送信中です

ご入力内容を送信中です。
しばらくそのままでお待ちください。

Report

レポート

  1. PROTRUDE – 現場のあらゆる課題、解決策のすべてがここに –トップ
  2. レポート
  3. 図面の電子化のメリットとは?注意点や活用事例を紹介

図面の電子化のメリットとは?注意点や活用事例を紹介

品質・保全

購買・受発注

企画・設計

ペーパーレス

文書管理

AI

AI画像解析・画像認識

AI文字認識

CAD/3DCAD

検索

図面の電子化のメリットとは?注意点や活用事例を紹介

企業が保有する図面資産を紙から電子データに変換する「図面の電子化」は、多くの業種で進められています。設計・製造業を中心に、膨大な図面の管理や検索の効率化、情報共有の円滑化など、さまざまなメリットをもたらします。しかし、ただデータ化するだけでは効果は限定的であり、適切な管理システムや検索機能との連携が重要です。 本記事では、図面電子化のメリットや注意点、AI技術を活用した最新の活用事例までを詳しく解説します。業務効率化に向けて、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

図面電子化の基本と主なメリット

図面の電子化とは、紙の図面をスキャンしてデジタルデータに変換したり、CADソフトなどを使用して直接デジタル形式で作成・保存したりする取り組みです。建設業、製造業、設備管理など、図面を多く扱う業種では特に重要な課題となっています。

電子化によって得られるメリットは多岐にわたります。業務効率化だけでなく、コスト削減や災害対策としても有効です。

スペース削減と検索性向上

紙の図面は保管に大きなスペースを必要とします。特に建設・製造業などでは数万枚に及ぶ図面を保管するケースも少なくありません。電子化することで物理的な保管スペースを大幅に削減できます。

また、電子化された図面はファイル名や属性情報を使って瞬時に検索できるようになります。全文検索機能を活用すれば、図面内の文字情報からも素早く目的の図面を見つけることが可能になります。紙の図面を一枚ずつめくって探す手間と時間が省け、業務効率が飛躍的に向上します。

情報共有と同時作業の実現

電子化された図面はネットワークを通じて複数の部署や拠点で共有できます。これにより、各地の事業所や取引先とのコミュニケーションが円滑になり、意思決定のスピードが向上します。

さらに、複数の担当者が同時に同じ図面を参照したり、編集したりすることも可能になります。紙の図面では一人が使用している間は他の人が見られませんでしたが、電子化によってこの制約が解消されます。

バックアップと災害対策

紙の図面は火災や水害などで一瞬にして失われるリスクがあります。また、経年劣化による変色や破損も避けられません。しかし、電子化することで重要な図面資産を複数の場所にバックアップし、災害時のリスクを大幅に軽減できます。

また、クラウドストレージを活用すれば、地理的に離れた場所にデータを保管できるため、BCP(事業継続計画)の観点からも有効な対策となります。特に設計図や製品図面など、失われると再作成に膨大なコストがかかる重要資産については、早期の電子化と適切なバックアップ体制の構築が不可欠です

メリット具体的な効果
保管スペースの削減キャビネット数十台分のスペースを解放可能
検索時間の短縮平均検索時間が数十分から数秒に短縮
劣化・紛失リスク低減バックアップにより永久保存が可能
同時閲覧の実現複数人が同時に同じ図面を確認可能
コスト削減印刷費・保管費・人件費の削減

図面電子化の方法と形式選択のポイント

図面を電子化する方法はいくつかあり、用途や予算、既存の図面の状態によって最適な方法が異なります。どの方法を選ぶかは、その後の活用方法や必要な機能に大きく影響します。

スキャニングによる電子化

既存の紙図面を電子化する最も一般的な方法は、専用のスキャナーを使用してデジタル画像として取り込む方法です。この方法では大判の図面に対応したスキャナーが必要となりますが、比較的手軽に電子化できます。

