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デザインレビューとは?各工程前の効果的なチェック方法について解説

デザインレビューとは?各工程前の効果的なチェック方法について解説

デザインレビューとは、設計書や図面などの成果物を複数の参加者で評価し、製品開発プロセスの節目で次のステップへ進むべきかを判断する活動です。デザインレビューは開発プロジェクトに一貫性を持たせるために重要となります。今回はデザインレビューの基礎知識やメリット、実施タイミングや効果的な運用方法を解説します。

デザインレビュー

ものづくりにおける設計開発では、企画や製品設計、試作評価などのプロセスごとに中間目標地点(マイルストーン)がいくつか設けられます。

これらはひと続きの流れに見えますが、それぞれの実施内容や設計による成果物は異なります。

そのため、各プロセスの成果物を評価し、開発プロジェクトに一貫性を持たせる活動が重要です。

今回は、成果物を評価する活動である「デザインレビュー」について、基礎知識やメリット、実施タイミングや効果的な運用方法を解説します。

デザインレビューとは?

デザインレビューとは

デザインレビュー(DesignReview:DR)とは、設計書や図面などの成果物を複数の参加者で評価し、製品開発プロセスの節目で次のステップへ進むべきかを判断する活動です。

ものづくりにおいて重要な基準とされるJIS(日本工業規格)やISO(国際標準化機構)9000などでは「設計審査」として規定され、品質マネジメントにおいて重要とされます。

デザインの定義を整理

まず、デザイン(Design:設計)が具体的に何を指すのか整理しましょう。

一般的に製品開発のプロセスは次の順序で構成されます。

  1. 企画
  2. 基本設計
  3. 試作・評価
  4. 詳細設計
  5. 量産試作・評価
  6. 量産

各工程の整合性をとりつつ適切にプロセスを進めるためには、「次の工程で何をつくるのが」「どのような計画で何をすべきか」といった決定が必要です。

なぜなら、次の工程への情報連携がなければプロジェクトが混乱するからです。企画要件が決まっていなければ基本設計はできませんし、生産量やスケジュールなどを決める生産計画がなければ量産に入れません。

そこで開発プロジェクトに一貫性を持たせるため、決定内容を開発プロジェクト内の資料に落とし込み、共有できる情報とします。

こうした製品開発プロセスの工程同士を接続する重要な成果物全般を、「デザイン(設計)」として扱います。

2種類のデザインレビューを使い分ける

デザインレビューの種類

デザインレビューは、目的と規模の違いによって2種類にわけることができます。

開発プロジェクト内でうまく使いわけるためにも、それぞれの内容について知っておきましょう。

フォーマルデザインレビュー(FDR)

フォーマルデザインレビューとは、レビューを実施するプロセスに関係する他部門の人間や専門家を集め、問題点の洗い出しと対策可否の検討を行うための会議です。

組織全体のノウハウを活用することで、開発者の視点では漏れてしまいがちな内容を精査できます。

レビューによるフィードバックと再レビューのサイクルを繰り返し、最終的に次のプロセスへ移行してもよいか審査することになります。

インフォーマルデザインレビュー(IDR)

