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外国人雇用状況届出書とは?対象者や記載内容、注意点を詳しく解説

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外国人雇用状況届出書とは?対象者や記載内容、注意点を詳しく解説

グローバル化が進む製造業において、外国人労働者の雇用は競争力強化の重要な戦略となっています。しかし、外国人を雇用する際には、事業主に課せられた法的義務を理解し、適切に対応する必要があります。外国人を雇用する際に非常に重要となるのが「外国人雇用状況届出書」の提出義務です。この届出は、雇用実態の把握や不法就労の防止、労働環境の改善を目的とした制度であり、すべての事業主が対象となります。本記事では、外国人雇用状況届出書の基本から対象者、記載内容、提出方法、さらには実務上の注意点までを解説し、製造業の管理者が押さえるべきポイントを明確にします。

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外国人雇用状況届出書の基本と制度の目的

外国人雇用状況届出書は、事業主が外国人労働者を雇い入れたときや離職したときに、ハローワークへ提出することが義務付けられている公式書類です。この制度は2007年から義務化されており、日本国内で働く外国人労働者の雇用実態を正確に把握するための基盤として機能しています。

制度の目的

届出制度の目的は多岐にわたります。まず第一に、厚生労働省が外国人労働者の雇用状況を統計的に把握し、適切な雇用施策を立案するための基礎データとして活用するためです。第二に、在留資格の範囲内で適法に就労しているかを確認することで、不法就労や在留資格外活動を防止する役割を担っています。

第三に、届出情報をもとに労働条件の不備や問題がある企業に対して助言・指導を行い、雇用管理の改善を促進します。第四に、離職した外国人労働者の再就職支援の基盤として、職業紹介や雇用マッチングに活用されます。

制度の法的位置づけと義務の範囲

外国人雇用状況届出制度は、雇用対策法に基づいて定められた法的義務です。この届出義務は、業種や企業規模、法人・個人を問わず、すべての事業主に課せられています。正社員だけでなく、契約社員、パート、アルバイトといった雇用形態にかかわらず、外国人を雇用した場合には必ず届出が必要です。

届出が必要となるタイミングは、雇い入れ時と離職時の2つです。新たに外国人を雇用した日から、あるいは外国人労働者が退職・契約終了により離職した日から、原則として14日以内に管轄のハローワークへ届出を行わなければなりません。この期限を守ることが、事業主のコンプライアンス対応として極めて重要です。

届出制度が果たす社会的役割

外国人雇用状況届出制度は、単なる行政手続きにとどまらず、日本社会全体における外国人労働者の受入れ環境を整備する社会的インフラとしての役割を持っています。届出情報は、国レベルの雇用政策の立案、地域ごとの外国人労働者支援体制の構築、産業別の労働力需給分析などに活用され、外国人が安心して働ける環境づくりに貢献しています。

また不法就労を防止することで、適法に働く外国人労働者の権利を守り、公正な競争環境を維持する効果もあります。届出を通じて在留資格と実際の業務内容が適合しているかをチェックすることで、外国人労働者が不当な扱いを受けるリスクを低減し、企業側も法令違反による罰則や社会的信用の失墜を回避できます。

外国人雇用状況届出書の対象者と対象外のケース

外国人雇用状況届出書の提出義務が生じる対象者を正確に理解することは、実務上のミスを防ぐうえで不可欠です。対象となるのは、日本国籍を持たないすべての外国人労働者ですが、一部例外が存在します。

対象外のケースとは

具体的には、特別永住者と在留資格が「外交」または「公用」である者については届出の対象外となります。特別永住者は、第二次世界大戦終結前から日本に居住していた朝鮮半島や台湾出身者とその子孫で、特別な法的地位を有するため、一般の外国人労働者とは区別されています。

