建築図面の記号一覧｜設計・施工で使われる基本記号をわかりやすく解説

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2025.11.27

建築図面は、設計者の意図を施工者や関係者に正確に伝えるための重要な文書です。しかし、図面に記載された記号の意味が分からなければ、設計内容を正しく理解することはできません。建築図面記号は、日本産業規格（JIS）や国土交通省の基準に基づいて統一されており、建築業界で共通の言語として使用されています。本記事では、建築図面で使用される基本的な記号を解説していきます。開口部記号から構造部材、設備記号まで、実務で頻繁に使用される記号を中心に、その意味と使い方を詳しく解説します。

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建築図面記号の基本知識と重要性

建築図面記号は、限られた図面スペースに多くの情報を効率的に表現するために開発されたシンボル体系です。これらの記号は、建築設計分野における国際的な標準化により、世界中で共通理解が可能になっています。

記号の分類と体系

建築図面記号は、用途や対象物によって明確に分類されており、それぞれが特定の意味を持っています。

主要な分類には、構造部材記号、開口部記号、材料記号、設備記号、寸法・レベル記号があります。これらの分類を理解することで、図面上のどの部分にどのような記号が使用されているかを体系的に把握できるようになります。

JIS規格と業界標準

建築図面記号の標準化は、設計から施工まで一貫した情報伝達を可能にする重要な仕組みです。JIS規格では、記号の形状、寸法、使用場面が詳細に規定されており、これに従うことで全国どこでも同じ記号が同じ意味で理解されます。

また、各建設会社や設計事務所では、JIS規格を基本としつつ、独自の記号を追加定義する場合があります。この場合、図面の凡例や注釈で明確に説明することが義務付けられています。以下の表は、記号の分類別に、何を示す記号か、どの図面で使われるかを整理したものです。

記号分類	主な対象	使用図面
構造部材記号	柱・梁・基礎・壁	構造図・軸組図
開口部記号	ドア・窓・開口	平面図・立面図
設備記号	電気・給排水・空調	設備図
材料記号	コンクリート・木材・鋼材	断面図・詳細図

構造部材の記号と読み方

構造部材記号は、建物の骨格を形成する重要な要素を表現する記号群です。構造部材の記号を正確に理解することは、建物の安全性の確保に直結する重要なスキルです。特に現場監督や施工管理者にとって、これらの記号の正確な読み取りは、品質管理と安全管理の基礎となります。

基礎・柱・梁の記号

基礎記号「F」、柱記号「C」、梁記号「B」は、構造図面で最も頻繁に使用される基本記号です。

基礎記号は「Foundation」の頭文字から「F」で表され、基礎の種類や寸法と組み合わせて「F1-600×800」のように表記されます。柱記号は「Column」から「C」、梁記号は「Beam」から「B」が使用され、それぞれ断面寸法や配筋情報と合わせて記載されます。

床・壁・屋根の記号

床記号「S（Slab）」、壁記号「W（Wall）」、屋根記号「R（Roof）」は、建物の外殻や構造体を形成する部材を表します。これらの記号は、材料や厚み、仕上げ方法と組み合わせて使用され、詳細な仕様情報を提供します。

特に壁記号では、耐力壁と非耐力壁の区別が重要で、構造計算や施工方法に大きな影響を与えます。記号の後に続く数字や英字は、壁の種類や性能を表す重要な情報です。

記号	意味
C	柱（2C1→2階のC1柱）
G	大梁（2G1→2階床のG1梁）
B（b）	大梁（B）・小梁（b）
S	床
CG・CB	片持ち梁
CS	片持ち床
W	壁
EW	耐震壁
F	基礎
FG	基礎梁
FS	基礎スラブ
P	杭
R	屋根

開口部記号の種類と意味

開口部記号は、建物の窓やドア、その他の開口部を表現する記号群で、平面図や立面図で頻繁に使用されます。これらの記号は、開口部の種類、開閉方向、寸法、性能を一目で理解できるように設計されています。開口部記号の正確な理解は、採光・通風計画や避難経路の確認において極めて重要です。

