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【機械加工】図面記号の一覧。記号と意味・使用目的がひと目でわかる

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【機械加工】図面記号の一覧。記号と意味・使用目的がひと目でわかる

機械加工において図面は「ものづくりの設計図」として重要な役割を果たします。しかし、図面に記載された記号の意味を正確に理解していないと、加工品質の不具合や手戻りといった問題が発生する可能性があります。 本記事では、機械加工で使用される主要な図面記号とその意味・使用目的について、体系的に解説します。現場で即座に活用できる実践的な内容として、ぜひ参考にしてください。

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機械加工における図面記号の基本概念

機械加工の図面記号は、製品の形状・寸法・品質要求を正確に伝達するための標準化された表現方法です。これらの記号は国際的に統一されており、JIS(日本工業規格)やISO(国際標準化機構)規格によって厳格に定められています。

図面記号の役割と重要性

図面記号は設計者の意図を加工現場に正確に伝える共通言語として機能します。つまり、図面記号は、設計者と製造現場との間で情報を正確に伝達するための、重要なコミュニケーションツールとして機能しているのです。記号の理解不足による誤解は、製品の品質問題や納期遅延につながる重要な要因となります。

例えば、同じ部品でも製造方法や使用目的によって異なる記号を使うことがあり、正確な理解と適用が必要です。製造現場では、これらの記号に基づき、加工順序や仕上げ方法を決定し、現場で働く技術者が最適な作業を選択するための指針となります。

特に機械製図では、わずかな寸法誤差や表面粗さの違いが製品の性能に大きく影響するため、記号の正確な理解が不可欠です。

JIS規格とISO規格の関係

現在の機械製図では、JIS規格がISO規格に準拠する形で統一が図られています。これにより、国内外を問わず同じ記号体系が使用できるため、グローバルな製造業務においても混乱を避けることができます。例えば、日本国内ではJIS規格が優先されますが、海外市場への輸出を行う場合には、ISO規格が採用されることが一般的です。

このように、JIS規格とISO規格は製造業における標準化を推進し、国際的な取引や製造プロセスの効率化に貢献しています。加工図面の見方を習得する際は、これらの国際標準に基づいた記号体系を理解することが重要です。以下の表は、代表的な製図規格であるJIS規格・ISO規格・ANSI規格の違いを比較したものです。

規格種別適用範囲主な特徴
JIS規格日本国内標準ISO規格に準拠し国内製造業で広く使用
ISO規格国際標準世界共通の記号体系でグローバル対応
ANSI規格米国標準北米市場向け製品で使用される場合あり

基本線種と線の種類による表現

機械加工の図面では、異なる線種を使い分けることで部品の形状や加工要件を表現します。線種の正しい理解は、図面記号を読み解く基礎となる重要な要素です。

実線と破線の使い分け

実線は見える部分の輪郭を表し、破線(点線)は隠れた部分の形状を示します。破線・点線の使い方を正確に理解することで、部品の内部構造や加工箇所を正確に把握できます。特に穴加工や溝加工などの内部形状を理解する際に重要な役割を果たします。

中心線記号と引出線記号

中心線記号は円や円弧の中心を示し、回転加工において重要な基準となります。引出線記号は寸法や注記を部品の特定箇所に結びつける役割を持ちます。これらの記号により、加工基準点や測定基準を明確に示すことができます。

寸法線と寸法補助線

寸法線は測定すべき長さや角度を示し、寸法補助線は寸法の起点と終点を明確にします。機械加工では、これらの線種により加工精度の要求レベルを正確に伝達します。寸法線の配置方法により、加工順序や測定方法についても伝えることができるのです。寸法線や寸法補助線を含む、機械製図における代表的な線種の用途は、以下の通りです。

  • 実線:見える輪郭線や切断面の表示
  • 破線:隠れた部分の形状表示
  • 一点鎖線:中心線や対称線の表示
  • 二点鎖線:仮想線や参考線の表示
  • 細線:寸法線や寸法補助線の表示

寸法公差とはめあい公差の記号体系

寸法公差は製品の互換性と品質を保証するための重要な要素です。機械加工において、部品同士の組み合わせや機能を確保するため、寸法公差の正確な理解と適用が不可欠です。

基本寸法と公差の表示方法

基本寸法に対して許容される誤差の範囲を公差として表示します。寸法公差の記号は部品の機能と直接関連するため、加工精度の管理において最も重要な要素の一つです。一般的には「±」記号を用いた両側公差や、「+0.1/-0」のような片側公差として表現されます。