また、外交官や国際機関の職員など、外交・公用の在留資格を持つ者も対象外です。

在留資格の種類届出の要否備考
特別永住者不要法的地位が特別なため対象外
外交・公用不要外交官等のため対象外
就労制限なし(永住者・定住者・日本人の配偶者等)必要就労制限がなくても届出は必須
就労可能な在留資格(技術・人文知識・国際業務等)必要在留資格の範囲内で就労可能
資格外活動許可を得た留学生・家族滞在必要アルバイトでも届出が必要

上記の表のとおり、対象となる外国人労働者の範囲は非常に広く、実務上の誤解が生じやすいポイントがいくつか存在します。

就労制限のない在留資格でも届出が必要

永住者、日本人の配偶者等、定住者といった就労制限のない在留資格を持つ外国人についても、届出義務は発生します。これらの在留資格は就労活動に制限がないため、どのような業種・職種でも働くことができますが、雇用実態を把握する観点から届出が義務付けられています。多くの事業主がこの点を見落とし、届出を怠るケースがあるため注意が必要です。

また、技術・人文知識・国際業務、特定技能、技能実習など、就労を目的とした在留資格を持つ外国人も当然ながら届出の対象です。これらの在留資格は職種や業務内容に制限があるため、届出時には在留資格と実際に従事する業務内容が合致しているかを慎重に確認する必要があります。

留学生アルバイトや家族滞在者も対象

製造業の現場でアルバイトとして働く留学生や、家族滞在の在留資格でパートタイムとして働く外国人も届出の対象です。これらの在留資格は本来、就労を主目的としていませんが、資格外活動許可を得ることで一定の範囲内で就労が認められています。留学生の場合は原則週28時間以内、家族滞在者も同様に週28時間以内という制限があり、事業主はこの制限を遵守しつつ届出を行う必要があります。

資格外活動許可の有無や許可の内容は在留カードに記載されているため、採用時に必ず確認し、届出書にも正確に反映させることが求められます。許可を得ずに就労させた場合や、許可された時間を超過して働かせた場合は、不法就労助長行為として罰則の対象となる可能性があります。

外国人雇用状況届出書の記載内容と書き方のポイント

外国人雇用状況届出書には、外国人労働者本人に関する情報、雇用に関する情報、事業所に関する情報を正確に記載する必要があります。記載内容に誤りや漏れがあると、行政指導の対象となったり、再提出を求められたりするため、細心の注意を払って作成することが重要です。

在留カードに基づく正確な情報の転記

届出書の記載にあたっては、在留カードまたはパスポートを必ず確認し、記載されている情報を正確に転記することが最も重要です。在留カードには、氏名、生年月日、国籍・地域、在留資格、在留期間、在留カード番号、資格外活動許可の有無などが記載されており、これらの情報が届出書の基礎となります。

特に注意すべきは、在留資格と在留期間です。在留資格は外国人が日本で行うことができる活動の範囲を定めたものであり、実際に従事する業務内容が在留資格の範囲内であることを確認しなければなりません。在留期間は在留が認められている期限であり、この期限を超えて雇用を継続することはできません。在留期間の満了日が近づいている場合は、外国人本人に更新手続きを促すとともに、更新が完了するまで雇用を継続できるかを慎重に判断する必要があります。

業務内容の記載と在留資格との整合性

従事する業務の種類を記載する際には、具体的かつ正確に業務内容を記述し、在留資格と矛盾がないことを確認しましょう。例えば、技術・人文知識・国際業務の在留資格を持つ外国人に対して、単純労働や現場作業を主とする業務に従事させることは認められていません。届出書に記載する業務内容は、在留資格審査で認められた活動の範囲内でなければならず、虚偽の記載や実態と異なる記載は不法就労助長のリスクを高めます。

製造業の現場では、品質管理、生産管理、技術開発、国際営業など多様な職種がありますが、それぞれの職種が在留資格の要件を満たしているかを人事部門と現場が連携して確認することが不可欠です。特に技能実習や特定技能といった在留資格では、従事できる業務が職種・作業内容まで細かく定められているため、届出書の記載と実態が一致していることを定期的にチェックすることが求められます。

