送信中です

ご入力内容を送信中です。
しばらくそのままでお待ちください。

Report

レポート

  1. PROTRUDE – 現場のあらゆる課題、解決策のすべてがここに –トップ
  2. レポート
  3. ものづくりDX推進コンサルの現場から【第4回】DXに関連する技術のいろいろ

ものづくりDX推進コンサルの現場から【第4回】DXに関連する技術のいろいろ

【連載】ものづくりDX推進コンサルの現場から

生産・製造

ものづくりDX推進コンサルの現場から【第4回】DXに関連する技術のいろいろ

第4回は、DXに関連する技術についていろいろ紹介します。

「ものづくりDX推進コンサルの現場から」では、DX/IoTビジネスモデル構築のコンサルティングなどにかかわる筆者が、これまで自分自身が見てきた現場の実情や課題を交えながら、ものづくりDX推進の方法論などを語ります。第4回は、DXに関連する技術についていろいろ紹介します。
(執筆:高安篤史/合同会社コンサランス代表 中小企業診断士)

記事一覧:【連載】ものづくりDX推進コンサルの現場から

IoT(Internet of Things)やAI(人工知能)活用の失敗は、技術視点になってしまうことによるものが多いです。ここで誤解がないように確認しますが、これらの技術は重要でないという意味ではありません。従来のITシステム開発とは異なり、特にDXでは、価値を創出するため、事業関係者やユーザー部門が自ら主体的に推進する必要があります。最終的な設計や具体化については、システム会社に任すこともありますが、最初の検討段階では実現可能かどうかの判断をするため、事業関係者やユーザー部門もITやDXの知識がある程度必要です。そうでなければ、システム会社に丸投げすることになり、成果につながらないばかりか、莫大な費用が発生します。

ここで、簡単にDX、IoT(Internet of Things)、AIの関連技術について紹介します。

①    センサー:データを取得するポイントであり、温度、振動、流量など、多数のデータをセンシングする技術。一部、カメラなども含む。
②    通信/ネットワーク:取得したデータを転送する技術。標準化が重要。
③    ストレージ/データベース:データを蓄積および管理する技術。DX時代では画像や音声データなど非構造のデータ管理技術などが重要。
④    分析/AI:収集したデータを分析し、そこから知見を得る技術。
⑤    VR(仮想現実)/AR(拡張現実):人が理解しやすいように見せる技術。
⑥    クラウドコンピューティング(IoTプラットフォーム):IoTツール(取得したデータの蓄積や分析など)をインターネット経由で実現する技術。
⑦    ロボット:作業の自動化や作業者をサポートする技術。
⑧    その他の技術:スマホ、タブレット、ICタグ(RFID)、ビーコン/アプリケーション、ブロックチェーンなど。
⑨    セキュリティ:言うまでもなく、「つながる世界」においては、「セキュリティ」技術は最重要になります。

特に②の通信/ネットワークに関連する分野では、5G(第5世代移動通信方式)が始まり、社会自体も変わってきています。これらの技術を俯瞰して捉え、「データの有効利用」と合わせることで、新たな付加価値が必ず生まれます。これらの技術は、近年飛躍的に発展したことと、値段が大幅に安くなったことで、身近で使えるようになりました。例えば、機械学習などのライブラリーが豊富なPythonはフリー(つまりタダ)で使えますし(PCにインストールして動かせる)、クラウドコンピューティングで実現されているIoTプラットフォームもデータ量などによりますが、PoC(概念実証)での活用を条件に無料で使えることもあります。

近年、学校教育でも、上記の④分析/AIに関連する項目で大きな方針の変化があります。具体的には、以下のようなことです。

  • 小学校での「プログラミング」必須化
  • 中学校/高校での「情報処理」の強化と必須化
  • 高校でのAIの基礎となる数学(線形代数)などの強化
  • 大学入試の共通テストでの「情報処理」必須化の流れ
  • 大学での理系/文系の融合  

しかしながら、今の教育現場では、「実践の課題解決には程遠い知識詰込み型の教育」「教師側にITの知識やスキルが乏しい」「試験で点数を取るための内容になってしまっている」といった課題を抱えていることは第3回でもお話ししました。