ただし、この方法で作成されるのは単なる画像データであり、図形や文字を編集することはできません。必要に応じてOCR処理を行い、文字情報を抽出することで検索可能なテキストデータとして活用できるようになります。重要な図面や頻繁に参照する図面は、この追加処理を検討すべきでしょう。

トレース作業によるCADデータ化

スキャンした画像をもとに、CADオペレーターが手作業でトレース(なぞり描き)を行い、編集可能なCADデータとして再作成する方法もあります。この方法では、完全に編集可能なデータとなるため、設計変更や流用が容易になります。

ただし、人手による作業となるため、コストと時間がかかります。すべての図面をCADデータ化するのではなく、頻繁に修正が必要な図面や今後も活用頻度が高い図面を優先的に選定するとよいでしょう。

  1. 紙図面をスキャナーで取り込む
  2. 画像の歪みや汚れを補正
  3. CADオペレーターが線や図形をトレース
  4. 寸法や注釈などのテキスト情報を入力
  5. データの精度確認と修正
  6. 最終チェックと保存

データ形式の選択と互換性の確保

図面データの保存形式選択は重要な検討事項です。一般的なフォーマットには、PDF、TIFF、DWG、DXF、JWW、SXFなどがあります。選択する際は、社内外での共有のしやすさ、長期保存の安定性、編集の必要性などを考慮する必要があります。

業界標準のフォーマットを選ぶことで、取引先とのデータ交換がスムーズになります。建設業であればSXF、製造業ではDWGやDXFなどが広く使われています。将来的な互換性を考慮し、複数の形式で保存しておくことも有効な対策です。特に長期保存が必要な図面は、汎用性の高いPDFと編集可能な専用形式の両方で保存することをお勧めします。

図面管理システム導入のメリットと選定ポイント

図面を電子化しただけでは、その効果を最大限に発揮することはできません。電子化された図面を効率的に管理・活用するためには、専用の図面管理システムの導入が不可欠です。

図面管理システムは、単なるファイル保管だけでなく、業務プロセス全体を効率化する上で重要なツールとなります。

図面管理システムの基本機能

図面管理システムは、電子化された図面の保管から検索、共有、版管理までを一元的に行うためのプラットフォームです。基本的な機能としては、検索機能、アクセス権限管理、履歴管理などがあります。

特に重要なのは検索機能です。ファイル名だけでなく、図面内のテキスト情報や属性情報(メタデータ)からも検索できるシステムを選ぶことで、必要な図面をすぐに見つけることができます。図面番号、製品名、作成者、作成日など、複数の条件を組み合わせた高度な検索が可能なシステムを選定することが業務効率向上の鍵となります

  • 多様な検索機能(ファイル名、図面内テキスト、属性情報など)
  • アクセス権限管理(部署・役職別の閲覧・編集権限設定)
  • バージョン管理(改訂履歴の記録と旧版の保存)
  • 関連図面のリンク機能(部品と組立図の関連付けなど)
  • ワークフロー機能(承認プロセスの電子化)
  • 注釈・マークアップ機能(図面へのコメント追加)
  • モバイル対応(タブレットなどでの現場閲覧)

クラウド型とオンプレミス型の比較

図面管理システムには、クラウド型とオンプレミス型の2種類があります。それぞれに特徴があり、企業の規模や業務内容、セキュリティポリシーなどに応じて適切な選択が必要です。

クラウド型は初期投資が少なく、導入が容易であるという特徴があります。また、場所を選ばずアクセスできるため、テレワークや現場での活用に適しています。一方、オンプレミス型は自社サーバーに構築するため、セキュリティ管理が厳格で、大量のデータを扱う場合の通信コスト削減になるという利点があります。

近年は両者のハイブリッド型も増えており、機密性の高い図面はオンプレミスで、共有頻度の高い図面はクラウドで管理するといった柔軟な運用も可能になっています。自社の業務特性や既存システムとの連携性を考慮して選定することが重要です。

