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Excel & Accessで進む属人化。脱却を実現する方法とは?

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Excel & Accessで進む属人化。脱却を実現する方法とは?

ビジネスに欠かせないツールとなったExcelとAccess。その便利さと柔軟性の高さから、多くの企業で業務の中核を担っています。しかし、この便利さが「属人化」という大きな落とし穴を生み出しているのです。人手不足や高齢化が進む現代のビジネス環境では、特定の人材に依存した業務プロセスは大きなリスクとなります。 本記事では、Excel・Accessによる属人化の実態と原因を明らかにし、組織が取るべき具体的な対策を解説します。業務の持続可能性と効率化を両立させるための方法を、現場の視点から考えていきましょう。

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Excel・Access属人化の根本原因を探る

Excel・Accessの使用において、特定の担当者しか操作や保守ができない「属人化」が進んでいます。Excel・Accessは高い自由度と拡張性を持つため、個人の経験や知識に依存した独自の仕組みが構築されやすい環境を生み出します。

Excel・Accessの属人化が進む背景には、いくつかの根本的な原因が存在します。これらの原因を理解することで、効果的な対策を講じることができます。

個人による独自最適化の進行

Excel・Accessの最大の強みは、ユーザーが自由に機能を拡張し、業務に最適化できる点です。しかし、この強みが属人化の第一の原因となっています。

担当者は自分の業務を効率化するために、独自の工夫や改良を重ねていきます。最初は単純なシートやテーブルから始まったものが、徐々に複雑な関数やマクロ、クエリを取り入れながら進化していくのです。

「自分専用ツール」として最適化されたExcel・Accessファイルは、作成者の思考プロセスが埋め込まれた暗号のようなものとなり、他者が理解・修正することが極めて困難になります。このような個人最適化の積み重ねが、属人化を深刻化させる要因です。

「誰でも使える」という誤解

Excel・Accessは「誰でも使えるツール」という印象が強いため、その複雑さや専門性が過小評価されがちです。この認識のギャップが、属人化の第二の原因となっています。

確かに、基本的な操作は比較的簡単に習得できますが、実務レベルでの活用には相当の知識と経験が必要です。複雑な関数やVBA、データベース設計などは、専門的なITスキルに匹敵する領域です。

しかし、多くの組織ではこの点が認識されず、専門的なシステム開発と同等の複雑さを持つ業務ツールが、十分な管理体制やドキュメント整備なしに運用されています。結果として、作成者のみが理解できる「ブラックボックス」が生まれるのです。

ドキュメントと設計書の不在

属人化の第三の大きな原因は、ドキュメントや設計書の不足です。Excel・Accessで構築された業務ツールは、システム開発の成果物とは異なり、設計書や操作マニュアルが作成されないことがほとんどです。

使用方法や設計意図、データの流れなどの重要情報が口頭や記憶に依存している状態では、知識の継承が困難になります。特に、長期間かけて少しずつ機能拡張されたファイルでは、全体像を把握している人が誰もいないという事態も生じます。

さらに、「暗黙知」として個人の中に蓄積された操作ノウハウや処理手順は、明文化することが難しく、属人化を加速させる要因となります。

  • 作成者自身が全体像を把握していない(進化の過程で複雑化した)
  • マニュアル作成の時間や優先度が確保されていない
  • 定期的な引き継ぎや共有の機会がない
  • 「必要になったら聞けばいい」という文化が定着している
  • 形式知化されていない暗黙知やノウハウが多い

Excel・Access属人化がもたらす具体的なリスク

Excel・Accessの属人化は、単なる業務非効率にとどまらず、組織全体に深刻な影響を及ぼす可能性があります。具体的にどのようなリスクが生じるのかを見ていきましょう。

業務継続の困難化と組織的脆弱性

属人化の最も深刻なリスクは、担当者不在時の業務停止です。特定の個人しか操作できない状態では、その担当者の病欠や退職によって業務が完全に停止してしまう可能性があります。

業務の属人化は組織の脆弱性を高め、人事異動や世代交代といった通常の組織変化にも対応できない硬直的な状態を生み出します。このリスクは、人材の流動性が高まる現代のビジネス環境において、ますます重大な問題となっています。