記載時のよくあるミスと防止策

実務上、届出書の記載でよく発生するミスには以下のようなものがあります。まず氏名のローマ字表記が在留カードと異なるケース、在留期間の年月日を誤って記載するケース、資格外活動許可の有無を確認せずに記載するケース、業務内容が抽象的すぎて在留資格との整合性が判断できないケースなどです。

これらのミスを防ぐためには、届出書の作成を担当者任せにせず、複数人でチェックする体制を整えることが有効です。また在留カードのコピーを保管し、届出書と照合できるようにしておくことで、記載ミスや情報の不一致を防ぐことができます。社内で外国人雇用台帳を整備し、在留期間や届出状況を一元管理することも、ミスの防止と管理の効率化につながります。

外国人雇用状況届出書の手続きの流れ

外国人雇用状況届出書の提出先は、事業所を管轄するハローワークです。提出方法には、窓口への持参、郵送、一部地域では電子申請が利用可能な場合もありますが、具体的な手続き方法は管轄のハローワークに事前に確認することが推奨されます。

外国人雇用状況届出書の提出の流れ

提出のタイミングは、雇い入れ時または離職時から原則14日以内です。この期限を過ぎると届出義務違反となる可能性があるため、雇用契約締結後や離職手続き完了後、速やかに届出を行うことが重要です。特に離職時は、退職手続きや雇用保険の喪失届など他の手続きと並行して進めるため、漏れやすいポイントとなります。人事部門内で届出期限を管理するリマインダーやチェックリストを活用し、確実に提出できる仕組みを構築することが望まれます。具体的には、以下のような点をチェックしましょう。

  • 雇い入れ時:外国人労働者の採用が決定し、雇用契約を締結したタイミングで在留カードを確認し、速やかに届出書を作成・提出
  • 離職時:外国人労働者が退職・契約終了により離職したタイミングで、離職日から14日以内に届出書を提出
  • 窓口提出:管轄ハローワークの窓口に直接持参し、その場で受理印をもらう方法。不明点があればその場で確認できるメリットがある
  • 郵送提出:届出書を郵送で提出する方法。控えが必要な場合は返信用封筒を同封することで受理印を押した控えを返送してもらえる
  • 電子申請:一部のハローワークや制度で対応している場合があり、オンラインで届出を完結できる。利用可能かどうかは管轄ハローワークに確認が必要

提出後は、届出書の控えを事業所で保管し、いつ誰についての届出を行ったかを記録しておくことが重要です。この記録は、労働基準監督署や入国管理局からの調査があった際に、適切に届出を行っていることを証明する資料となります。

雇用保険被保険者資格取得届との関係

外国人労働者が雇用保険の加入対象である場合、雇用保険被保険者資格取得届と外国人雇用状況届出書を同時に提出することになります。この場合、雇用保険被保険者資格取得届の所定欄に外国人労働者に関する情報を記載することで、外国人雇用状況届出を兼ねることができるケースがあります。

具体的には、雇用保険被保険者資格取得届に在留資格、在留期間、国籍・地域、資格外活動許可の有無、在留カード番号などを記載することで、別途外国人雇用状況届出書を提出する必要がなくなります。ただし雇用保険に加入しない短時間労働者や、雇用保険の適用除外となる外国人については、別途外国人雇用状況届出書の提出が必要です。

外国人雇用状況届出書に関する注意点

外国人雇用状況届出書の提出は法的義務であり、違反した場合には罰則や行政指導の対象となる可能性があります。また届出を怠ることで不法就労を助長するリスクが高まり、企業の社会的信用や事業継続に深刻な影響を及ぼすことがあります。そのため事業主は、届出義務を確実に履行するとともに、リスク管理の観点から適切な対応を行うことが求められます。

外国人雇用状況届出書に関するリスク管理

届出義務違反に対する罰則として、届出を怠ったり虚偽の届出を行った場合には、雇用対策法に基づき罰則が科される可能性があります。具体的には30万円以下の罰金が定められており、悪質なケースでは企業名が公表されることもあります。

