過去2回にわたり、ビジネス現場でのAI活用について事例を交えてご紹介してきました。
関連記事:広がるAI活用。ビジネスパーソンが自らAIを構築・活用する時代へ
関連記事:AI民主化によるビジネス活用事例6選とAI活用の成否を決めるポイントとは?
今回の記事では、AI活用の「実践編」として、数値系のビジネスデータ活用を題材に、
「Excelデータ」と「AI予測プラットフォーム」を用いて独自のAIを構築する方法をご紹介します。
「AIって難しそう」「使いこなせるイメージがわかない」「AI予測プラットフォームなんて使ったことない…」といった方にも、おすすめの内容となっていますので、ぜひご一読ください。
AI構築・活用の進め方
【Step.0】AI活用の第ー歩は「とにかくデータをかき集める」
先の記事で以下のようなAIの特徴をご紹介しました。
AIは、過去の蓄積したデータをもとに予測モデルを構築し、未来を予測します。このため、AIは、過去も未来も繰り返される事象の予測が得意です。また、データの種類や量が多い業務・用途ではAIの予測精度が高くなります。
…
AIのもう一つの特徴として、「パターンや分類の発見が得意である」という点が挙げられます。人間には認識できないような、さまざまな要素がからみあう複雑な事象であっても、AIはその中から「隠れた規則性」を発見することができます。
こうした特徴から導かれる「最初の一手」は、シンプルに「とにかくデータをかき集める」ことにつきます。
たとえば、自動車部品の需要予測であれば、その部品の販売実績推移や、その部品が使われている自動車の販売台数の推移などのデータがあるとよいでしょう。
また、アイスクリームや電気・ガスなど天候に左右されるものであれば、気温・湿度などの天候データなども有効なデータとなります。輸出入が絡む場合は為替のデータも関係する可能性もあるでしょう。
これまでの皆さんのビジネス経験から「関係している」「関係しているかもしれない」と思われるデータを、広く洗い出してみましょう。また、先輩社員や関係者にも案を募るなどするのもよいでしょう。
繰り返しになりますが、ここで重要なポイントは「絞りすぎない」「難しく考えすぎない」ことです。
【Step. 1】Excel上にデータを集約して、学習データをつくる
洗い出したデータは、Excelのファイルになっていることもあれば、アプリやクラウドサービス、データベースなどに格納されている場合もあるでしょう。また、Webページへの記載からデータを拾ってくるということもあるかもしれません。
CSVやExcelへのエクスポートやコピペ、手入力など、ローテクで地道な手作業になる場合もあるかもしれませんが、ここも難しく考えず、「集められるものだけを集める」という考えで望むのも重要な点になります。
なお、「AI予測プラットフォーム」自体やそれと連携するシステムを活用することで、データ収集の自動化・省力化が可能です。AIの構築・活用による売上や利益への貢献が目論めるようになった段階、つまり本格運用の際に、自動化・省力化を検討するのがよいでしょう。
【Step. 2】AI予測モデルを構築
学習データが集まったら、AIの構築に取り掛かります。学習データを記録したExcelファイルを「AI予測プラットフォーム」に読み込ませて、予測モデルの構築を「実行」すれば、あとは、AIにおまかせ。少し時間がかかる場合もありますが、お茶でもしながら少し待っていれば実行完了、予測モデルが完成となります。
【Step. 3】フィードバック
予測モデルが構築できたら、予測精度をチェックします。このチェックは、いわば、予測モデルの「答え合わせ」といえるでしょう。学習データと同じように収集した過去のデータに、予測モデルを適用して、予測結果と実際の結果を突き合わせて、正しい結果が得られているかをチェックします。このチェック結果を見ながら、元の学習データを調整し、再度予測モデルを構築しなおすことで、AIへのフィードバックを行えます。
AIが予測を行う際には、単に結果を返すだけではなく、その結果に影響を与えたデータがその影響度ともにリストアップされて示されることが一般的です。「答え合わせ」によって、予測が外れたパターンがある事例が見つかった場合は、事例に影響を与えているデータを除外するなどの調整を行うことで、学習データを改良し、AIの精度を高められます。なお、データ量が少ない場合は、データを増やすことで精度が高まる場合もあるでしょう。
こうした学習データの見直しと予測モデルの構築・フィードバックを繰り返すことで、AIの予測精度は高まり、また同時に、予測に本当に必要なデータ項目が絞られ、学習データの収集とAIの構築・活用が徐々に(そして、ある段階から劇的に)効率的なものになっていきます。
AI活用の成否を決めるポイントとは
AIの構築の流れをご理解いただいたところで、次にAI活用をするうえで、成否を決めるポイントを整理してみましょう。
できるだけたくさんの学習用データを集める
先ほども述べたことの繰り返しとなりますが、AIはデータが多ければ多いほど、より正確に予測を行えます。そのため、関連するデータをできるだけ多く集め、学習データとすることでAIの予測精度を高くすることが可能です。
処理性能の高いAI予測プラットフォームを採用する
一般的に、処理対象となるデータが増えると、AIの構築にかかる時間が大きくなります。つまり、精度を上げるためにデータの量を増やせば増やすほど、AIの構築や活用に時間がかかってしまうという問題があるのです。
たとえば、日々刻々と変化する需要の予測を行うAIの構築・活用に、丸2日もかかってしまうとすると、そのAIを活用するメリットがなくなってしまいます。そのため、学習データの量や構築の頻度に見合った処理性能を持つAI予測プラットフォームの選定・採用が重要で、AI活用の成否のカギを握ると言ってもよいでしょう。
フィードバックが容易なAI予測プラットフォームを採用する
フィードバックを繰り返しながら精度を上げていくAIにおいて、フィードバックの質とスピードは、AIの予測性能に直結するともいえます。
予測結果に影響を与えているデータとその影響度が視覚的に分かりやすく表現されるシステムや、学習データの調整が容易なシステムは、フィードバックを迅速かつ的確に実施でき、結果として、高い予測性能を持つAIを構築できます。
データ化・蓄積・共有の自動化・効率化
学習データの量とフィードバックの継続的に行うためには、最新の学習データをできるだけ大量かつ迅速に収集できる仕掛けが必要となることがおわかりいただけるでしょう。書面などアナログ情報としてしか存在しない情報のデジタル化と蓄積、各種システムに散在するデータの横断的共有など、学習データを幅広く迅速に収集活用できる環境が整うことで、AIによる予測精度を高められ、様々な学習データに基づく多種多様なAI予測モデルを広範な業務領域で構築・活用できるようになります。
Excel & AI予測プラットフォーム を活用して業務の生産性を高めよう
AI予測プラットフォームの登場により、ビジネスパーソン自らが独自のAIを構築・活用できる環境が整いつつあります。従来ではデータ・サイエンティストやAIエンジニアと呼ばれるような一部の専門家しか行えなかったようなAI予測を、一般的なビジネスパーソンが、Excelと同じような感覚でAIを使いこなす、まさに「AIの民主化」ともいえる時代が訪れようとしています。
今こうして記事を読んでいただいている間にも、さまざまな業種・職種のビジネスパーソンが自らの業務パフォーマンスの向上に取り組み始めています。ビジネスでのAI活用はいわば必然となり、「実施する/しない」ではなく、「いつから始めるか」「何から始めるか」に焦点が移っているといえるでしょう。
弊社アウトソーシングテクノロジーでは、「AI活用プラットフォーム」を始め、デジタル技術活用による生産性向上についてのさまざまな技術支援策を幅広くご用意しています。AI活用・DX推進をご検討の際には、ぜひともお声がけいただけますと幸いです。