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インフラ点検の課題解決へ。新技術導入による解決事例

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インフラ点検の課題解決へ。新技術導入による解決事例

日本のインフラは高度経済成長期に集中的に整備されたものが多く、老朽化が進んでいます。道路・橋・トンネルといった社会インフラの老朽化による事故を防ぎ、安全を確保するためには、適切な点検と維持管理が不可欠です。しかし、人手不足や資金不足などの課題が山積しています。 近年、インフラ点検において5G通信やドローン、AIなどの新技術の導入が進んでおり、効率化と精度向上が実現しつつあります。本記事では、インフラ点検の現状と課題、そして新技術の導入による解決事例を紹介します。これからのインフラ維持管理の在り方を考えるために、ぜひ参考にしてください。

インフラ点検とは?老朽化する日本のインフラ事情

インフラ点検とは、道路・橋・トンネル・河川施設などの社会インフラの点検・診断・劣化予測を通じた維持管理のことです。その主な目的は、老朽化に伴う事故の防止と、施設のライフサイクルを延ばすことにあります。

日本では高度経済成長期(1960〜70年代)に整備されたインフラが多数あり、建設から50年以上が経過したものが年々増加しています。

老朽化の進行に伴い、すでに様々な重大事故が発生しています。埼玉県八潮市での道路陥没(2025年)、和歌山県の水管橋崩落(2021年)、広島県の砂防ダム決壊(2018年)などは、適切な点検と維持管理の重要性を示しています。

  • インフラ点検の主な対象施設:道路、橋梁、トンネル、河川施設、港湾施設、上下水道
  • 点検の基本プロセス:目視確認、打音検査、非破壊検査、データ記録、診断評価
  • 点検サイクル:施設種別により異なるが、多くは5年に1回の定期点検が義務付け
  • 点検結果の評価:健全度をⅠ(健全)〜Ⅳ(緊急措置段階)の4段階で評価

インフラ点検における国と自治体の取り組み

インフラの老朽化問題に対応するため、国や自治体はさまざまな取り組みを進めています。これらの取り組みは、点検の強化だけでなく、予防保全や新技術の導入による効率化も目指しています。

インフラ長寿命化計画(国土交通省)

国土交通省は2014年に「インフラ長寿命化計画」を策定し、2021年には第2次計画へと更新しました。この計画の主な目的は、定期的な点検の強化、予防保全型の維持管理、そして最新技術の導入によるインフラの長寿命化です。

予防保全型の維持管理への転換により、事後対応型と比較して中長期的なコスト削減が期待されています。

インフラDX総合推進室の設立

2021年に設立された「インフラDX総合推進室」は、国土技術政策総合研究所や地方整備局と連携し、デジタル技術によるインフラ管理の高度化を推進しています。また、DX人材の育成にも力を入れており、自治体職員向けの研修プログラムも実施しています。

インフラDX推進室では、BIM/CIM(Building/Construction Information Modeling, Management)の導入や、AI・IoTを活用した維持管理システムの開発を支援しています。これにより、データに基づいた効率的なインフラ管理が可能になります。

インフラメンテナンス国民会議

「インフラメンテナンス国民会議」は、官民連携のプラットフォームとして、企業や市民団体など多様な主体が参加しています。この会議には5つの主要な目的があります。それは、新技術の社会実装促進、関係者間の連携強化、地方自治体への支援、市民参画の推進、そしてインフラメンテナンスの理念普及です。

取り組み名実施主体開始年主な目的
インフラ長寿命化計画国土交通省2014年(2021年更新)点検強化、予防保全、技術導入による長寿命化
インフラDX総合推進室国土交通省2021年デジタル技術による管理高度化、DX人材育成
インフラメンテナンス国民会議官民連携プラットフォーム2016年技術の社会実装、連携促進、自治体支援など

インフラ点検が直面する課題と問題点

インフラ点検の重要性が高まる一方で、現場では様々な課題に直面しています。これらの課題が解決されない限り、効果的なインフラ維持管理は難しいといえるでしょう。

深刻化する人手不足の現状

インフラ点検では、高所作業や危険箇所での目視点検に熟練した人材が必要です。しかし、建設業界全体で人手不足が深刻化しており、特に点検技術者の確保が難しくなっています。

また、熟練技術者の高齢化も進んでおり、技術伝承が困難になっています。熟練技術者の経験や知識をデジタル化して継承する仕組みづくりが急務となっています。例えば、ひび割れや劣化の度合いを判断する「目」は、長年の経験がなければ養われないものです。

