大手製造業A社 設備管理部門 点検業務
工場の生産設備は、それなしでは生産が成り立たない「工場のライフライン」ともいえるものです。このため、A社では、生産設備の安定稼働を保障する設備点検業務は、ミスが許されない重要な業務として経験を積んだ熟練者が担ってきました。
その一方、人手不足や働き方改革などの労働環境の変化を受け、A社でも業務の効率化や属人性の解消が課題となっており、設備管理業務についても、従来の業務のあり方を見直すことが求められていました。
課題
人手作業が占める割合の大きい点検業務は、業務効率化と人手不足への対応が強く求められており、以下のような課題に取り組む必要がありました。
- 紙に依存した業務の効率化
設備管理の現場では、作業の手を止めて紙に記入し、事務所で移動してからExcelに転記するという、「二度手間」と「移動時間」の二つムダが常態化していました。 - 人的ミスの削減
点検漏れ、メーター類の読み誤り、正常異常の判定誤り、紙への記入誤り/記入漏れ、Excelへの転記ミス/記入漏れなどのミスが日常的に発生していました。確認作業のやり直しなどの対応により重大な事故には至っていませんでしたが、ヒヤリハット的なミスへの対応に大きな時間と労力・心理的負担を生んでいました。 - 熟練者の高齢化と技術継承
熟練技術者の高齢化・退職が本格化する中、若手の技術者を早期に戦力化する必要性が高まっていました。また、熟練者など作業者の高齢化とともに、目の疲労や体力的な負担をうったえる人も増え、業務負担の改善が求められていました。
制約
こうした課題は広く社内で認識されていたものの、以下のような業務特性からデジタル技術による代替が困難であり、手付かずの状態となっていました。
- 新しい設備や古い設備に、デジタル/アナログなど多種多様なメーターが混在していた
- 狭いところや高所など、新たに機器を設置することが困難であった
- 正常/異常の判断について、様々な要素を考慮に入れた判断が必要だった
解決策
A社の設備管理担当部門のMさんは、近年のAIの高度化の流れを受け、AI画像認識技術に注目していました。数あるソリューションの中から、Mさんは、PROTRUDEの提供する「AI画像認識ソリューション」に着目し、その中核技術である「SOLOMON META-aivi」が、同社の抱える課題と制約に対する解決策となる、と考えるに至りました。
期待した特長
Mさんは、PROTRUDEの「AI画像認識ソリューション」について調べる中で、以下のような特長に着目していました。
- デジタル/アナログの両方のメーター読み取りに対応
- 専用機器を設置することなく、スマホやWebカメラでAI画像認識が利用できる
- カメラで映すだけで瞬時に分かりやすく判定結果が表示される
これらは、他社の技術にはないポイントでありましたが、その一方で「AIは高価で難解」といった先入観や、「精度は出るのか?」「複雑な判断はできるのか?」「クラウドでの利用になってしまうのか?」といった懸念が払拭できなかったため、PROTRUDEの担当者に詳しく話を聞いてみようということになったようです。
選んだ理由
Mさんが、PROTRUDEの担当者と打ち合わせを行ったところ、期待していた特長に加えて、以下のようなメリットがあることが分かりました。
- システム連携により、複数条件を組み合わせた正常/異常判定にも対応可能
- 非クラウドで、オンプレミスの閉じた環境で構築できる
- 買い切りのためラニングコストがかからず、導入規模の拡大も容易
- メーター読み取り以外に、不良品判定や数量カウントなど他の業務での活用も可能
こうしたメリットは他社技術では認められなかったものであり、Mさんの部門の人員構成・予算規模でも十分に導入・運用できるとの確信を得られたため、PROTRUDEに決める決定打となりました。
また、必要な精度を確保するための学習用データの準備や、蓄積したデータの利活用に関する包括的な支援など、精度検証や導入後・実運用を見据えた手厚いサービスメニューの存在も、他社にはないメリットだったとのことです。
導入開始とその効果
他社のAI画像認識技術との比較検討やPoC(概念実証)を経て、A社はPROTRUDEの「AI画像認識ソリューション」の導入に向け動き出しました。
効果
すべての課題の解消に向けては未だその道半ばではあるものの、既に次のような効果を生んでいます。
- 多種多様なメーターの正確な読み取り(人的ミス削減)
- 読み取り結果をその場でデータ化(記録・転記や移動の手間を削減)
- データ連携で、熟練工並みの正常/異常の判断(属人性解消/人的ミス削減)
- 人手作業の所要時間25%削減(業務効率化)
- 正常/異常判断のリアルタイム化で対応も迅速に(ダウンタイム削減)
また、現場の作業員からも「目が疲れない」「事務所との往復が減った」「無駄な作業が減った」と好評で、また、「最新技術の活用を通して、熟練社員と若手社員の会話が増えた」という声も上がっています。
今後
A社の設備管理の効率化への取り組みは、人的作業のデジタル変革への「第一歩」として大きく評価されています。
今後は、他の業務プロセスへの「ヨコ展開」や、蓄積されたデータの利活用など高度な活用への「タテ展開」など第二歩、第三歩へとデジタル変革への歩みを一歩一歩着実に進めて行くことが期待されています。
本記事では、設備管理業務でのAI画像認識活用についての事例をご紹介させていただきましたが、PROTRUDEでは、それ以外の領域、あらゆる業種あらゆる業務において、お客様の課題や制約条件にあわせて、最適な「デジタル変革の第一歩」をご提案・ご提供する用意がございます。
デジタル変革の第一歩を踏み出したいけど踏み出せないでいる、そんな方は、ぜひ一度、PROTRUDEにお声がけください。