の強化 

これらの取り組みを統合的に実施することで、製造現場における熱中症リスクは大幅に低減され、従業員が安心して業務に従事できる環境が整備されます。

まとめ

今回の記事では、製造現場における熱中症対策の基本6カテゴリーを中心に、A社とB社の事例を通じた具体的な取り組みをご紹介しました。対策の各ポイントを押さえ、環境管理、作業管理、健康管理、労働衛生教育、救急措置、管理体制の整備を組み合わせることが安全確保への近道です。最後に、この記事のポイントを振り返りましょう。

・WBGT値の測定と「見える化」による環境把握が効果的です。 

・休憩所の充実や冷却グッズの支給で、作業中の安全を確保しましょう。 

・定期的な健康チェックと栄養面のサポートで熱中症リスクを下げる対策が有効です。 

・安全教育や現場巡回により、対策の実施状況を常に確認する仕組みが必要です。 

貴社でもこれらの対策をぜひご検討いただき、従業員が安心して働ける環境作りにお役立てください。各対策の点検と改善につなげる取り組みを進めてみましょう。

参考文献:
https://business.ntt-east.co.jp/service/wearable_connect/column/column_6/index.html

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