非効率なメンテナンスと進化の停滞

属人化したExcel・Accessファイルは、メンテナンスにも大きな課題を抱えています。設計意図が不明確なため、小さな変更や機能追加にも膨大な時間と労力が必要になります。

例えば、計算ロジックの一部を変更する場合、どの数式やマクロに影響するのか把握できないため、変更の影響範囲を特定することが困難です。そのため、本来は簡単な修正であっても、全体を理解している担当者の助けなしには対応できません。

また、このような状況では、業務プロセスの改善や効率化も進みにくくなります。「現状維持」が最優先され、新しい機能やより効率的な方法を導入する余地がなくなってしまうのです。

部門間連携の障壁と情報共有の限界

属人化したExcel・Accessは、部門間の連携や情報共有にも大きな障壁となります。個人の管理下にあるファイルは、他部署との共有や統合が困難になるからです。

このように、属人化はデータサイロ(情報の孤立)を生み出し、組織全体の情報活用を妨げる要因となります。データ駆動型の経営が重視される現代において、これは競争力低下にもつながる重大なリスクです。

リスクの種類具体的な影響長期的な組織への影響
業務継続リスク担当者不在時の業務停止、
知識継承の困難
組織の脆弱性増大、
人材流動への対応力低下
メンテナンスリスク変更・改修の困難、
対応の複雑化
業務改善の停滞、
技術的負債の蓄積
情報共有リスク部門間連携の障壁、
データ統合の困難
データ駆動型経営の阻害、
競争力の低下
セキュリティリスクアクセス管理の不備、
データ漏洩の可能性
コンプライアンス違反、
信頼喪失

Excel・Access属人化からの脱却方法

ここまでExcel・Accessの属人化がもたらすリスクについて見てきましたが、では具体的にどのような対策を取るべきでしょうか。属人化を解消し、持続可能な業務体制を構築するための方法を探ります。

段階的なシステム化への移行

Excel・Accessからの脱却は、一足飛びに実現できるものではありません。現実的なアプローチとしては、段階的なシステム化を検討すべきです。

まず、現状の業務プロセスとExcel・Accessの使用状況を可視化し、属人化のリスクが高い領域を特定します。次に、優先度に応じて、標準化やシステム化の計画を立てていきます。

段階的なシステム化では、既存の操作感や機能を維持しながら、データベース連携やクラウド化などを進めることで、ユーザーの抵抗感を最小限に抑えることができます。例えば、dbSheetのようなツールを活用すれば、Excelの操作性をそのままに、データベース機能やネットワーク機能を追加することが可能です。

dbSheetは、既存のExcelやマクロをそのまま活かしながら、権限管理やログ記録、クラウド上での一元管理といった機能を追加できるため、「変えずに変える」段階的なシステム化に最適なシステムです。

関連リンク:Excel課題解決ソリューション by dbSheet

業務プロセスの標準化とドキュメント整備

属人化解消の基本は、業務プロセスの標準化とドキュメント整備です。個人の暗黙知となっている操作手順や処理ルールを「形式知」として文書化することで、知識の共有と継承が可能になります。

具体的には、以下のようなドキュメントを整備することが効果的です:

まず、業務フロー図で全体の流れを可視化します。次に、各Excel・Accessファイルの設計書(シート構成、テーブル定義、関数・マクロの説明など)を作成します。そして、定期的な操作手順書やFAQを整備し、共有フォルダやイントラネットで公開します。

これらのドキュメント整備は一度に完成させる必要はなく、日常業務の中で少しずつ充実させていくアプローチも有効です。例えば、問い合わせがあった操作や処理について、その都度FAQを追加していく方法などが考えられます。

クラウドサービスやノーコードツールの活用

近年は、専門的なプログラミング知識がなくても業務アプリケーションを構築できる「ノーコード」「ローコード」ツールや、様々なクラウドサービスが登場しています。これらを活用することで、属人化リスクを低減しながら業務効率化を図ることが可能です。

例えば、Excelの複雑な集計作業はBIツールに移行することで、データの可視化や分析が容易になります。また、Accessで構築した顧客管理システムは、クラウドサービスに置き換えることで、安定性とアクセシビリティが向上します。

さらに、Excel・Accessの自動処理部分は、連携ツールを活用することで、より安定的かつ透明性の高い形で実現できます。これらのツールは標準的な機能とインターフェースを持つため、特定の担当者に依存しにくい環境を構築できます。

