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動粘度とは?粘度との違い、計算方法と流体設計での活用ポイントを詳しく解説

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動粘度とは?粘度との違い、計算方法と流体設計での活用ポイントを詳しく解説

流体を扱う設計や解析の現場で、「動粘度」という言葉を目にしたことはありませんか。動粘度は流体の流れやすさを表す重要な物性値ですが、「粘度」との違いや具体的な計算方法、実務での使い方については意外と混乱しがちです。本記事では、動粘度の定義から粘度との違い、計算式や単位、さらにレイノルズ数をはじめとする流体設計での活用ポイントまでを解説します。流体力学や機械設計、化学工学などの分野で流体を扱う技術者や研究者の方にとって、実務で迷わず動粘度を使いこなすための知識が身につく内容となっています。

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動粘度とは何か?基本的な定義と意味

動粘度は、流体そのものの動きにくさを表すものです。流体力学や熱流体解析、配管設計などの現場では、流体の流動特性を正確に把握するために欠かせない指標となっています。まずは動粘度の基本的な定義と、その物理的な意味を理解しましょう。

動粘度の定義と物理的意味

動粘度は、粘度を密度で割った値であり、流体の流れやすさを密度の影響を除いて表現する指標です。記号では通常ν(ニュー)で表され、単位にはSI単位系でm²/s(平方メートル毎秒)が用いられます。動粘度が大きいほど流体は粘り気があり流れにくく、小さいほどサラサラとして流れやすい性質を持ちます。

物理的には、流体内部の運動量拡散の度合いを表しており、流体の内部摩擦と慣性の比を示す量と言えます。この性質により、動粘度は流れの様相を決定づける重要な役割を果たします。

動粘度が用いられる主な分野と背景

動粘度は、機械工学における配管設計や流体機械の設計、化学工学におけるプロセス設計、航空宇宙工学における空力解析、さらには気象学や海洋学といった幅広い分野で活用されています。特に流体の流れの性質を判別するレイノルズ数の計算には動粘度が直接用いられるため、層流と乱流の判定や境界層の評価など、流体解析の基礎として欠かせません。

分野動粘度の活用例重要性
機械工学配管設計、潤滑油選定、流体機械設計流動抵抗の予測、レイノルズ数計算
化学工学プロセス設計、撹拌・混合設計物質移動・熱移動の評価
航空宇宙工学空力解析、境界層評価揚力・抗力の予測、流れの遷移判定
気象学・海洋学大気・海流のモデル化運動量拡散の評価、乱流モデル構築

このように、動粘度は流体を扱うあらゆる分野で基礎的かつ実用的な物性値として位置づけられています。次のセクションでは、動粘度と混同されやすい「粘度」との違いを明確にしていきます。

動粘度と粘度の違いを正しく理解する

動粘度と粘度は、どちらも流体の粘り気を表す物性値ですが、定義も単位も異なります。実務で正しく使い分けるためには、両者の違いを明確に理解しておくことが重要です。このセクションでは、粘度と動粘度の定義の違い、単位の違い、そして使い分けのポイントについて詳しく解説します。

粘度の定義と単位

粘度は、流体内部のせん断応力とせん断速度の比として定義され、記号ではη(イータ)や𝜇 (ミュー)で表されます。単位にはSI単位系でPa·s(パスカル秒)が用いられ、CGS単位系ではP(ポアズ)が使われることもあります。粘度は流体の内部摩擦の大きさを直接表す物性値であり、流体がせん断変形に対してどれだけ抵抗するかを示します。

1 Pa / ((m/s)/m) = Pa / (1/s) = 1 Pa·s = 10 P
1パスカル秒は、流体内に1メートル(m)につき1メートル毎秒(m/s)の速度勾配があるとき、その速度勾配の方向に垂直な面において速度の方向に1パスカル(Pa)の応力が生ずる粘度で、 1 Pa·s は、CGS単位系の10 P となります。

例えば、蜂蜜のように粘度が高い流体は、せん断力を加えても変形しにくく、水のように粘度が低い流体は容易に変形します。粘度は温度に強く依存し、一般に温度が上がると粘度は低下します

動粘度と粘度の関係式

動粘度νと粘度η、密度ρの関係は、次の式で表されます。

ν = η / ρ

この式から分かるように、動粘度は粘度を密度で割った値です。つまり、同じ粘度を持つ流体でも、密度が異なれば動粘度は変わります。例えば、粘度が同じでも密度が大きい流体は動粘度が小さくなり、密度が小さい流体は動粘度が大きくなります。

動粘度は密度の影響を除いた流れやすさの指標であり、流体の慣性と粘性の相対的な関係を表現する量と言えます。この特性により、動粘度は流れの様相を支配するレイノルズ数の計算に直接用いられるのです。

実務での使い分けと注意点

粘度と動粘度は、使用する場面や目的に応じて使い分ける必要があります。粘度は、流体の内部摩擦そのものを評価したい場合や、せん断応力を直接扱う計算に用いられます。一方、動粘度は流れの様相を判定する際や、流体の運動を支配する無次元数の計算に用いられることが多いです。

特にレイノルズ数、プラントル数、シュミット数など、流体力学や熱流体解析で頻出する無次元数には動粘度が直接含まれています。実務では、使用する式や解析手法に応じて、粘度と動粘度のどちらを用いるべきかを正確に判断することが求められます。注意点は下記のとおりです。

  • 粘度:内部摩擦を直接評価、せん断応力の計算に使用
  • 動粘度:流れの様相判定、無次元数の計算に使用
  • 文献参照時は値と単位を必ず確認
  • 温度依存性に注意し、設計条件に合わせた物性値を使用

