広がるアート、イベントシーンでのxR活用
「AR・VR・MR」といったxRは、私たちにとって身近なアプリゲームなどの事例にとどまらず、ビジネスや医療など実用的な分野で活用されるようになりました。特に近年は、アートや音楽、スポーツイベントなどの娯楽分野で積極的にもちいられており、xRは身近な存在になっています。
アート・イベントシーンで、どのようにxRが活用されているのか、次の3つの事例でご紹介します。
- アートシーンでのxR活用
- 音楽・スポーツイベントでのxR活用
- ライフイベントでのxR活用
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1.アートシーンでのxR活用
美術館や博物館などのアートシーンでxRの活用が広がっています。美術館、博物館、科学館でxRを活用すると、普段は近づけない展示物が間近で見られたり、普通は見ることができないアングルからの鑑賞ができるのが大きなメリットです。
では、アートシーンにおけるxR活用事例をみていきましょう。
・有楽町 Wall Art Gallery
有楽町にあるフードマーケット「micro FOOD & IDEA MARKET」。こちらの施設マーケットの外壁を利用して、AR技術を活用したオンラインアートギャラリーが2020年6月5日から開催されています。外壁に設置された大きなポスターのQRコードを、スマートフォンのカメラでスキャンする仕組みです。
カメラをかざすとブラウザ上で各アーティストのアート作品を鑑賞できます。24時間無料で利用でき、展示作品は約1ヵ月ごとに更新されるので、なかなか美術館まで足を運べない方でも気軽にアートを楽しめます。
・ルーヴル美術館(VR美術展)
フランスのルーヴル美術館では、2019年11月から2020年2月に開催された「Mona Lisa: Beyond the Glass」という企画においてVRが活用されました。普段は大勢の人々や保護ガラスで間近に鑑賞できない「モナ・リザ」。
VRデバイスを装着することにより、1人でゆったりと鑑賞しているかのようなバーチャル体験が可能になります。本来なら、なかなか見ることができない油彩画の細部や修復した痕跡まで、鮮やかに見られるのが魅力です。
さらに、作品がどのように創作されたのか、光や湿気にさらされた500年の間、どう管理されてきたのか、などをドキュメンタリー形式で紹介しています。作品に関するストーリーとともに名画鑑賞できるVR美術展は、「モナ・リザ」他、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品をより身近に感じられるアートイベントです。
・国立科学博物館(おうちで体験!かはくVR)
恐竜や地球生命史など、楽しく科学に触れられる国立科学博物館。
現地の楽しさをそのまま自宅で味わえるのが「かはくVR」の魅力です。展示室全体を高画質で撮影することにより、臨場感ある3DビューとVR映像を提供しています。
3Dビューはスマートフォンやパソコンで手軽に鑑賞でき、VR専用ゴーグルがあればVR映像が楽しめます。まるで本当に博物館にいるかのように館内を周遊できるコンテンツです。
2.音楽・スポーツイベントでのxR活用
xRは音楽やスポーツなどのイベントシーンでも、活用が広がっています。xRの導入により、アーティストや選手のパフォーマンスや、会場にいるかのような一体感、臨場感をどこでも楽しむことができるようになりました。
では、音楽イベント、スポーツイベントのxR活用事例をご紹介します。
・キッザニア「プレミアムズコンサート オンライン」
キッザニア東京では、2020年7月25日(土)・26日(日)に実施した初のオンラインコンサート「プレミアムズコンサートオンライン」の一部をVR技術を使ったアプリで配信しました。
ユーザーは、「新音楽視聴体験 音のVR」というアプリを利用することで、オーケストラの演奏や歌、パフォーマンスをその場にいるかのように楽しめます。
気になった演奏者やボーカルをアプリ上でタップすると、映像が拡大し、音色にも近づくことができます。その秘密は、360度カメラとマイク、さらに楽器やボーカルごとに収録した音源にあります。
会場の雰囲気をそのままに、場所を選ばずイベントを楽しむことができます。
・SPACE SHOWER TV『SPACE SHOWER SWEET LOVE SHARE supported by au 5G LIVE』
「SWEET LOVE SHOWER」が開催した初のオンラインイベント「SPACE SHOWER SWEET LOVE SHARE supported by au 5G LIVE」では、AR映像を駆使したライブ演出が行われました。
ライブやトーク映像を3チャンネル生配信し、ライブの参加者は、ブラウザ上で自由にチャンネルを切り替え、本物の音楽祭のように視聴したいライブへ移動できます。
WATER FRONT ch.では、ARを用いて「SWEET LOVE SHOWER」の実際のステージを彷彿とさせる装飾を再現し、視聴者をひきつけました。また、各チャンネルにはチャット機能が備わっており、視聴者同士で感動を共有できるイベントに。
まさにオンライン時代における音楽イベントの先駆けといえるでしょう。
SPACE SHOWER SWEET LOVE SHARE supported by au 5G LIVE
・横浜DeNAベイスターズ(バーチャルハマスタ)
自宅にいながらまるで球場にいるような臨場感を味わうことができる「バーチャルハマスタ」。仮想空間上に構築された横浜スタジアムへ、アバターを使ったユーザーが来場し、野球観戦を楽しみ、選手を応援することができます。
スマートフォンやVRデバイスから参加したユーザーは、自由に球場内を周遊できます。試合観戦はもちろん、球団OBやゲストによる生解説など、限定企画を自宅にいながら楽しめるのもメリット。ファン同士でコミュニケーションが取れるので、これまでスタジアム内でしか味わうことが出来なかった一体感ある応援が自宅で実現します。
3.ライフイベントでのxR活用
最後にご紹介するのが、ライフイベントでのxR活用です。
ここからは、ブライダル業界におけるxRの活用事例をみていきましょう。
・BG BRIDALGALLERY(ウェディングバーチャルツアー)
会場を訪れることなく、スマートフォンで、チャペルや披露宴会場を見学できる「BG BRIDALGALLERY」。このウェディングバーチャルツアーを利用すると、高画質の映像で施設を360度見回せます。ユーザーは、スマートフォンやタブレットから見学したい式場を選び、見たいエリアをタップするだけで会場内を見学することができます。
オンラインでいつでも自由に見学ができるので、時間を気にせず内装の細かな部分までじっくりと確認できるのが魅力です。また、オート再生も可能で、操作することもなく結婚式場見学が行えます。
BG BRIDALGALLERY(ウェディングバーチャルツアー)
まとめ
今回ご紹介したアートやイベントのxR活用は、場所を選ばず臨場感ある体験ができるとあって利用者のニーズが高まっています。
遠方だったり、多忙で時間を取れなかったりと、場所や時間にしばられず現場の雰囲気を味わうことができるのは大きなメリットです。
さらに、これまで見ることが出来なかったアングルや細部にわたって視聴ができるなど、xRならではのサービスやコンテンツでさらに深い世界観をつくり出しています。
日々技術が進歩し、ビジネスシーンだけでなく多様な可能性を秘めているxRは、今後もさまざまなシーンで私たちに新しい体験を提供してくれるでしょう。