属人化脱却のための組織文化と体制づくり

Excel・Access属人化の解消は、単なるツールの変更だけでは達成できません。組織文化や体制の変革も必要です。持続可能な業務環境を構築するための組織的アプローチを考えましょう。

知識共有を促進する組織文化の醸成

属人化を防ぐためには、知識やスキルを個人の資産ではなく組織の資産として捉える文化を醸成することが重要です。これにより、情報の共有や技術の継承が自然に行われる環境が生まれます。

定期的な勉強会やナレッジシェアの機会を設けることで、Excel・Accessの使用方法や便利な機能について組織内で共有することができます。また、「聞きやすい雰囲気づくり」も重要で、初心者が質問しやすい環境を整えることで、知識の偏在を防ぐことができます。

知識共有を評価する仕組みを導入することも効果的です。マニュアル作成や同僚への指導を評価項目に含めることで、属人化解消に向けた取り組みを促進できます。このような文化的アプローチは、システム変更よりも時間がかかる場合もありますが、長期的な解決策として非常に重要です。

複数担当制とローテーションの導入

特定の業務や処理を複数の担当者が扱える体制を構築することは、属人化リスクを直接的に低減する効果があります。具体的には、「複数担当制」や「業務ローテーション」の導入が考えられます。

複数担当制では、主担当と副担当を設けることで、知識やスキルの共有を図ります。主担当が不在の際には副担当が対応できるようにするとともに、日常的にも情報共有を行うことで、暗黙知の形式知化を促進します。

また、定期的な業務ローテーションを実施することで、特定の担当者だけが専門知識を持つ状況を防ぎます。これにより、組織全体のスキルレベルが向上するとともに、異なる視点からの業務改善も期待できます。

ITガバナンスとポリシーの確立

組織としてのITガバナンスやポリシーを確立することも、属人化防止に重要な役割を果たします。Excel・Accessの使用に関するルールや標準を定めることで、個人依存を減らし、持続可能な運用を実現できます。

例えば、「複雑なExcelマクロやAccessデータベースの作成時には設計書を作成する」「重要なファイルは共有フォルダで管理し、個人PCに保存しない」といったルールを設けることや、重要度の高いファイルを特定して管理する体制が有効です。

さらに、IT部門やデジタル推進部門が業務部門をサポートする体制を整えることで、専門的な知見が必要な場面でのバックアップが可能になります。このような横断的な支援体制は、属人化を防ぎつつ業務効率化を進める上で大きな力となります。

組織的アプローチ具体的な施策例期待される効果
知識共有文化の醸成定期勉強会、
ナレッジベース構築、
知識共有の評価
暗黙知の形式知化、
組織全体のスキル向上
複数担当制の導入主担当・副担当制、
定期的な業務報告会
知識の分散、
業務継続リスクの低減
業務ローテーション計画的な担当変更、
クロストレーニング
多能工化、
新たな視点による業務改善
ITガバナンス確立Excel・Accessの利用ポリシー、
重要ファイルの管理ルール
標準化の促進、
リスク管理の強化

まとめ

Excel・Accessの属人化は、多くの企業が直面している課題です。この記事では、属人化の実態とリスク、そして脱却するための具体的な方法について解説してきました。

属人化は、個人による独自最適化や「誰でも使える」という誤解、ドキュメント不足などが原因となって進行します。その結果、業務継続の困難化、非効率なメンテナンス、部門間連携の障壁といった深刻なリスクをもたらします。

これらの課題を解決するためには、技術的アプローチと、組織的アプローチの両面から取り組むことが重要です。

Excel・Accessからの脱却は一朝一夕には実現できませんが、計画的かつ段階的に進めることで、属人化のリスクを低減しながら業務効率化を図ることが可能です。まずは自組織の現状を客観的に評価し、優先度の高い領域から取り組みを始めてみてください。

参考文献
https://josysnavi.jp/2018/%e6%83%85%e3%82%b7%e3%82%b9%e8%b1%86%e7%9f%a5%e8%ad%98_%e5%b1%9e%e4%ba%ba%e5%8c%96%e3%82%92%e3%82%84%e3%82%81%e3%82%88%e3%81%86_180903

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