既存システムとの連携性

図面管理システムを導入する際は、既存のCADシステムやPLM(製品ライフサイクル管理)、ERP(企業資源計画)システムなどとの連携性も重要な検討ポイントです。システム間でのデータ連携がスムーズに行えれば、二重入力の手間が省け、情報の一貫性も保たれます。

例えば、CADで作成・編集した図面が自動的に図面管理システムに登録される連携や、図面から部品表を抽出してERPの在庫管理と連携するといった機能は、業務効率化に大きく貢献します。

AI技術を活用した図面検索と活用事例

近年、AI技術の発展により、従来の文字ベースの検索を超えた高度な図面検索・活用が可能になっています。特に「AI類似図面検索」は、図面の形状そのものに着目した革新的な技術として注目されています。

これらの技術は、膨大な図面資産を持つ企業にとって、大きな業務効率化をもたらす可能性を秘めています。

AI類似図面検索の仕組みと特徴

AI類似図面検索とは、図面データの形状に着目し、人工知能によって類似形状の図面を自動かつ高速に検索する技術です。従来の検索方法がファイル名や属性情報に依存していたのに対し、この技術は図面の「形状」そのものから検索できることが大きな特徴です。

例えば、ある部品の図面を検索クエリとして使用すると、形状が似た部品の図面を自動的に見つけ出すことができます。この技術により、図面検索の属人化を解消し、ベテラン社員でなくても効率的に目的の図面を特定できるようになります。特に、名称が異なる類似部品の発見や、過去の設計資産の有効活用に威力を発揮します。

AI類似図面検索の活用シーン

AI類似図面検索は、さまざまな業務シーンで活用できます。特に効果的な活用事例としては、以下のようなものがあります。

見積依頼への迅速対応では、取引先からの依頼に対して過去の類似図面を素早く特定し、見積時間を大幅に短縮できます。従来は膨大な図面群からの手動検索に時間がかかっていましたが、AI検索により数分で完了するケースも少なくありません。

また、不良発生時の影響範囲の特定では、問題が発生した部品の図面から類似部品を検索し、同様の問題が発生する可能性のある部品を迅速に洗い出すことができます。これにより、リコールの範囲特定や改修計画の立案が効率化されます。

活用シーン従来の課題AI活用による効果
見積依頼対応膨大な図面から手動で類似品を探す時間がかかる形状から即座に類似図面を特定し、見積時間を短縮
不良発生時の影響範囲特定部品番号では管理されていない類似部品は特定困難形状の類似性から関連部品を迅速に洗い出し
図面レビュー・差分確認目視による変更箇所のチェックは工数がかかりミス発生AIによる差分検出で変更箇所を視覚的に確認可能
設計資産の再利用過去の設計知識が属人化し活用できていない類似設計を自動検索し設計時間を短縮

図面電子化・管理における注意点と課題

図面の電子化と管理システム導入には多くのメリットがありますが、成功させるためには注意すべき点や克服すべき課題も少なくありません。これらを事前に理解し、適切に対応することが重要です。

特に大規模なプロジェクトでは、技術面だけでなく、組織的な取り組みや長期的な運用体制の構築も不可欠となります。

セキュリティ対策と権限管理

電子化された図面は、紙の図面と比べて複製や持ち出しが容易になるため、セキュリティ対策が極めて重要です。特に設計図や製品図面など企業の知的財産となる重要図面については、厳格なアクセス制御が必要です。

基本的なセキュリティ対策としては、ユーザー認証、アクセス権限の細かな設定、操作ログの記録などがあります。特に重要な図面については、閲覧・印刷・ダウンロードなどの操作ごとに権限を設定し、必要最小限のアクセスに制限することが望ましいでしょう。また、外部への持ち出しが必要な場合は、電子透かしやDRM(デジタル著作権管理)技術の活用も検討すべきです。