さらに不法就労を助長した場合には、入管法に基づく不法就労助長罪として、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されることがあります。上記の罰則に加えて、行政指導や是正勧告が行われることもあり、改善が見られない場合には企業名の公表や許認可の取消しといった行政処分につながる可能性もあります。

在留資格と業務内容の不一致リスク

外国人雇用において最も注意すべきリスクの一つが、在留資格と実際に従事させる業務内容の不一致です。在留資格ごとに認められる活動内容は厳格に定められており、その範囲を超えた業務に従事させることは在留資格外活動となり、不法就労にあたります。例えば技術・人文知識・国際業務の在留資格で単純労働に従事させた場合や、留学生を資格外活動許可の時間制限を超えて働かせた場合などが該当します。

製造業の現場では、生産状況の変化に応じて外国人労働者の配置転換や業務内容の変更が発生することがありますが、その際には必ず在留資格との整合性を確認する必要があります。配置転換により在留資格の範囲を超える業務に従事させることになる場合は、事前に在留資格の変更申請を行わなければなりません。また、技能実習生については、定められた技能実習計画に基づく作業以外に従事させることは認められないため、特に厳格な管理が求められます。

在留期間の管理とコンプライアンス

在留期間が満了した後も引き続き雇用を継続することは、不法就労となります。在留期間は在留カードに記載されており、事業主は外国人労働者の在留期間を常に把握し、期限が近づいた際には本人に更新手続きを促す必要があります。在留期間の更新申請は本人が行うものですが、更新が認められなかった場合や更新申請を怠った場合には、雇用を継続することができなくなります。

実務上は、在留期間の満了日を社内システムで管理し、満了の2〜3カ月前にアラートを出すことで、更新手続きを促すタイミングを逃さないようにすることが推奨されます。更新後は速やかに新しい在留カードを確認し、在留期間や在留資格に変更がないかをチェックして記録を更新します。在留資格が変更された場合には、業務内容が新しい在留資格の範囲内であるかを再確認し、必要に応じて配置や業務内容を見直すことが必要です。

個人情報保護とデータ管理の留意点

外国人雇用状況届出書には、氏名、生年月日、国籍、在留カード番号など、個人を特定できるセンシティブな情報が含まれています。これらの情報は個人情報保護法の対象となるため、適切な管理体制を構築し、情報漏洩や不正利用のリスクを最小化する必要があります。

具体的には、届出書や在留カードのコピーを施錠可能なキャビネットや限定されたアクセス権限のあるシステム内で保管し、閲覧できる担当者を限定することが重要です。また保管期間についても社内規定を整備し、必要な期間を経過した後は適切に廃棄する手続きを定めることが求められます。外国人雇用管理システムを導入する場合には、セキュリティ対策が十分に施されたシステムを選定し、定期的なセキュリティ監査を実施することで、情報管理のリスクを低減できます。

まとめ

外国人雇用状況届出書は、外国人労働者を雇用するすべての事業主に課せられた法的義務であり、雇用実態の把握、不法就労の防止、雇用管理の改善、再就職支援という多面的な目的を持つ制度の中核をなす書類です。対象となる外国人の範囲は広く、特別永住者と外交・公用の在留資格を除くすべての外国人が含まれ、就労制限のない在留資格や留学生アルバイトも届出の対象となります。

届出書の記載にあたっては在留カードに基づく正確な情報の転記が不可欠であり、在留資格と業務内容の整合性を確認することで不法就労のリスクを回避できます。製造業の現場では、外国人労働者の活用が競争力強化につながる一方で、適切な雇用管理とコンプライアンス対応が企業の持続可能性を左右します。外国人雇用状況届出制度を正しく理解し、確実に運用することで、外国人労働者が安心して働ける環境を整備し、企業の社会的信頼を高めることができるでしょう。

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