これでは、中学校から(今は小学生から)大学まで英語を長年学んでも、結局、英語での意思疎通は身に付かないのと同じです。大学までこれらのデータ分析やAIの関連技術を学んでも、社会で実践的に使えるようになりません。

少し補足しますが、これらの技術は全ての人に必要であり、理系の一部の研究者が使えるようになればいいというわけではありません。英会話にしても一部の人は大学卒業までに学んだ知識で日常会話やビジネスの会話までできる人はいます。同様に、データ分析技術も、現状の教育で育った学生であっても、一部の人は実践的に習得できる人もいます。しかし、一部の人ができるというだけでは、やはり諸外国との競争に負けてしまいます。

また、実務でAIを活用する場合には、「AIのすごさ」と「AIではできないこと」を理解する必要があります。「AIが広まると、なくなる仕事が多数発生する」ということを聞いたことがあるという人は多いでしょう。これは、AIに目的を設定し、データを学習させることにより、目的を達成するための論理を自ら考えてくれること(これを一般に「自律」と表現)で、なくなる仕事が発生するという意味です。

従来は、人が論理を考え、ソフトウェアなどで実現していました(これが「自動」の考え方です)。AIでは、試行錯誤できる領域があれば「強化学習」という手法によって学習が進みますが、一般的にはデータを基にした学習でいろいろなことが可能になります。従って、AIは人間とは異なり、ひらめきのようなものはありません。しかしながら、「スピード」と「信頼性」に関しては、はるかにAIの方が人より勝っている場合があります。

つまりAIは、データを基に随時、論理を更新できるため、従来の人による自動論理の作成と比べて高速で、さらに大量のデータを処理する大規模なソフトウェアの実現であればAIの方がはるかに「信頼性」は高いでしょう。

また、上記の⑦ロボットに関連する内容として、RPA(Robotic Process Automation)もDXに関連する技術です。製造業においても間接部門の自動化を考えると、このRPAツールを、外部のシステム会社や社内の情報システム部門に依存することなく、担当者自らが活用することが求められています。

現在、世の中で利用されているRPAのほとんどは単なる自動化ですが、前述のAIと融合されれば、最終的には自律したRPA の仕組みになっていきます。

記事一覧:【連載】ものづくりDX推進コンサルの現場から


執筆者プロフィール

合同会社コンサランス 代表/中小企業診断士。
https://www.consulance.jp/

早稲田大学理工学部工業経営学科(プラントエンジニアリング/工場計画専攻)卒業後、大手電機メーカーで20年以上に渡って組込みソフトウェア開発に携わり、プロジェクトマネージャ/ファームウェア開発部長を歴任する。DFSS(Design for Six Sigma:シックスシグマ設計)に代表される信頼性管理技術/プロジェクトマネジメントやIoT/RPAやDXのビジネスモデル構築に関するコンサルタントとしての実績 及び 自身の経験から「真に現場で活躍できる人材」の育成に大きなこだわりを持ち、その実践的な手法は各方面より高い評価を得ている。

IPA(情報処理推進機構)SEC Journal掲載論文(FSSによる組込みソフトウェアの品質改善 IPA SEC journal25号)を始め、執筆論文も多数あり。 2012年8月 合同会社コンサランスの代表に就任。

  • 中小企業診断士(経済産業大臣登録):神奈川県中小企業診断協会 所属
  • 情報処理技術者(プロジェクトマネージャ、応用情報技術者、セキュリティマネジメント)
  • IoT検定制度委員会メンバー (委員会主査)

■書籍

  • 2019年に書籍『知識ゼロからのIoT入門』が発売
  • 2020年に共同執筆した「工場・製造プロセスへのIoT・AI導入と活用の仕方」が発刊
  • 2021年10月に創元社より、やさしく知りたい先端科学シリーズ9として、書籍「IoT モノのインターネット (モノ・コト・ヒトがつながる社会、スマートライフ、DX推進に活用中)」が発売
  • 日刊工業新聞社「工場管理」 2021年10月臨時増刊号「ゼロから始めるモノづくりDX」で執筆
  • 2022年4月に共同執筆した書籍(プラントのDX化による生産性の向上、保全の高度化)が発刊

関連ソリューション

Contact コンタクト

ITソリューション・テクノロジーサービスの
最適なプランをご提案します