インフォーマルデザインレビューとは、フォーマルデザインレビューの前に内部で実施する非公式の会議です。

基本的に専門家は招集せず、特定のチームや部内の少人数で技術的な観点について検討を行います。

開発計画上実施する義務はありませんが、資料の表記上の問題や設計誤りなど、開発者視点で洗い出せる問題点を早期に発見・対応できる機会です。

インフォーマルデザインレビュー実施しておけば、フォーマルデザインレビューをスムーズに進めやすくなります。

デザインレビューのメリットはQCDの確保

デザインレビューのメリット

デザインレビューのメリットは、「QCD」を確保できる点に集約されます。

QCDとは、顧客満足度を高めるために生産管理で重視すべき次の3要素です。

  • Q(Quality):品質
  • C(Cost):コスト
  • D(Delivery):納期

一般的に製品の品質の高さは、機能・性能・法令などの要求事項を満たし、信頼性・安全性などに問題がない状態を指します。

デザインレビューでは品質に関するあらゆる観点を検計の対象とし、かつ営業・企画・購買・製造などの関係者がさまきまな視点でそれを検討します。

したがって、製造部門であれば「製告のしやすさ」、営業部門であれば「顧客への訴求のしやすさ」といった検討が可能になり、多角的な視点で品質を高めることが可能です。

コストや納期についても品質と同様にレビューで検討するため、適切で実現性のある内容決定がしやすくなるでしょう。

また、レビューによって後続での手戻りを防止できれば、コストの削減や納時の短縮につながります。

関連記事:生産管理の「QCD」とは?プロセス改善で向上する企業の提供価値

デザインレビューの主な実施タイミング

デザインレビューのタイミング

デザインレビューを実施すべき主なタイミングや、各プロセスでのレビュー目的・成果物の例についてご紹介します。

企画

企画プロセスでは、具体的な設計・開発に入る前にマーケティング技術、法令などの観点から、商品のコンセプトや市場投入時期などを決定します。

ものづくりのプロセスにおける最初のデザインとなるため、開発計画や要求仕様を確実に決定できるようレビューを行いましょう。

    【成果物の例】
  • 商品企画書
  • 品質表(品質機能展開表)
  • 開発計画書
  • 競合比較表

関連記事:品質機能展開(QFD)は顧客ニーズをとらえた製品開発に必要な手法

製品設計

製品設計プロセスでは、企画要件をもとにした基本設針と、基本設計をもとにした詳細設計を実施します。

企画したコンセプトを現実化するプロセスとなるため、設計仕様が企画要件と合っているか、製品が社内規格およびJIS・ISOなどの標準規格を満たしているか、といった観点でレビューを行いましょう。

    【成果物の例】
  • 基本設計書
  • 詳細設計書
  • 設計図面
  • FMEA表などのリスク対応設計書類

    試作評価

    試作評価プロセスでは、試作の制作やテストを実施し、机上の設計では見えない実機ならではの部分を評価することになります。試作やテストで問題点が発生した場合の原因と対策の検討も重要です。

    テストパターンを想定通りに網羅できるか、操作性や安全性に問題はないか、量産時に目標コストを達成できるか、といった観点でレビューを行いましょう。

      【成果物の例】
    • 試作実機の本体
    • テスト実施による試作課題管理表
    • 設計検証報告書
    • 妥当性確認報告書

    生産移行

    生産移行プロセスでは、生産工程の計画と量産試作を経て、最終的に生産へ移行するための準備を実施します。

    工程能力や製造原価などが要求事項を満足するか、工程設計仕様が製品図面からの要求を満足しているか、設備・治工具・作業標準・検査基準などに問題がないか、といった観点でレビューを行いましょう。

      【成果物の例】
    • 量産試作実機
    • QC工程表
    • 検査規格書
    • 妥当性確認報告書

    デザインレビューを効果的に取り入れるためのポイント

    デザインレビューのポイント

    デザインレビューそのものは有用ですが、使いこなしてはじめて意味があります。

    そこで、組織内でデザインレビューを効果的・効率的に運用する方法を知っておきましょう。

    まず、デザインレビューの運用上発生しやすい課題について、次のような例が考えられます。

    • 資料の完成度が低く、フィードバック回数が無駄に多い
    • 資料の内容が難しく、レビュアーがレビュー時間中に理解しきれない
    • レビュー参加者のスケジュールがなかなか合わない
    • レビュアーの指滴をすべて記録しておらず、フィードバック対応に漏れが生じる
    • 製品や担当者によってルールが異なり、スムーズに会議が進まない

    続いて、これら課題を解決するためのポイントを以下に挙げます。

      【レビュー対象の資料の完成度を高める】
    • フォーマルデザインレビューの前に必ずインフォーマルデザインレビューを実施する
    • インフォーマルデザインレビューの前に開発者が参照できるチェックリストを作成する
      【レビューの精度を高める】
    • 事前にレビューで使用する資料を参加者に配布する
    • 指摘事項を記録しやすいように進行ルールと書記係を決める
      【レビュー参加者のスケジュールを合わせる】
    • ホワイトボードやアプリを用いてプロジェクトメンバーの予定を管理する
    • 日程に余裕を持って参加者へレビュー参加を打診する
      【レビューのルールを標準化する】
    • ワークフローについて全社標準ルールを作成し、周知する

    レビューの実施方法と同等以上に、レビューを実施するまでの段取りが重要です。

    実施する目的を理解して効果的に製品開発に取り込もう

    デザインレビューは、生産工程にいたるまでの製品開発の各プロセスに必要な検証作業です。

    組織全体のノウハウを活用し、成果物を複数人の目でチェックすることで、開発プロジェクトに一貫性を持たせることができます。

    注意すべきは、プロセスごとに実施する開発内容は異なり、レビューを実施するうえでの目的・観点も異なる点です。

    その都度何をレビューすればQCDを確保できるか、そしてどうすれば効果的にレビューの仕組みを運用できるかを考えましょう。

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