ドア記号の種類

ドア記号は、開閉方向と開閉方式を明確に示すため、扇形や矢印を使って表現されます。

片開きドアは扇形の記号で表され、扇の開く方向がドアの開閉方向を示します。両開きドアは2つの扇形を対称に配置し、引き戸は平行線と矢印で表現されます。自動ドアや回転ドアなど、特殊な開閉方式のドアには専用の記号が用意されています。

窓記号の読み方

窓記号は、窓の種類と開閉方式を表現する重要な記号です。上げ下げ窓、横滑り窓、はめ殺し窓など、それぞれ異なる記号で表現され、通風や採光の計画において重要な情報を提供します。

窓記号では、開閉可能な部分と固定部分が明確に区別されており、これにより有効開口面積を正確に算出できます。建築基準法の採光・換気基準を満たすためには、これらの記号を正確に理解することが必要です。

材料記号と仕上げ表記

材料記号は、建築図面上で使用される材料の種類や性質を表現する記号システムです。これらの記号は、断面図や詳細図で特に重要な役割を果たし、施工者が正確な材料を選択し、適切な工法で施工するために不可欠な情報を提供します。材料記号は、コンクリート、鋼材、木材、断熱材など、建築で使用される主要な材料すべてに対して統一された表現方法が定められています。

構造材料の記号

コンクリートは斜線のハッチング、木材は年輪状のパターンで表現されます。

構造用鋼材は完全に黒塗りされ、木材は樹種によって異なるパターンが使用される場合があります。これらの記号は、材料の特性や施工方法を理解するための基本情報となります。

仕上げ材料と断熱材の記号

仕上げ材料の記号は、内外装の材料種別と施工方法を示す重要な情報です。タイル、石材、左官仕上など、それぞれに固有の記号パターンが定められており、意匠性と機能性の両面から材料の特性を表現します。

断熱材記号は、建物の省エネルギー性能に直結する重要な要素で、断熱材の種類、厚み、施工位置を明確に示します。グラスウール、ロックウール、発泡系断熱材など、材料ごとに異なる記号パターンが使用されます。

設備記号の基本パターン

設備記号は、建築物の電気、給排水、空調、ガスなどの設備システムを表現する専門的な記号群です。これらの記号は、設備図面で使用され、各種設備の配置、接続方法、性能仕様を正確に伝達する役割を果たします。設備記号は、建築記号とは別に専門的な体系を持ち、設備設計者と施工者間の重要なツールとなっています。

電気設備記号

電気設備記号は、配線、スイッチ、コンセント、照明器具などを円形や四角形の基本図形と専用記号の組み合わせで表現します。

一般的なコンセントは円形記号、スイッチは四角形記号で表され、それぞれの用途や容量に応じて内部の記号や文字が変化します。照明器具は器具の種類に応じた固有の記号が使用され、配線は実線や点線で表現されます。

給排水・空調設備記号

給排水設備記号は、水道管、排水管、衛生器具の配置と接続を示す重要な記号系統です。給水管と排水管は線種を変えて区別され、管径や材質に関する情報も併記されます。衛生器具は平面形状を簡略化した記号で表現されます。

空調設備記号は、空調機器、ダクト、吹出口、吸込口などの配置を示し、空調システム全体の構成を理解するために重要です。ダクトは太線で表現され、機器類は専用の記号で表示されます。

図面を読む際の重要ポイント

建築図面を正確に読み取るためには、記号の知識に加えて、図面の基本的な重要ポイントや注意点を理解する必要があります。図面には、縮尺、単位、凡例、注釈など、記号以外にも重要な情報が含まれており、これらを総合的に理解することで初めて設計意図を正確に把握できます。また、複数の図面を関連付けて読むことで、建築物の全体像を立体的に理解することが可能になります。