動粘度の計算方法と単位を具体例で学ぶ

動粘度を実務で正しく扱うためには、計算式と単位を正確に理解し、実際に計算できるようになることが重要です。このセクションでは、動粘度の計算式、単位の換算、そして具体的な計算例を通じて、実践的な知識を身につけていきます。

動粘度の計算式と必要な物性値

動粘度νは、次の式で計算されます。

ν = η / ρ

ここで、ηは粘度、ρは密度です。動粘度を計算するためには、対象とする流体の粘度と密度の両方のデータが必要です。これらの物性値は、温度や圧力によって変化するため、設計条件や解析条件に対応した値を使用することが重要です。粘度と密度は、物性値データベースや流体メーカーの技術資料、文献などから取得できます。特に温度依存性が強いため、使用温度における値を正確に把握しておく必要があります。

動粘度の単位と換算方法

動粘度の単位には、SI単位系のm²/s(平方メートル毎秒)と、CGS単位系に由来するSt(ストークス)やcSt(センチストークス)があります。実務ではcStが広く使われており、特に潤滑油や作動油の仕様書などではcStで表記されることが一般的です。単位間の換算関係は以下の通りです。

1 m²/s = 10⁴ St = 10⁶ cSt

例えば、1 cSt = 1 mm²/s = 10⁻⁶ m²/sとなります。計算や設計の際には、使用する式や資料の単位系を統一することが誤差を防ぐために不可欠です。特に国際規格と国内規格、メーカー資料などで単位が異なる場合があるため、注意深く確認する必要があります。下記のように、動粘度の単位には複数の種類があり、用途や分野によって使い分けられています。

単位換算主な使用場面
m²/s1 m²/sSI単位系、学術文献、数値解析
St(ストークス)10⁻⁴ m²/sCGS単位系、一部の文献
cSt(センチストークス)10⁻⁶ m²/s = 1 mm²/s潤滑油仕様書、実務で最も一般的

レイノルズ数と動粘度の関係を理解する

動粘度が流体設計や解析で特に重要視される理由の一つが、レイノルズ数との密接な関係にあります。レイノルズ数は流れの性質を決定づける最も基本的な無次元数であり、動粘度はその計算に直接含まれます。このセクションでは、レイノルズ数の定義と意味、動粘度が果たす役割、そして実務での活用方法について解説します。

レイノルズ数の定義と物理的意味

レイノルズ数Reは、流れにおける慣性力と粘性力の比を表す無次元数です。レイノルズ数は、流れが層流か乱流かを判定する基準となり、流体設計や解析において最も重要な指標の一つです。一般に、レイノルズ数が小さい場合は粘性力が支配的で流れは層流となり、大きい場合は慣性力が支配的で流れは乱流となります。

配管流れでは、Re < 2300程度で層流、Re > 4000程度で乱流とされることが多く、その間は遷移領域と呼ばれます。レイノルズ数の値によって流動抵抗や熱伝達率が大きく変わるため、設計段階で正確に評価することが不可欠です。

動粘度がレイノルズ数に与える影響

レイノルズ数の式からわかるように、動粘度νはレイノルズ数の分母に位置しています。つまり、動粘度が大きいほどレイノルズ数は小さくなり、流れは層流になりやすくなります。逆に、動粘度が小さいほどレイノルズ数は大きくなり、流れは乱流になりやすくなります。このため、同じ速度と長さスケールでも、流体の種類によって流れの様相は大きく変わります。

例えば、水と空気を比較すると、空気の動粘度は水の約15倍であるため、同じ条件下では空気の方がレイノルズ数が小さく、層流になりやすいことになります。このように、動粘度は流れの様相を直接的に支配する物性値であり、流体選定や設計条件の決定において極めて重要な役割を果たします。

流体設計でのレイノルズ数の活用例

レイノルズ数は、配管設計、流体機械の設計、熱交換器の設計、さらには空力設計など、あらゆる流体設計の場面で活用されます。配管設計では、レイノルズ数から圧力損失を予測し、ポンプ動力を算出します。熱交換器設計では、レイノルズ数から熱伝達率を推定し、伝熱面積を決定します。

空力設計では、レイノルズ数から境界層の性質を評価し、抗力や揚力を予測します。いずれの場合も、動粘度を正確に把握しレイノルズ数を適切に計算することが、設計精度の向上につながります。また、実験やシミュレーションの結果を実機にスケールアップする際にも、レイノルズ数の相似則が重要な役割を果たします。

  • 配管設計:圧力損失の予測とポンプ動力の算出
  • 熱交換器設計:熱伝達率の推定と伝熱面積の決定
  • 空力設計:境界層評価と抗力・揚力の予測
  • スケールアップ:実験結果の実機適用時の相似則

このように、動粘度とレイノルズ数の関係を正しく理解することは、流体設計の基礎として欠かせない知識です。

まとめ

動粘度は、粘度を密度で割った値であり、流体の流れやすさを密度の影響を除いて表現する重要な物性値です。粘度が流体の内部摩擦を直接示すのに対し、動粘度は慣性と粘性の相対的な関係を表し、流れの様相を支配するレイノルズ数の計算に直接用いられます。

動粘度の計算式は ν = η / ρであり、単位にはm²/sやcStが用いられます。レイノルズ数Re=UL/νは、動粘度を含む無次元数であり、流れが層流か乱流かを判定する基準となるため、配管設計や熱交換器設計、空力設計など幅広い分野で活用されます。

動粘度は温度に強く依存するため、設計や解析では使用温度における値を正確に把握することが不可欠です。毛細管式粘度計などで測定するか、物性値データベースやメーカー資料から適切なデータを取得し、流体設計に活用してください。動粘度の正しい理解と活用が、設計精度の向上と現場での的確な判断につながります。

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参考文献
https://d-engineer.com/fluid/nendo.html

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