はめあい公差の基本概念

はめあい公差は、軸と穴の寸法関係を規定する公差体系です。「H7/g6」のような記号により、部品間の結合状態(すきまばめ、中間ばめ、しまりばめ)を指定します。この記号体系により、組み立て時の作業性や使用時の機能を適切に管理できます。

はめあい公差は、部品同士の組み合わせや機能を確保するために非常に重要です。例えば、軸と穴の関係で、すきまばめ(H7/g6)を選択する場合、軸は穴内で軽い摩擦で回転可能となり、ベアリングなどの回転部品に使われます。一方、しまりばめでは、圧入や焼きばめを行う際に部品が強固に結合するため、極めて高い精度と安定性が求められます。このように、はめあい公差は機能と製造コストをバランスよく設定するために使用されています。

IT等級と公差域クラス

IT等級は公差の大きさを示し、数値が小さいほど高精度を要求します。公差域クラスは公差の位置を示し、軸系では小文字、穴系では大文字で表現されます。これらの組み合わせにより、要求される加工精度と加工コストのバランスを適切に設定できます。

はめあい種類記号例用途・特徴
すきまばめH7/g6軸が穴の中で回転可能、ベアリング等
中間ばめH7/k6軽い力で組み立て可能、位置決め用
しまりばめH7/p6圧入・焼きばめ、強固な結合

幾何公差記号の種類と適用方法

幾何公差は部品の形状や位置の精度を規定する重要な要素です。従来の寸法公差だけでは表現できない複雑な形状要求や位置関係を、標準化された記号により明確に指定できます。

形状公差の基本記号

形状公差は部品単体の形状精度を規定します。直線度、平面度、円筒度、真円度などの記号により、加工面の品質要求を明確に示します。形状公差記号の正確な理解により、加工方法の選択や測定方法の決定が適切に行えます。

姿勢公差と位置公差

姿勢公差は基準面に対する角度や方向の精度を規定し、位置公差は基準点からの位置ずれの許容範囲を示します。平行度・直角度・位置度などの記号により、組み立て時の機能確保や部品間の位置関係を保証します。

基準面(データム)記号の活用

基準面記号は幾何公差の基準となる面や軸を指定します。「A」「B」「C」などの記号により基準の優先順位を示し、測定時の基準設定を明確にします。データムの設定により、加工順序や測定手順も決定されるため、製造工程全体に影響を与える重要な要素です。以下に、幾何公差の種類と代表的な記号を整理した一覧を示します。

  • 形状公差:直線度(─)、平面度(□)、真円度(○)、円筒度(○/○)
  • 姿勢公差:平行度(//)、直角度(⊥)、傾斜度(∠)
  • 位置公差:位置度(⊕)、同軸度(○)、対称度(≡)
  • 振れ公差:円振れ(↗)、全振れ(↗↗)

幾何公差は、特に部品同士が正確に組み合うことを保証するために必要不可欠です。例えば、直角度(⊥)記号は、部品の角度が正確に90度であることを保証するために使用されます。この公差が不適切に設定されていると、組立時に部品が正しく組み合わず、最終製品の性能に大きな影響を及ぼすことがあります。

また、同軸度(○)記号は、部品が一軸上に正確に配置されることを要求し、回転部品の機能や寿命を確保します。これらの幾何公差記号を正確に使用することで、製品の精度や機能が確実に維持され、組立時の問題を未然に防ぐことができます。

表面粗さ記号とRa値の表示方法

表面粗さは機械加工において製品の性能や品質を大きく左右する要素です。適切な表面粗さの指定により、摩擦特性、密封性、外観品質などの要求を満足する製品を製造できます。

Ra値による表面粗さの評価

Ra(算術平均粗さ)値表示法は、表面の凹凸を数値で表現する最も一般的な方法です。Ra値による表面粗さの指定は、加工方法の選択と直接関連するため、製造コストと品質のバランスを決定する重要な要素です。一般的には0.1μm~25μmの範囲で指定されます。

表面粗さ記号の記載方法

表面粗さ記号は「∇」や「Ra3.2」のような形で図面に記載されます。記号の位置や向きにより、どの面に対する要求かを明確に示します。また、加工方法の制限や測定方向の指定も併記される場合があります。

