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RFP(提案依頼書)を作成して産業用ロボットの導入をスムーズに

RFP(提案依頼書)を作成して産業用ロボットの導入をスムーズに

産業用ロボット導入を検討する担当者にとって、ロボットSIerへの依頼はイメージが湧きづらいものです。ロボットSIerへ依頼する際には「RFP」という文書を作成すると提案がスムーズになります。今回はRFPの必要性や作成するメリット、作成時の手順と押さえておくべきポイントについてご紹介します。

製造現場の課題解決に注目が集まる産業用ロボット。しかし、産業用ロボット導入をはじめて検討する担当者にとって、実際にどのようにロボットシステムの開発・構築をロボットSIer(システムインテグレータ)に依頼すればよいのかイメージが湧きづらいものです。

産業用ロボットのシステム開発はロボットSIerに依頼しますが、その際に「RFP」という文書を作成すると提案がスムーズになります。

今回はRFPの必要性や作成するメリット、作成時の手順と押さえておくべきポイントについてご紹介します。

RFPとは最適な提案を受けるための文書

RFPとは、ベンダーに開発を依頼する際に用いる提案書です。「Request For Proposal」の略称で日本語では「提案依頼書」と呼ばれます。

経済産業省・中部経済産業局と名古屋工業大学・産学官連携センターが公開している「産業用ロボット導入ガイドライン」によると、RFPについて以下のように定義されています。

●提案依頼書(RFP:Request For Proposal)は、ロボットシステムなどの導入や業務委託を行うにあたり、発注先候補の会社に具体的な提案を依頼する文書です。 提案を受けることが目的であり、ロボットシステム開発等の仕様書ではありません。

●発注先候補から提出された提案書を評価し、発注先選定に役立てます。

引用: 『産業用ロボット導入ガイドライン』経済産業省 中部経済産業局

従来は外部のベンダーにシステム開発を依頼する場合、簡単な資料や口頭による説明で依頼を行う企業が多くありました。依頼する企業はその依頼を受けてベンダーが考えた提案や見積もりを比較・検討し、開発ベンダーを決定していたのです。しかし、この方法は条件の伝達漏れや認識の違いにより、企業とベンダーとのトラブルが発生する原因となることも多くありました。そこで、自社の企画、計画内容を齟齬なく伝え、ベンダーから最適な提案を受けるために考えられた文書がRFPです。

RFPはIT業界をはじめとした他業種でも広く活用されていますが、産業用ロボットの導入においても、ロボットシステムの構築をロボットSIerに依頼する際に作成すると、システム開発がスムーズになります。

産業用ロボットの導入にRFPを用いるメリット

ベンダーとのトラブル回避以外にも、産業用ロボットの導入にRFPを作成するメリットがあります。

メリット1.ベンダーの提案レベルの向上

要件が不明確な場合、ベンダー側も具体的な提案を行えません。具体的な提案がされた場合であっても、企業側が期待したものとは異なる可能性が高くなります。RFPを作成することで、テキストベースで要件をまとめられるため、提案の内容に齟齬が生まれにくくなるのです。

メリット2.ベンダーの評価が容易になる

RFPがない場合、ベンダーによって提案の形式や内容が異なるため、複数のベンダーに依頼すると比較が困難になります。RFPは依頼する企業側がベンダーに記入してもらいたい項目やフォーマットを決めるため、企業ごとの比較が容易になるのです。

メリット3.経営層や社内の関係部門の合意が得やすくなる

ロボット本体やロボットシステム導入などには数百から数千万単位の費用がかかるため、産業用ロボットの導入は簡単にできるものではありません。また、現場の作業員がロボットを扱えるようにするために教育コストも必要です。したがって、産業用ロボットの費用対効果を検討する経営層や他部門のマネージャー層に対しての説得が必要になります。その際に、RFPを確認してもらうことで、RFPを作成することで、導入の目的や費用などの全体像が明確化されるため、経営層や関係部門の合意を得やすくなります。

RFP作成時の手順と押さえておきたいポイント

RFPを作成する際にはどのような手順を踏めばよいのでしょうか。また、記載する項目はどれほどあるのでしょうか。ここではRFP作成時の3つの手順と記載する項目を解説します。

手順1.産業用ロボット導入に向けた目的設定

まずは産業用ロボットの導入イメージを掴むことからはじめます。なぜ産業用ロボットを導入するのか、経営課題に対応した目的を明確にしましょう。具体的に誰が実行するのか、実務担当者を選任する必要もあります。

手順2.各種要件の検討

手順1で選任された実務担当者を中心に、導入費用の試算や社内体制、導入レイアウト図などの要件を検討します。導入を依頼するベンダーの候補も選定しましょう。

手順3.RFPの作成、ロボットSIer等への提示

これまでの手順を経てRFPの作成に取り掛かります。作成したRFPは社内承認を得た後、候補となるベンダーへRFPを提示して提案を依頼します。

RFPに記載するべき事項

それでは、RFPを作成する際にはどのような事項を記載すればよいのでしょうか。具体的な項目をご紹介します。

まずは依頼元としてベンダーに伝えるべき要件を記載します。必要な項目は以下です。

依頼する企業が書くべき項目 記載例
目的 産業用ロボットを導入し、ひとつのラインで複数の製品を加工から検査まで行いたい。
期待される効果 これまで一日に100個しか加工できなかったが、120個の加工を見込み、検査まで行う。
予算規模 3,000万
スケジュール 提案書提出期限:9月1日〜9月10日

発注企業の決定:9月末

設計・開発開始:10月~

稼働開始時期:4月
検討結果 上述の手順2で検討した導入レイアウト図や社内体制、制約条件などを記載。

明確な情報を提供することでベンダー側も具体的な提案ができるため、記載できる限り詳細に記載しましょう。続いて、発注する候補となる企業に提案してほしい項目を記載します。

提案を求める項目の記載例

  1. 工程
  2. システムの構成や仕様等
  3. メンテナンス内容や方法等
  4. 保証の期間や内容等
  5. 教育や研修の内容と方法
  6. 安全対策、法的基準との整合
  7. 発注する企業の開発実行体制
  8. 依頼する企業の社内体制
  9. 開発にあたる上のスケジュール
  10. 概算見積もり

この項目をもとに発注する候補となる企業は提案書を作成します。提案を求める項目を依頼する企業で設定しておくことで、候補となる企業の比較が容易になるのです。

RFPを作成して産業用ロボットの導入を円滑に

産業用ロボットを円滑に導入するには、入念な準備が必要です。RFPを作成すれば、ロボットSIerから自社の依頼に沿った提案を受けられる可能性が高くなります。ロボットを導入している途中でトラブルが発生するという事態を避けるためにもRFPは不可欠です。ロボットSIerに依頼した後のプロセスについては以下の記事を参考にしてください。

ロボットシステムインテグレータとは?導入プロセスや補助金を紹介

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