セキュリティ対策の例

  • ユーザー認証と細かなアクセス権限設定
  • 操作ログの記録と定期的な監査
  • 外部持ち出し時の暗号化
  • 電子透かしによる情報漏洩対策
  • デバイス制限(特定PCからのみアクセス可能など)
  • ネットワークセキュリティの強化
  • 定期的なセキュリティ教育

データの整備と品質確保

電子化された図面の価値を最大化するためには、データの整備と品質確保が欠かせません。特にスキャニングによる電子化では、元の紙図面の状態や電子化の方法によって、データの品質に大きな差が生じることがあります。

高品質な電子データを得るためには、スキャン前の紙図面のクリーニング、適切な解像度と色深度の設定、スキャン後の画像補正などが重要です。また、OCR処理を行う場合は、認識精度の確認と必要に応じた修正も必要になります。

電子化した図面の品質チェックと修正のためのワークフローを確立し、一定の品質基準を満たした図面のみをシステムに登録する仕組みが効果的です。大量の図面を電子化する場合は、専門業者への委託も検討すべきでしょう。

運用体制の構築と教育

図面管理システムを導入しても、適切な運用体制がなければ効果を十分に発揮できません。システム管理者の設置、利用ルールの策定、ユーザー教育などを計画的に進める必要があります。

特に重要なのは、図面の登録・更新・廃棄などのライフサイクル管理のルール策定です。誰がどのタイミングで図面を登録し、どのような属性情報を付与するのか、改訂時の手続きはどうするのかなど、具体的な運用ルールを明確にしておくことが大切です。

また、システムの機能を十分に活用するためのユーザー教育も欠かせません。マニュアル整備だけでなく、実際の業務に即した研修や、定期的なフォローアップ研修を計画することで、システムの定着と効果的な活用を促進できます。

図面電子化の成功事例

図面電子化と管理システム導入の効果を最大化するためには、先行事例から学び、自社の状況に合わせた枠組みを構築することが重要です。

ここでは、業種別の成功事例について解説します。

業種別の成功事例

製造業では、紙の図面をデジタル化し、図面検索や管理の効率化を図る動きが見られます。図面の検索作業が簡素化されることで、設計業務全体の負担軽減や業務の無駄を抑える効果が期待されています。

建設業でも、過去の図面を電子化し、クラウドを活用した図面共有の仕組みを整える企業が増えてきました。こうした取り組みにより、関係者間の情報共有がスムーズになり、設計内容の確認や変更対応がしやすくなるとされています。特に、過去の施工実績を迅速に参照できる環境は、対応のスピードや判断の精度を高めることにつながっています。

設備管理の領域では、図面情報をモバイル端末から閲覧できるようにすることで、現場での作業の柔軟性が向上する例が出てきています。点検や保守の効率が上がり、突発的な対応もより円滑に行えるようになっているようです。

まとめ

図面の電子化は、単なるペーパーレス化ではなく、企業の設計・製造プロセス全体を効率化し、競争力を高めるための重要な取り組みです。特にAI技術の進化により、従来は難しかった形状ベースの検索や類似図面の活用が可能になり、その効果はさらに高まっています。

図面電子化と管理システム導入を成功させるためには、目的の明確化、段階的な導入、適切な運用体制の構築が重要です。また、単なる電子化だけでなく、業務プロセス全体の見直しとシステム連携まで視野に入れた取り組みが効果的です。

自社の状況や優先課題を踏まえた計画的な導入を進め、図面資産を最大限に活用できる基盤を構築しましょう。特に製造業や建設業では、図面の有効活用が業務効率化の大きなカギとなります。まずは一部の重要図面から始めて、効果を確認しながら段階的に拡大していくアプローチがおすすめです。

参考文献
https://d-quick.i-site.co.jp/2023/08/30/digitization/
https://zumen-bank.com/column/24
https://scan-disital.com/7965/

関連ソリューション

Contact コンタクト

ITソリューション・テクノロジーサービスの
最適なプランをご提案します