加工方法と表面粗さの関係

各加工方法により達成可能な表面粗さの範囲が異なります。旋削加工、フライス加工、研削加工などの特性を理解し、要求される表面粗さに適した加工方法を選択することが重要です。この知識により、製造工程の最適化と品質向上を同時に実現できます。以下の表は、代表的な加工方法ごとの一般的な表面粗さ(Ra値)範囲と、それぞれの適用例を示したものです。

加工方法一般的なRa値範囲適用例
旋削加工Ra1.6~Ra25一般的な外径・内径加工
フライス加工Ra3.2~Ra12.5平面加工・溝加工
研削加工Ra0.1~Ra1.6高精度仕上げ面

表面粗さは、製品の摩擦特性や密封性に直結するため、非常に重要です。例えば、鋳物などの金属製品では、表面粗さを適切に指定することで、摩耗や腐食を防ぎ、製品の耐久性を高めることができます。

また、密封性が求められる部品(例えばガスケットなど)では、より厳しい表面粗さが求められることが多いため、適切なRa値を指定することで、長期的に安定した性能を維持することが可能になります。表面粗さの指標を理解し、適切な加工方法を選択することが製品品質の向上に繋がります。

特殊記号(溶接・材料・熱処理・組立指示)

機械加工では、基本的な寸法や形状以外にも、溶接、材料、熱処理、組立に関する特殊な指示が必要になる場合があります。これらの記号により、製造工程全体を通じた品質管理と作業指示を的確に行えます。

溶接記号の基本構成

溶接記号は溶接方法、溶接サイズ、溶接長さなどを統一された記号で表現します。溶接記号の正確な理解により、溶接品質の確保と作業効率の向上を同時に実現できます。基線、矢印、溶接記号、補助記号の組み合わせにより、複雑な溶接要求も明確に指示できます。

材料符号と熱処理符号

材料符号は使用する材料の種類や特性を示し、熱処理符号は必要な熱処理条件を指定します。「S45C」のような材料記号や「HRC50-55」のような硬度指定により、製品の機械的性質を確保します。これらの記号により、材料選択から加工方法まで一貫した製造戦略を立てることができます。

組立指示符号と加工指示符号

組立指示符号は部品の組み立て順序や方法を示し、加工指示符号は特定の加工方法や注意事項を指定します。「この面を基準として加工」「組み立て後に仕上げ加工」などの指示により、製造工程全体の品質管理を行います。

ねじ記号の表示方法

ねじ記号は「M10×1.5」のような形でねじの種類、径、ピッチを表現します。ねじの精度等級や表面処理の指定も併記される場合があり、組み立て時の機能確保に重要な役割を果たします。機械製図においては、ねじ部品の互換性確保のため、標準化された記号体系の理解が不可欠です。以下は、機械製図で使用される記号体系の主な分類と例を示したものです。

  • 溶接記号:すみ肉溶接、突合せ溶接、プラグ溶接など
  • 材料符号:鋼材(S45C、SUS304など)、アルミ(A5052など)
  • 熱処理符号:焼き入れ、焼き戻し、焼きなまし
  • ねじ記号:メートルねじ(M)、管用ねじ(G)、インチねじ(W)

まとめ

機械加工における図面記号の理解は、製品品質の確保と製造効率の向上に直結する重要な技術要素です。JIS規格・ISO規格に基づいた標準化された記号体系により、設計者の意図を正確に現場に伝達し、品質問題や手戻りリスクを最小限に抑えることができます。

寸法公差・幾何公差・表面粗さ記号から、溶接・材料・熱処理記号まで、各記号の意味と使用目的を正確に理解することで、加工現場における判断力と作業効率が大幅に向上します。本記事で紹介した記号一覧を実務で活用し、継続的な技術向上にぜひ役立ててください。

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参考文献
https://masa-enjoylife.blog/%E6%A9%9F%E6%A2%B0%E5%8A%A0%E5%B7%A5%E3%81%A7%E4%BD%BF%E7%94%A8%E3%81%99%E3%82%8B%E5%9B%B3%E9%9D%A2%E3%81%AE%E8%A6%8B%E6%96%B9%E3%81%A8%E5%9B%B3%E9%9D%A2%E8%A8%98%E5%8F%B7%E3%82%92%E5%88%9D%E5%BF%83/

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