自治体における資金不足の実態

インフラ点検には足場の設置や特殊機材の調達、そして専門家の人件費など多くのコストがかかります。しかし、多くの自治体では財政難により、十分な点検予算を確保できていません。

財政状況の厳しい小規模自治体では、法定点検すら遅れが生じているケースがあります。

人手不足の具体的問題

  • 熟練技術者の高齢化と減少
  • 若手技術者への技術伝承の遅れ
  • 特殊環境(高所・水中等)での点検人材の不足
  • 地方自治体における技術職員の減少

資金不足による影響

  • 点検頻度の低下
  • 点検範囲の縮小
  • 必要な修繕の先送り
  • 新技術導入の遅れ

従来の点検業務における課題

従来のインフラ点検業務では、点検→帰社→画像整理→報告書作成というアナログな流れが一般的でした。現場で撮影した写真や記録を持ち帰り、オフィスで整理して報告書にまとめるという二度手間が発生していました。

この方法では、現場と報告書作成の間に時間差が生じるため、記憶が曖昧になり正確性が低下するリスクがありました。また、緊急対応が必要な異常を発見しても、情報共有に時間がかかるという問題もありました。

インフラ点検を効率化する最新技術

インフラ点検の課題を解決するため、様々な最新技術が導入されつつあります。これらの技術は人手不足や資金不足といった課題を解決するだけでなく、点検精度の向上にも貢献しています。

5G通信がもたらす点検革命

5G通信技術の導入により、インフラ点検の現場は大きく変わりつつあります。リアルタイムの高精細映像送信や遠隔監視が可能になり、熟練技術者が現場に行かなくても的確な判断ができるようになりました。

また、5Gの特徴である「低遅延」により、現場からのデータをリアルタイムで共有・分析できるため、緊急時の対応も迅速化されています。例えば、災害発生時のインフラ被害状況を即座に把握し、対策を講じることが可能になりました。

モバイルアプリによるリアルタイムな情報共有

点検業務にモバイルアプリを導入することで、現場からリアルタイムに情報を共有できるようになります。写真や動画を撮影するだけで、自動的にクラウド上にアップロードされ、関係者全員が視覚的に状況を把握できます。

また、GPSによる位置情報が自動取得されるため、どの箇所の写真かを後から特定する手間が省けます。さらに、異常を検出した場合には関係者に自動通知する機能もあり、迅速な対応が可能になります。

ドローン活用による安全性と効率性の向上

高所や危険地帯の点検を非接触で実施できるドローンの活用が急速に広がっています。従来であれば足場の設置や特殊車両の準備が必要だった点検作業が、ドローン1台で行えるようになり、準備コストが大幅に削減されています。

また、人の目では見づらい橋梁の裏側や高所のひび割れも、高精細カメラを搭載したドローンなら死角なくカバーできます。ただし、空港周辺や住宅密集地では飛行制限があり、国土交通省の飛行許可が必要な場合があるという留意点もあります。

AI画像診断による異常検出の自動化

AI技術の進化により、インフラの劣化箇所を自動検出・分類することが可能になりました。画像認識AIの精度は医療分野と同等レベルまで向上しており、熟練技術者の「目」に近づいています。

特にドローンと組み合わせることで、広範囲を短時間で撮影し、その全ての画像をAIが分析することで、効率的かつ高精度な診断が可能になっています。例えば、コンクリート構造物のひび割れを0.2mm単位で検出し、その進行状況を時系列で比較することができます。

技術主な特徴解決する課題導入コスト
5G通信リアルタイム高精細映像、
低遅延データ共有
熟練者の現場負担軽減、
遠隔支援
中〜高
モバイルアプリリアルタイムな情報共有・通知、
画像撮影・共有、GPS活用
状況把握・異常時対応の迅速化低〜中
ドローン高所・危険箇所の非接触点検、
広範囲撮影
安全性向上、コスト削減、
効率化
低〜中
AI画像診断劣化箇所の自動検出・分類、
時系列分析
人的判断のばらつき低減、
大量データ処理
中〜高

まとめ

インフラ点検は老朽化する社会インフラの安全を守るために不可欠な業務ですが、人手不足や資金不足といった課題に直面しています。しかし、5G通信、モバイルアプリ、ドローン、AI画像診断などの新技術を活用することで、これらの課題を解決しながら、より効率的で高精度な点検が可能になってきました。

インフラ管理者は、自組織の課題を明確にした上で、最適な技術やアプリを選定・導入することが重要です。また、単なる省力化ではなく、点検の質を高め、予防保全型の維持管理を実現するという視点を持つことが大切です。

参考文献
https://plat.io/ja/posts/infra-maintenance

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